277話 二人の婚約発表はいつ?
「さて、用も済んだことだし、そろそろ地上に降りるか。」
「そうね。プティテーラを改めて見ることが出来てよかったわ。」
二人とも、とてもスッキリした顔をしている。
惚気が甘いの、なんのと散々文句を心の中で言っていたけど、二人が笑い合う光景をまた見ることが出来てよかったと思う。
地上にゆっくりと降りていく気球。
地面に近づいてくると、心配そうな顔をしたラックさんが、私たちの乗っている気球を見上げている。
ラックさんも、今回はすごく巻き込まれていたもんなぁ。
おつかれ様です、ラックさん。
地面に降りて、気球から降りる。
「お前たち大丈夫か?」
ラックさんが私たちのもとに駆け寄ってくれた。
「楽しかったです。」
「あの二人の話がか…?」
あぁ…そういう?
楽しかったよ。
楽しかったけど…胃もたれがしました。
「チヒロ、ネロ。朝から巻き込んで済まなかったな。」
「いえ、アルビナ令嬢とシン王子の関係は、私も願っていましたよ。シン王子に、頼み事したじゃないですかそれを反故にされては困ります。なので、良かったんじゃないですか?」
「そうか…」
さて、いつまでもお礼合戦をしていても仕方がないだろうし。
サクッと聞いて、サクッと部屋に帰ってもう一度寝たいかも。
「あの、シン王子。」
「なんだ?」
「シン王子とアルビナ令嬢の婚約発表はするんですか?」
そろそろ、コスモスに帰ることを視野に入れ始めると、いつまで滞在するかを決めないといけない。
二人の婚約発表があるのなら、それを見てから帰りたいんだけど。
「もちろんだ。」
「そうですか。あの…こんな話をするのは、違うかもしれませんが、いつ頃するのですか?」
王族の婚約パーティに参加するのは難しいかもしれないから、せめてお祝いだけでもしたい。
「…やけに時期を気にするな。」
「私たちの今回の一大任務は、初日のパーティで終了していますし。それに、プティテーラの技術や文化も結構知れましたので、コスモスに報告しないといけないかなと。なので、そろそろ、私たちもコスモスに帰還する日を決めた方がいいかなと思いまして。」
寂しいけど、帰らないといけないし。
私が笑顔で、そう返すと、シン王子は首を傾げた。
「帰るのか…?」
「え?それは…どういう?」
「そうか。二人は、プティテーラの人間では、なかったな。そうだよな。あまりにも俺らの傍に自然と居たから、忘れていたよ。」
それは、どうなんだろうか…?
「シン…そう言ってもらうのは、光栄だな。」
「本当にそう思っているのか?ネロ。」
「思っている。そんなことを嘘ついてどうするんだ?」
それだけ、仲良くなれたという事かな。
「でも、そうか。二人にはぜひ婚約パーティに参加してほしいな。」
「婚約パーティ?」
「あぁ、俺とアルビナの婚約パーティだ。盛大にやる。アルビナとクラトの時よりも、もっと盛大にな。」
そんな憎らしそうな顔をしなくても、クラト公子はアルビナ令嬢を取らないって…
むしろ、クラト公子が奪われた方だし。
「明日は、どうだ?」
「いいんじゃない?私の噂も早く消してほしいし。でもパーティを開くのは、その短い時間じゃ難しいわ。」
シン王子とアルビナ令嬢は、ぶつぶつと何かを考えだした。
噂…?
あぁ、謎の男にアルビナ令嬢が攫われて…という奴ね。
「なら一週間後だ。明日に婚約を発表する簡単な挨拶をし、一週間後に盛大に婚約記念パーティをやる。どうだ?」
「賛成よ。主催は、貴方と私。それならば、必ずできるでしょう。」
「そして、チヒロとネロ。明日と一週間後のパーティ、君たちを招待させてほしい。」
明日と一週間後。
「ダメか?そこまで、プティテーラに滞在はできないか…?」
「ダメかしら?貴方たちには、ぜひ参加してほしいの?」
う…
そんな捨てられた子犬のような目をしないでください。
「どう、ネロ?」
「どうせいつまで、滞在するかなんて決めていなかっただろ?」
「そうだねぇ…」
「なら、もう少し位いてもいいんじゃないか?」
ネロ!
さすが、ネロだね。
「…参加させてもらってもいいでしょうか?そのパーティ。」
「あぁ。」
「もちろんよ。」
待ちに待った二人の婚約パーティ。
やっぱり、二人を見届けてからじゃないと、帰るに帰れないよね。
プティテーラのことを知れるチャンスだし。
もう少しだけ、ここにいようかな。
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