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251話 仮面パーティの始まり


「やっぱりここが落ち着くんだよなぁ。」


やっぱり多くの視線に耐えられないので、行きついた場所は壁の傍だった。


「壁の花をしていろとは言ったが、本当にここにしかいないとはな…」

「だって、仮面パーティで予定狂っちゃったしさ。」


仮面をして正体を隠しているから、知っている人に挨拶をするという行為もしなくてよくなった。

だから、飲み物を受け取って早々、壁の傍でチビチビと飲み物を飲みながら、あたりを観察しているのである。


「ねぇねぇ、どう?私の仮面姿。」


仮面パーティなんて参加したことなかったし、ドレスに仮面なんてちょっとテンションが上がっちゃう。


「チヒロだと分かっていれば、あまり大差ないけどな。」

「嘘でしょ?そこは、いつもと違っていいねとかいう所だけど?」

「お前は、俺に何を求めているんだ…」


別に何も求めてないけど?

ネロが可愛いとか言うわけがないって、分かっているし?


「ネロは仮面をしていても、誰か分かるよね。」

「こういうのは、仮面をしていることに意義があるんじゃないか?雰囲気だろ?」

「えぇ?そうかな。それにさ、ネロと一緒にいると私も誰か分かっちゃうよね。」

「お前と俺が一緒にいることを知っている奴なんて、そんなにいないだろ。」


一応、私たち前回もパーティに出席しているし、なんなら結構目立っているけど?

女王様の前で転んで、挨拶をして、話しかけて貰えたけど?

それに、プティテーラの招待客での二つの異世界のうちの一つですけど?


「そういえばさ、アルスの人たちもここにいるのかな?」

「アルス…?あぁ、コスモスに敵意むき出しだった異世界か。」


前回のパーティの後って、シン王子とアルビナ令嬢のゴタゴタがあったから、あの異世界の人たちがどうなったのか知らないんだよなぁ。


「アルスの人たちは、一応プティテーラにまだいるみたいだよ。」

「え?」


ネロと話している途中で、聞こえないはずの声が聞こえた。


「やぁ、久しぶりかな?」

「ナンナル王子。」

「やっぱりお前らも来たんだな。」

「公子。」


目の前にいたのは、仮面をつけたナンナル王子とクラト公子。

仮面をしていても、結構分かるものだなぁ。

声でも分かるし。

知っている人たちが目の前に現れたので、練習したものを披露しよう。


私は、ネロと散々練習したお辞儀を披露する。

右足を引き、左足を曲げて、背筋を伸ばし、二人に微笑む。


「ナンナル王子、クラト公子、お久しぶりです。」


二人は、私を見てニヤリと笑った。


「おぉ。様になってるね。」

「きれいじゃん。」


なかなか高評価じゃない?

特訓した成果があるというのもだ。


「ナンナル王子もいらっしゃっていたんですね。」

「うん。クラトから招待されてね。まぁ、どうなるか見守ろうかなって。」


ナンナル王子は、このパーティのことを知っているんだな。

当事者だし、当然か。


「公子は、大丈夫なのか?」

「このパーティの後がどうなるかだな。」

「仮面パーティなんて、予想外でした。」


クラト公子は、苦笑いを浮かべながら説明をしてくれる。


「アルビナ嬢が、案を出してくれてな。俺がそれに乗っかった。これなら、婚約発表も引き延ばせる。チヒロとネロがこの場にいるということは、何か進展したという事だろう?」

「進展したというか…あとは、シン王子次第というか…」


あの後、シン王子は予定があると言っていたとネロから聞いたし、何か考えがあるのだろう。

私は全然覚えていないけど。

あ、あとさ…

この態勢って、いつまでしていればいいんだろう。

挨拶をして、すぐに別の話が始まってしまったから、この態勢を変えるタイミングが分からなかった。

トリウェア女王に挨拶をしたときは、挨拶を終えてトリウェア女王が離れたタイミングで体勢を戻したけど、今回は挨拶をした二人がまだ目の前にいる。

どうしよう…

普通に話してはいるし、特訓もしたからある程度は大丈夫だけど、ずっとこの態勢なのは話が別だよ?

困っていると、笑いを耐える声が聞こえてくる。


「あの…?」

「根性あるな…フフ、その態勢のまま保てるのは、さすがだな。」

「もしかして…」

「その態勢で保ってくれるのは、嬉しいけどね。今じゃこんなことないよね。」


今じゃ…?


「昔は、目上の人が去るまで、その態勢をキープだったけど、今はやっている人居ないよね。だから、母も嬉しくなったんだろうし。」


そうなの…?

でも正しいマナーならそれでいいんだけど…

いや、良くないな。

助けてくれ。


「ごめん、ごめん。態勢、崩してもいいよ。結構粘るからびっくりしちゃった。」


これは、本当に体勢を崩していいのか?

様子を伺ってみると、これは本当に崩してもよさそう…


「大丈夫だって。」


態勢を戻し、少し安心した。


「ありがとうございます。」

「こちらこそ、ありがとう。」


お礼を言うとナンナル王子にお礼を言われた。

クラト公子の方を見ると、優しく微笑んでくれている。

練習してよかったなぁ。


「あ、そうだ。これを言いたかったんだよね。」

「言いたいことですか?」

「俺らと話をしない?」


えっと…すでに話をしているけど?

一体どういう事だろうか?

ナンナル王子の問いかけで首を傾げた。

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