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238話 想定外だけど、想定内です


小さい頃の話で盛り上がり、長い、長い道のりは終わりを告げる。

やはり何か話しながらのお散歩は楽しいし、早く感じる。

もはや、お散歩と言っていいのか分からない距離を歩いて来ている自覚はあるけども。

長い、重い、深いはほぼ三連発できたと言ってもいい。

長い道、重い岩、深い海。

ここは、かなりのハイペースで見つけられた。

だから、長い道の終わりは、重い、深いの終わりでもあるのだ。


「やっとここまで来たな。」

「そうですね。小さい海。」


地上のモアナから流れ落ちる水。


「やはり、夜は明けて、太陽は昇っているな。」

「そうですね。時間が分からないとはいえ、単純計算しても予想通りと言った感じです。」


モアナの穴から差し込む光を見て、目を細める。

ずっと、暗闇の中で刻印の明かりのみで歩いてきたのだ。

差し込む光がとても眩しい。

これ、外に出たら、目に支障をきたすのでは?

それくらい長い時間、この地下を体験した気がする。

ぶっちゃけて言うと、半日くらいなんだけどね?


「今夜のパーティで、アルビナは婚約するんだな。」

「その予定だと聞いてます。」

「君たち二人は、招待を受けているんだろう?」

「受けてはいますけど…パーティは苦手ですね。」


それに、裏事情を知っている身としては、あまりおめでたいとも思えないし。

でも、アルビナ令嬢が覚悟を持って招待してくれたのだから、行かないわけにはいかないのだけど。


「小さい海にさえ着いてしまえば、気球はすぐそこだな。」

「そうですね。あとは、エンゲルストラートを登り、そのままカナリスに帰るだけ。」

「アルトゥンに寄る必要はないしな。」

「そうだね。」


この調子で行けるのであれば、夜のパーティには間に合いそうだ。

ここまで本当に長かった…


「月の約束がここまでハードなミッションだったとは思わなかったな。」

「そうだな。ひたすら歩くというのは、なかなかにキツイ。」

「とにかく帰りがきつい。」


ネロは、きついと言いつつも、あと少しで気球に到着することが分かっているため、表情も心なしか明るく見える。

やっぱり、ネロが言っていたように、飛び続けるのも相当疲れるんだろうな。


小さな海の水際を歩き、最短距離で気球を目指していく。


「見えてきたな。」


目を細めて、遠くの方を見ると、昨日使かったはずなのになぜか懐かしく感じる気球が見えた。

少し奥の方で気球が見えてくると、どこかほっとした気分になった。

足がパンパンで駆け寄りたいのに、駆け寄れない。

でも、一歩ずつ気球に近づいているのが、目視で分かる。


「だぁ…歩き、疲れたぁ。」


気球に着いて、その場にしゃがみ込む。

ホントに疲れた。

でも、達成感のある気持ちのいい疲れのような気がした。

気球に着いたから言えることだけど。


「よし。地上に上がろう。気球に乗り込んでくれ。」


シン王子が気球に乗り、私とネロが気球に乗るのを促す。

私が乗ろうとして、ネロが違う方を向いていることに気が付いた。


「ネロ?乗らないの?」

「いや…乗るが…」


どうかしたのだろうか?

私は、ネロが見つめている方を見て、目を見開いた。

途中で消えていたエンゲルストラートの滝が復活している。

それも、地上で見た時のように、流れる水はすさまじい量。

滝の水が消えていたことにより、出来ていた道が無くなり、そこは行き止まりとなっていた。


「これじゃ、通れない。」

「…次の満月まで待つことなんて無理だ。」


やっぱり、あの滝の水の限りがあったのは、満月の日だったからなんだなぁ。

可能性を考えなかったわけじゃないんだよね。

帰るときに、大体のかかった時間をシン王子から聞いたときから気になっていたのだ。

満月の日にこのルートに入ったはいいけど、満月の日が終わるまでに出ることが出来なければどうなのだろうと。

一番ルートに影響しそうなのは、ここ、エンゲルストラートの滝だということも。


私は、気球の周辺を見回し、ニヤリと笑った。

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