227話 岩に刻まれた八枚のパネル
動かすことが出来る八枚の絵が描かれた岩のパネル。
「丸、ふにゃふにゃ三本、半円の上に三本のふにゃふにゃ、にょろにょろがいっぱい、丸に棒がいくつも伸びているもの、六角形、七つの半円、二本の棒。」
私、何言っているんだろうか…
「これらのイラストは何を表しているんだ?」
ジッとパネルを見つめていた所に、シン王子が上から覗いてくる。
「シン王子も、これらの記号に何か見覚えないですか?」
「いや、ないな。ただ、丸に棒がいくつも伸びているもの…だったか?それは、太陽に見える。」
同意である。
太陽を表しているように見える記号。
「これが太陽だとして、共通点は何かないんですかね?」
「そうだな…プティテーラで太陽が関連するものと言えば、月の約束、それから五大一族。月、虹、雫、火、太陽だな。」
五大一族だとしたら、他の三つのパネルは何?となるし
「でも、この七つの半円は、虹に見える気がしないか?」
「ほんとだ。虹と言われれば、虹にしか見えなくなってくるね。」
他に行けそうなものは…
「あ、なら、半円の上にふにゃふにゃ三本。これは、火じゃない?」
「なんでだ?」
「穴から出ている火ってことじゃないかな?地獄は、穴から出ている火なんでしょ?」
私からすると、半円から湯気が立っている温泉のマークにしか見えないんだけど…
さっきみた茹った滝壺をみて、そうじゃないかと思えたわけだ。
「あとは、雫と月だけだが…」
「月は、丸ではないですか?満月ということで。」
「じゃあ、雫と他三つのパネルは何だ?」
シン王子…
「…違うんじゃないか?」
「そうだね。他にないんですか?太陽に関わりそうなこと。」
「あるかもしれないが、俺は知らない。」
シン王子?
さっきからバッサリと切り過ぎです。
「太陽、虹、火、月…いい感じで埋まっていったと思ったのになぁ。」
「いい線はいったな。」
「だよねぇ…」
ここまで、クヴェレ殿下…
なぜここに来て、クヴェレ殿下のお言葉がないのでしょうか…
まったく悪くないクヴェレ殿下に向かって、心の中で悪態をついた。
だいたい、今まで重要な場所や目印になるようなものは、クヴェレ殿下のお言葉に入っていたのだ。
それなのに、ここだけは自力で解けという事なのか?
それとも、何か気が付いていないことでもあるのだろうか。
私はもう一度、クヴェレ殿下の言葉を頭の中に思い浮かべた。
導きの橋は消えず、流れ落ちる水は永遠。
しかし永遠には限りがある。その先は深く重く長い。
進むは地獄。扉は開かん。時が満ちるその日まで。
…気が付けていないことなんてある?
進むは地獄。
これは、さっきの滝の所だし、扉があかないのは今現在。
この間に何か欲しいけど、何もない。
「導きの橋…虹…」
シン王子がぼそりと呟く。
おそらく同じことを考えて、クヴェレ殿下の話を思い出しているんだろう。
導きの橋…虹。
虹…?
ちょっと待てよ。
導きの橋は虹、流れ落ちる水は滝。
深い海、重い岩、長い道。
地獄は炎。
時が満ちるのは月。
「シン王子、前に太陽の一族がトップに向いていると言ってたことがありますよね?」
「あ、あぁ。」
「それは、なんでですか?」
シン王子は私の質問の意図をくみ取るためなのか、まっすぐ目を見てきた。
「月は太陽がないと輝かない。月は自ら光るものではないからだ。太陽は象徴であり、宝だ。」
なるほど。
プティテーラの人にとって、太陽は宝…
「なら、石の扉の先…月の約束の終わりにあるものは、太陽かもしれませんね。」
私は、シン王子に向かって、にっこりと笑った。
そして、クヴェレ殿下…
あなたは、とても過保護です。
シン王子に話した内容は、本当に月の約束のすべてだったということですね。
ここにはいないクヴェレ殿下を思い出し、フフッと笑ってしまうのだった。
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