250話 二度目のパーティでリベンジします
しばらく舟に乗っていると、太陽の街シャムスに着く。
今回は、シュルーク家の主催の婚約パーティなので、太陽の街で行われるらしい。
「招待状をしっかり確認してよかったね。」
「そもそも、婚約破棄をした相手が所有している建物で、別の婚約パーティをやろうとするわけないだろう。」
そうだけどさ…
パーティ=セレーネギアだってイメージがあるんだもの。
プティテーラのお城だよ?
「それに、招待状を見る限り、婚約パーティという名目で開かれているわけじゃないみたいだな。」
「そうだね。パーティを主催するとしか書かれていないよね。」
「なんで、ちゃんと招待状を確認しないんだ…あれだけ、婚約パーティの注意点を叩きこんだというのに。」
そうだっけ?
予習しても意味がないから、お辞儀だけ何とかしろと、言ってなかった?
婚約パーティで必要なものなんて、叩き込まれた記憶ないけど?
「どんなパーティなんだろう。」
「さあな。行ってみないと分からないだろ。」
それを言われると、どうしようもなくない?
「招待状に書いてある場所は、ここみたいだぞ。」
赤いレンガの屋根に壁が白い。
「なんか、シャムスの建物って、宮殿というかんじだよね。」
「図書館とここしか見ていないがな。」
「えぇ、宮殿じゃない?」
宮殿ってなんだっけ?
「お前、宮殿を何だと思っているんだ?あれは、大きい邸宅だろ。」
「そうとも言う。」
「そうとしか言わない。」
プティテーラの建物が雰囲気で全部そう見えるだけだもん。
そんな風に言わなくてもよくないか?
「これって、どうやって入ればいいのかな。」
「門の所に人が立っているから、その人に聞いてみればいいだろ。」
舟の上から見ると、門の両側に人が立っているのが見える。
ここで舟を停められるところに行って、舟を預ける。
「行くか。」
「うん。気合入れて行こう。」
「いや、落ち着いていけ…」
やる気に満ち溢れていたら、頬を摘まれ引っ張られた。
いひゃい…
「今回は、人物の情報が多少なりともあるとはいえ、これを主宰しているシュルーク当主は分からないし、パーティもどんな形式になっているか分からないんだからな。」
「それ、結構分からないことあるよね…」
情報戦なんて、全然制していないじゃないか。
「あの、パーティに参加したいのですが、ここでいいのでしょうか?」
アルビナ令嬢から貰った招待状を見せると、門を警備している人が微笑み返してくれる。
「こちらになります。」
門の中へ入り、長い道を進む。
門からお屋敷までは、石の通路で舗装されており、両サイドは花に囲まれている。
「こちらをお受け取りください。」
お屋敷の入り口まで来ると、案内してくれた門番さんが何かを手渡してくる。
「仮面…?」
「はい、こちらをお付けして、中にお入りください。」
え…今回のパーティって、仮面パーティなの?
婚約発表するのに?
クラト公子とアルビナ令嬢の婚約発表なんだよね?
顔を隠して、発表なんて絶対にできないでしょ。
「どうかしましたか?」
「いえ、仮面をつけてのパーティが初めてだったので、戸惑ってしまいました。申し訳ありません。」
「そうですね。このパーティは、アルビナお嬢様の案なんですよ。プティテーラの伝統を生かしたパーティを開くなんて、さすがですよね。」
アルビナ令嬢の?
もしかして、何かの意趣返しとか?
ほんとにタダでは転ばないな、あのお嬢様。
「ありがとうございます。」
「お楽しみください。」
私とネロは、仮面を受け取り、大きな扉の中に入る。
扉を開いた先は、正装をして仮面をつけている人がたくさんいた。
開けたホールは、派手な装飾。
扉が開いたことにより、私たちの方に目線が来る。
視線に圧倒されて、足を進めるのを戸惑ったが、ネロが私の背中を押してきたため、グッと力を入れて一歩を踏み出す。
プティテーラに来て、二度目のパーティがとうとう始まるんだ。
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