268話 素敵なご縁がありました
パーティの後に無事、シン王子とアルビナ令嬢に会うことが出来、話をすることもできた。
二人の様子を見ることが出来たし、まぁ良かったかな。
セレーネギアを後にして、アルカンシェルの宿泊施設へと帰る。
ネロと二人で、ベッドへと倒れこんだ。
「つかれたぁぁぁぁ」
「あぁぁぁぁ…」
ネロの声がゾンビみたいになっている。
相当疲れたみたいだなぁ。
それは、私も同じなんだけど。
気を張っていたのもあったし、緊張もずっとしていたから、疲れが限界突破していたみたいだ。
宿泊施設に入って、気が抜けると体の力も同じように抜けて行った。
「プティテーラの生活も思ったより長かったね。」
「まだ終わっていないがな。」
「そう言われるとそうだけど。でも、いろいろあったからさ。なんか長く過ごしたなぁって。」
「そういえば、早く帰りたいと言っていたな。」
あぁ…パーティの時にそんなことも行ったような気がする。
ホームシックになったというか。
アルバートさん達は元気かなって、今も思うけど。
シン王子たちと離れるのも寂しくなってきたというか、それだけあの人たちのことを知れたのかもしれないな。
「今は、シン王子やアルビナ令嬢のその先を見てみたいって思うよ。」
「そうだな。」
「ネロもシン王子と仲良しだもんね。」
「仲良しって…なんだそれ。」
「照れない、照れない」
「照れていないが。」
ものすごく不本意な顔をされた。
「そういえば、チヒロも結構いい役割を果たしたんじゃないか?」
「役割?」
「コスモスとプティテーラの橋渡し。」
あ…
そんなこともあったなぁ…
「しかも、しっかり王族と関わりを持った。コスモス上層部は大喜びだろうな。」
「えぇ…別にそういうつもりじゃなかったんだけど。」
「分かっているさ。」
それならいいけどさ。
ていうか、本当にそういう流れになったのは驚きだけど。
「プティテーラでもいいご縁があったね…ってことで。」
「なんだ、それ。」
「だってさ、なかなかないよ。いい経験が出来たじゃない?」
「それはそうだな。」
「いつコスモスに帰ろうか…」
「そうだなぁ…」
もう少しのんびりするのも、ありなのかなぁ。
プティテーラの調査ということで…
「こうしてさ、何度も旅をしてさ、いろんな人と出会ってさ…」
「なんだよ」
「そのたびにお別れがあると思うと、なんだか寂しいなって。」
ミシュティでもいろんな人に出会った。
また遊びに行けるって思ったけど、そう、うまくはいかないよねぇ。
「異世界転送装置があれば、移動はすぐだぞ?」
「そうだけど、そこに滞在していた時は、もっと簡単に会えたわけじゃない?」
「…お前、もしかして忘れているかもしれないが、ミシュティで出会ったやつらも、大方、王族で本来だったら簡単に会うことが出来ないやつらだぞ?」
……そうだった。
メルもビスクートさんも王族だったなぁ。
「ちなみに、プティテーラで出会ったやつらも、大体が王族で本来なら簡単に出会うことが出来ないやつらだからな。」
「…そうでした。」
こういう機会でもなかったら、出会うことが出来なかった人たちだよね。
「それに、ここに来る時なんかは、王族なんて冗談じゃないって言ってたじゃないか。」
「それは、仕方ないじゃん。でも、実際会ってみてさ、いっぱい関わったら、好きになっちゃったんだもん。シン王子もアルビナ令嬢も。」
「なら感傷に浸るな。出会えてよかっただろ?」
……そうかもね。
「ねぇ、ネロ?もしかして、慰めてくれているの?」
「ここに来てから、お前はホームシックに良くなるからな。仕方なくだ。チヒロがしっかりしないと、仕事にならないだろ?教育係として、メンタルケアをしてやっているだけだ。」
教育係ってメンタルケアも仕事のうちなの?
ずいぶん優秀な教育係です事。
「なら、今日のネロは、私の抱き枕ね。」
「…なぜそうなる?」
「モフモフ枕がないと寝られないの、寂しくて。」
「…勝手に寝てろ。」
ネロが、ベッドから逃げようとするところをしっかりと捕まえて、私はモフモフと抱きしめた。
初めは暴れていたネロも、抱き込んで横になると、大人しく私の枕をしてくれたのだった。
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