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247話 パーティマナーの準備は計画的に


「大丈夫か?」


大丈夫じゃない…

シン王子に、またしても、よく分からないことを言っていたとは。


「まぁ、言いたい放題ではあったが。」

「不敬罪…」

「そんなことは言っていなかったがな。」


それでも、あまりにも言いたい放題。


「まぁ、言いたい放題に言った後に、チヒロに話しかけたら、既に何のことだか分かっていなかったから、絶対に忘れるだろうと思ったが…予想どうりだったな。」

「あ…言い終わって既に、記憶が怪しかったのね。」

「だいぶ。」


口から流れるように、出ていきすぎでしょ。


「思っていたことだろ?その通りじゃないか。」

「その通りでも、言わなくていいこともあります。」

「まぁ、俺は面白かったし。」


別に、ネロを喜ばせるために言ったわけでもないんだけど?


「そんなことより、パーティの準備はいいのか?」


そんなことより…

いや、そんなことよりだな。


「外交パーティと、婚約パーティってなんか違う?どうすればいいの?」

「それは、違うだろ。」


やっぱり違うのか。

予習が必要なんだけど?


「ただ…」

「ただ、なに…?」

「誰が招待されているか分からないだろ?」


それは、ねぇ。


「身内までなのか、もしくは、外交パーティのように、大勢呼んでいるのか。」

「そうだね。分からない。」

「プティテーラの王族の婚約パーティがどのような物か分からないから、予習なんてない。」


え?

嘘でしょ?


「何かあるでしょ?」

「何かあったところで、この短時間で出来ることはないだろ?」

「あるはずだよ。」

「あれだけ練習した、お辞儀ですらバレたんだぞ?付け焼刃が露呈するだけだ。」


じゅあ、どうするの?

今から、やっぱり断ろうかな…


「王族からの誘いを断ったら、さらに失礼だろ…」

「えぇ…」

「だから、前回さんざんやったマナーを思い出せ。お辞儀を完璧にしろ。そして、最終手段は…」


最終手段は?


「挨拶が済んだら、壁の花でもしておけ。」


結局それなの?


「うまくいけば、どうせ、そこまでやることないはずだ。」

「どういうこと?」


何を言っているんだ?とあり得ない顔をするネロ。

心がえぐれます。


「シンがうまくやったら、婚約パーティも何もないだろ。」


ん?

そりゃそうだ。

しかも、シン王子がうまくやることが、私たちの中では絶対な訳で…

そこまで心配する必要はない?


「シンがうまくやることを、願っておけ。」


ある意味、人任せ戦法とも言えなくはないけど、シン王子を信じているからこそだし…

うんうん。

そう言うことにしておこう。

頼む、シン王子。

私に、パーティマナーが必要ないようにしてくれ。


「安心しきっているが、挨拶はどうあがいてもする必要があると思うぞ?」

「えぇ…」

「だから、あのお辞儀だけは何とかしておけと言っているんだ。異世界人のお前が、あのお辞儀をしたことで、王族との繋がりが出来たんだからな。」


確かに、トリウェア女王もお辞儀に反応していたなぁ。

クラト公子やナンナル王子もそんな感じだったし。


「いいか。その世界のマナーを異世界人がやったら嬉しい物なんだ。誠心誠意、やればいい。」


熱血講師のように、熱く語るネロに圧倒される。

急にどうしたの…?


「何キョトンとしているんだよ。」

「え?あ、ごめん。」

「ごめんじゃない。」


すみません…


「分かったなら、さっさと復習をするんだ。前回なかった、人物の情報も多少あるんだ。

前回よりも、俺たちは情報戦で勝っているんだよ。」


婚約パーティでも、情報戦ってあるの?

あの探り合う視線は、耐えがたいものがあったんだけど。


「パーティなんて、そんなものだ。」


ネロはパーティに嫌な思い出でもあるのかな?


「何が起こるか分からないからな。いくら令嬢から招待されているとはいえ、周りが全員味方というわけではない。」

「なるほど…」

「チヒロ節を見せた瞬間に持っていかれると思え。」


な、なにを持っていかれるのだろうか?

ネロの熱血指導により、私がパーティの復習を終えるころには、ゲッソリと疲れ果てているのだった。

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