252話 パーティのリベンジだそうです
「不思議そうな顔をしているね。」
「それは、そうですよ。すでに話もしているのに、急に何を言い出すのかと思いました。」
一体何を言い出したんだ?
「それはね。リベンジだよ、リベンジ。」
リベンジ?
なんで、ナンナル王子とクラト公子が私たちにリベンジをするんだろうか?
あと、リベンジと話をすることの関係性が分からないんだけど。
「本当に覚えてないみたいだね。」
「やられた方は、結構覚えているものだぞ?」
二人の言い方からすると、私は二人に何かをやってしまったみたいだけど。
全然、記憶にない。
ネロの方を見ると、肩をすくめている。
えぇ、何?
「俺らが初めて会った時のこと、覚えていない?」
初めてあった時…
それって、私とネロが初めてプティテーラのパーティに参加した時のことだよね?
何かあったかな?
トリウェア女王に挨拶をして、その後に王族の人たちに挨拶をして…
そして、さらにその後、ナンナル王子とクラト公子と話したっけ?
「俺たち、お詫びを込めて、なにかしたいことあるかって聞いたのを覚えていない?」
したいこと…
あぁ、そんなこともあったな。
「覚えています。」
「あれ、謝罪とともに、案内させてほしいという、お誘いだったんだよね。」
「え?」
そうだったの?
「それなのにさ、お手洗いの場所を聞かれて逃げられちゃった挙句、その後、ホールに戻ってこなかったでしょ?」
「まさか、断られるとは思わなかったな。しかも断り方が、お手洗いだろ?」
確かに、そのような断り方をした気がする…
でも、あの時はお手洗いには、本当に行きたかったし。
そして、ごたごたに巻き込まれて、ホールに帰れなかったのは、私のせいではなくないか?
…いや、庭園に出て、涼んでいたところ巻き込まれたから、ホールには半分くらい帰る気はなかったな…
「それで、なぜリベンジ…?」
「誘って断られたから、もう一回お誘いをね?」
「さっきまで話をさせてもらっていたんですから、それでいいじゃないですか…」
あの断り方を掘り返されるとは、思っていなかった。
何度も、お手洗いって言わないで。
「いやいや。せっかくだし、俺たちにリベンジさせてくれてもよくない?」
「…意外と執念深いんですね。」
「チヒロは、口が悪いよね。」
この王子…
「で?俺たちの誘いは受けてもらえるのかな?」
受けるも何もないんだけど、それだと、この二人は納得しないのだろう。
「では、お相手していただいても、いいですか?」
私はやれやれと思いながら、二人に向かって言うと、二人は微笑み返してくれる。
「もちろん。」
「喜んで。」
二人が嬉しそうに笑うので、まぁ、いっか…と思った。
「ネロも俺らの相手をしてね。」
「はいはい。」
ナンナル王子は、ネロの手を取りにっこりと笑うと、ネロは面倒くさそうに返事をした。
プティテーラのパーティについて、分からないことも多いし、ナンナル王子とクラト公子に教えて貰えるし、結果的には良かったかもしれない。
ここの王子たちは、なぜこうも積極的に使われに来るのだろうか…?
道案内をかって出てくれたり…
尽くしたがりなのだろうか?
「でもクラト公子は、今日の主役ですし、こんな所にいていいんですか?」
「さっきも言ったが、仮面パーティのおかげで、婚約については、まだ公になっていない。そして、その発表もこのパーティ後の予定だからな。他の主要人物達も、来ていない人もいるだろうな。」
他の主要人物?
シュルーク家の人たちだろうか…?
今回のパーティでシュルークの当主を見たかったんだよね。
話には、よく登場していたのに、まだ見たことすらないから。
このままでは、頭の固い頑固な人というイメージのままだし。
シン王子は、何をやっているのだろうか。
間に合うかな。
婚約発表前には、間に合いますように。
ソワソワしながら待つのも嫌だなぁ。
私は、このパーティで何かやらなくてはいけない訳ではないから、自分の知的好奇心を満たそうという意識に全振りしているんだよね。
クラト公子いわく、まだ本題が始まる訳ではなさそうだし、陰でひっそりパーティを楽しんじゃおう…
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