226話 扉を開ける手掛かりはどこ?
シン王子が、扉にぐっと力を入れても開かない。
クヴェレ殿下の話の通りに来たと思うんだけどなぁ…
私は扉に歩み寄り、扉を近くから観察してみることにする。
それを見てシン王子は、扉の前から横にずれてくれた。
じっと石の扉を見つめ、取り合えずシン王子がやっていたように、グッと体重をかけて押してみる。
押しても動かない。
押してダメなら、引いてみろ。
なら引いてみるのはどうだろうか?
動かない…
扉は押すのと引くのだけではない。じゃあ、
スライドとか?
動かない…
「なんでだろう?」
「やっぱり、違ったのか?」
ここまでの条件をそろえて、違うことなどあるのだろうか。
「純粋に力が足りないからなのだろうか?」
シン王子が扉の傍に来て、手のひらで扉を触りながら聞いてきた。
「いえ、それならマニさんも誰かを連れてここに入ったことになりませんか?」
「それに、単純に力の問題なら、そもそもこの石の扉を開けようとすること自体が無謀だろうな。」
うん。
私もネロと同意見。
石の扉なんて、力で開こうとするのが無謀な気がする。
「なにかあるだろうな。」
「うん。そうだね。」
扉を観察して手掛かりを探す。
扉を開けるための仕掛けが何かあるはずだ。
ここに来て、仕掛けを解く系の物が出てきたか?
扉を端から端までじっくりと見る。
なにか…
「ねぇ、ネロ?何かあった?」
「ないな。」
「ないね。」
扉には何もない。
触っても何も起こらなかったし。
扉じゃないのかな?
あたりを見回しても、壁に刻まれた古代の文字でびっしり。
「もしかして、この古代の文字が関係しているのか?」
「そうだとしたら、もう運に任せて、片っ端から試せることを試すしかなくなりますが…」
だって、古代の文字がなんて書かれているか、誰も読めないんだもん。
そうだとしたら、最悪すぎるのだけど。
「プティテーラには、古代の文字について文献などはあるんですか?」
「俺は見たことがない。こんな文字は、初めて見た。」
シン王子が知らない可能性もあるんだけど、あれだけナトゥラについて調査していたのだから、図書館にだってよく行っていたのだろう。
そのシン王子が知らないなら、プティテーラにはそれについて記された文献はないんじゃないかな。
そして、ここにたどり着いたであろう人たちは、マニさんとクヴェレ殿下の二人。
おそらくその二人は、この扉の奥に行っている。
古代の文字は、扉を開くためのカギではないと思う。
「なぁ、ここだけおかしくないか?」
ネロは、扉のすぐ近くにある壁を指さす。
「何がおかしいの?」
「壁一面に古代の文字が刻まれているが、ここだけ刻まれ方が違わないか?」
刻まれ方?
言われてみれば、刻まれ方が古代の文字に比べて、新しいような気がしなくもない…?
でも、私には、そこまでの違いがあるようには見えないけど。
「お前なぁ…目に魔力でも集めて、ここを見て見ろよ。」
あ、そっか。
そういう手があったのか。
時間はかかるけど、ゆっくりなら魔力の操作ができるようになっているんだから。
言われた通り、魔力を集めて、ネロが指を指した部分を見る。
「ほんとだ。他のより新しいかも。」
「あぁ、それにここだけ動く。」
え?
そうなの?
力を解いて、ネロの方へ駆け寄る。
「これは…気が付かないね…」
よく見ると、切れ込みが入っていて、触ると岩がスライドするようになっているみたいだ。
それに、スライドが出来る岩が全部で八枚。
そこには、絵が描かれていた。
「丸、ふにゃふにゃが三本、にょろにょろがいっぱい…」
「これは太陽じゃないか?」
「ぽいね。」
他にも書かれているんだけど、あまりにも抽象的すぎて分からない。
この絵のパネルをどうにかすると、この扉は開くのかな?
時が満ちても、謎を解かないと開かないのね…
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