237話 子どものころの遊び方
ネロと遊ぶために提案したしりとりの話で、ここまで盛り上がるとは思わなかった。
なんといっても、シン王子の食いつきが凄い。
しりとり以外でも、子供のころに遊んでいた物を挙げるたびに、シン王子は食いついてきた。
それはどんな遊びで、どんな効果があるのか、どんなルールなどなど。
私が最初に挙げた物が多かったため、それを全部聞かれた後に、他には?と聞いてくる始末である。
暇だなと思った、さっきまでの時間は何だったのだろうか?
今は、ずっとしゃべりっぱなしである。
かくれんぼ、ケイドロ、そして鬼ごっこの派生系、高オニ、色オニ。
家の中の遊びでも、けん玉、コマ、カルタ。
興味を持ってくれることは、とても嬉しいんだけど、そんなに興味深い話だったのだろうか?
「プティテーラでは、小さい頃どんな遊びを?」
「そうだな…他は知らないが、俺の場合は、子どものころから、プティテーラの歴史や、経済、財政などを学び、マナーや所作を一通りやったな。他にも、プティテーラのことは、誰よりも知っているようにという教えに従い、図書館で本をよく読んでいた。そして、上に立つものとしての自覚を持てと、帝王学や心理学といったことも学んでいたな。」
え?
学び、学び、学び…
今の話を聞いていると、常に何かを学んでいるような感じだ。
「遊んだりはしなかったのですか?」
「そうだな。本を読むのも好きだったが、遊びとは少し違う気がする。剣を持ったこともあったが、それも遊びとは違うだろうな。」
窮屈には感じなかったのだろうか?
「俺は、それが当たり前だったからな。そうだな…俺にとっての遊びは、ナトゥラの探検がそれに当たるかもしれないな。」
「そういえば、小さい頃から、ナトゥラによく行ったと言っていましたね。」
小さい頃からのナトゥラ探検。
相当、アウトドアでアクティブだと思う。
私の住んでいた場所でやったら、迷子の通報をされてしまいそうだ
「あぁ。初めは、アルビナとの約束を果たすための探検だったが、それを通して、俺はよりプティテーラが好きになったからな。ナトゥラという自然の中で、俺は様々な経験をしたのだろう。普通の王族とは、全く違った立ち振る舞いだったに違いない。」
シン王子は、自分の今までの行いを思い出しているのか、クスクスと笑っている。
「そういった意味でも、アルビナには感謝しないとな。俺の世界は、アルビナが広げてくれたと言っても過言ではないな。」
「結局、そこに行きつくんですね…」
このバカップルめ。
さっさと、くっ付いてください。
周りが迷惑しちゃうので。
この王子は、何か話すごとに、アルビナ令嬢へと結びつけないと気が済まないのかな…
なんで、本人の前でそれが出来ないの?
この、俺様ヘタレ王子が…
「それにしても、子どもの遊びというものは、奥が深いんだな。プティテーラでも、ぜひ導入したい。今度、市場調査でもするかな…」
「私の所では、その土地柄に応じてルールが少しずつ違うことがありました。ローカルルールというか…」
「ローカルルール?」
「はい。地方によって、遊び方が違うんです。鬼ごっこでも、タッチされたらオニ交代の所もあれば、タッチされたらオニが増える所もあります。牢屋に行くところもありますし。」
「牢屋?物騒だな。」
いやいや…
「本物ではなくて、ですね?鬼にタッチされると、捕えられてしまい、決められたところに運ばれます。そして、牢屋に行ってしまった人は、味方から、タッチしてもらうと逃げ出すことが出来るんです。」
「脱獄じゃないか。」
そんな怖い顔しなくても…
「まぁ…遊びなので。」
「遊びならいいのか…」
「あくまで、鬼ごっこの延長です。」
「小さい頃から、脱獄を経験するもの面白いかもしれないな。」
そんなガチの脱獄経験は要らないと思います。
簡易的な牢屋でいいんだけどな…
柱の周辺を牢屋に見立てたりしてたから、遊びじゃなければ逃げ放題だよ…
あはは…と笑う。
シン王子の考えが私にはまったく思いつきそうもなくて、聞いていて面白かった。
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