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271話 アルビナ令嬢ただいま逃走中


シン王子を見送り、私とネロも、借りている部屋を出る。


「…ご飯食べそこなったね。」

「そうだな。こういう事ばかりだな。」


本当にそうだな。


「なぁ、探しに出ると言っていたが、何か思い当たることでもあるのか?」

「ううん、ないけど。」

「は?」


ポカンとした顔をするネロに、首を傾げる。


「あんなに意気揚々と部屋を出てきたんだ。何かあると思うだろう。」

「シン王子が分からないものを、私が分かる訳ないでしょ?」

「いや、シンは分からなくても、お前ならわかることが多々あったはずだ。」


あったかもしれないなぁ…

むしろ、シン王子は、アルビナ令嬢のことに関してはポンコツを極めているから、他の人の方がアルビナ令嬢のことを分かっていると言えるかもしれない。


「そうかもね…」

「それで、どうなんだ。」

「うーん、アルビナ令嬢がシン王子になにも告げずに出て行ったということが、本当に分からないんだよね。だって、昨日の様子、ネロも見たでしょ?」

「…見た。」


昨日のアルビナ令嬢とシン王子の様子を思い出して、ネロは顔をゆがめた。


「甘ったるかった…」

「そんなに嫌な顔をしなくても…」

「胃もたれをしそうだった。」

「思い出させて悪かったって…でも、それを覚えているなら、アルビナ令嬢がシン王子の元から逃げる理由って何があると言うの…って感じじゃない?」

「そうだなぁ」


二人でうーんと唸りながら、アルカンシェルの道を歩く。


「ねぇ、アルビナ公爵令嬢様の話聞いた?」

「聞いた、聞いた。月の約束になぞらえた、プロポーズでしょ?」


街中では、号外によって知った人たちが、昨日のロマンチックな略奪愛の話について盛り上がっているみたいだ。


「アルビナ令嬢たちの話、街にも知れ渡ってるみたいだね。」

「そりゃ、号外されればそうだろ。」

「そっか。」


「アルビナ様は、どうするのかなぁ。」

「それは、もちろん恋に生きるんじゃない?だって、月の約束よ?永遠を誓いあえる、ロマンチックな恋。これを選ばないなんて、女じゃないわ。」

「えぇ?でもさ、私は、アルビナ公爵令嬢様は、シン王子と婚約をして、今後プティテーラを支える王妃になると思っていたわ…」

「それは、そうだけど…でも、アルビナ様の幸せを考えるのであれば、仮面のお方がいいかもしれない。だって、横抱きされたアルビナ様は、その仮面のお方にぴったりとくっ付いていたそうじゃない。」


盛り上がりは、アルビナ令嬢の恋の行方だけじゃないみたいだな。


「ただの恋愛話じゃないみたいだな。」

「プティテーラの行く末についての話みたいだね。」


話している女性たちを見て、ネロがため息をつく。


「…令嬢が、攫われたのであれば、世界の人たちが不安がるのは、当然だろうな。」

「え?」

「世界の民は、あの仮面が、シンだって知らないだろ?」

「そうだね。」

「分からないか?」


何がだろう…?


「あのな、シンはこの世界の王子だろ?そして、今後はプティテーラを支え、引っ張っていく王になる。」

「そっか。そして、その相手は、シン王子と共にプティテーラを支え、そして王様を生涯支えていく人…王妃になる。」

「そうだ。」


それもそうか。


「信用たる王妃なら、いいかもしれないけど、王妃というのは国を…世界を滅ぼしかねない人でもある。もちろん、女性が悪いわけではない。上に立つものが無能だった可能性もある。だが、それだけ王族の結婚というのは、デリケートな問題なんだよ。」


傾国の美女。

女性の力は、国を傾けるほどの力を持ち得ることもある。

シン王子の相手には、世界とシン王子を支える力が求められているということだ。


「…アルビナ令嬢には、そういうものが求められていたってことだよね。」

「そうだろうな。」

「ちょっと、行きたいところが出来たかも…」

「は?」

「プティテーラ全部を見ることが出来る場所…」


なんでアルビナ令嬢がシン王子になにも告げなかったのかは分からないけど、アルビナ令嬢がいる場所が分かったかもしれない。

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