253話 王族のホームパーティは遠慮します
「仮面パーティなので、当然かもしれないですけど、本当にパーティに来ている人、全員が仮面をしているんですね。」
私は、会場が見渡せる壁際にいるため、広い範囲が目に入るのだけれど、見渡す限り、全員仮面。
「使用人たちも、仮面パーティの時は、仮面をつけるからな。」
そういえば、さっき飲み物を受け取った時、スタッフの人も仮面をつけてたかも。
フルフェイスの仮面。
パーティ参加者の仮面は、それぞれであり、フルフェイスの物もあれば、目だけが覆われている物もある。
私とネロ、それからナンナル王子やクラト公子は、目だけを隠すタイプの仮面。
形もそれぞれ特徴的だ。
「仮面と言えば、シャムスに仮面を売っているお店があったよね。」
「あぁ、シンに案内してもらったやつだろ?」
そうそう。
プティテーラの仮面祭は終わってしまったと聞いたから、仮面パーティは、また今度だと思っていたけど、参加できちゃったなぁ。
「参加したがっていただろ?よかったじゃないか。」
「そうだけど、こうも急に参加するものだとは思わなかったよ?」
シン王子はいつでもパーティを開けると言っていたけど、本当にいつでも開けるとは…
「なんだ。仮面舞踏会に参加してみたかったの?」
「チヒロ達は、観光職員なんだ。その世界の特色に触れられるものには、積極的なのはいいことなんじゃないか?」
「そっか。さすが、観光職員だね。」
クラト公子、ナンナル王子…
それは、褒められていると思っていいでしょうか?
「でも、興味あるなら言ってくれれば、よかったのに。俺、仮面舞踏会なら開けたよ?」
「いやいや…一個人の意見で、パーティ開いてほしいっていうのは、さすがにおかしいですから。私、外部の人間なんですよ?」
なんで、王子様二人そろって、パーティを開こうか…なんて聞いてくるのかな。
驚いちゃうから。
庶民が染みついている私には。
「なんで?外部の人間だからでしょ?良さを分かってもらうには、その世界の特色に触れる、それは当然。なら、開いてもいいかなって。」
「外部の人間がおねだりするたびに、パーティを開催するつもりですか?破産しますよ?」
「まさか。友人の頼みだろ?まぁさすがに、ここまで盛大にパーティを開くつもりはないよ?あくまで雰囲気が体験できる規模。身内で収まる程度なら別にいいだろ?家に遊びに来る感覚で。ホームパーティだよ。」
家に遊びに行く感覚で、仮面舞踏会はしないんです。
「ナンナル王子のホームパーティ…なんか恐ろしそうですね…」
「なんでよ。」
ホームパーティって、ナンナル王子の自宅にお呼ばれするってことでしょ?
いや、緊張で楽しむどころじゃないって。
セレーネギアで、トリウェア女王から始まり、クヴェレ殿下、シン王子…
王族に囲まれるホームパーティなんて、普通のパーティと何が違うの?
むしろ、周りにたくさん人がいる分、こういう大々的なパーティの方が緊張が分散されていいと思う。
「…遠慮しておきます。」
「だから、なんで?」
なにがなんでも嫌。
「また、誘いを断るし…」
「もうリベンジなんてしなくていいですからね。私は、仮面パーティに参加が叶っているんですから。」
ジトっとしたナンナル王子の目線が気になるが、気にしないことにする。
気にしていたら、キリがない。
「まぁまぁ、でも良かったじゃないか。参加出来て。俺らも、プティテーラの伝統をチヒロやネロに知ってもらえるのは、嬉しいしな。」
「はい。完全に棚ぼたで参加させてもらっていますが、本当に良かったです。アルビナ令嬢には、感謝しないといけないですね。」
「その言葉は、アルビナ嬢も喜ぶだろうな。」
「いえいえ。私の方こそ感謝です。本当は、ここに来るまで婚約パーティに参加するつもりで来ていたので、どんなテンションでいていいか、分からなかったんですよね。」
だから、仮面という顔が隠れるアイテムは、とてもありがたい。
「そうだったのか?まぁ、この後婚約パーティになるとしたら、最後までしっかり付き合ってくれよ。」
「…ぜひともその前に阻止をしてほしいものです。」
シン王子…
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