222話 滝の下は地獄の釜茹?
長い、長い道をひたすら歩き続けた。
「ありましたね。」
地下にまで流れ落ちる炎の水。
地上では、光の反射で炎の様に見えていたらしいけど、地下でも燃えるような滝に見えているのはなぜだろう。
赤く燃え盛る炎の滝は、マグマのように色を付けて下へと流れ落ちていく。
「…あれ、ほんとに水ですか?」
「バンシャラールの滝は水のはずだが?」
「滝つぼらしきところは、ぐつぐつと煮立っているように見えるけどな。」
あれは、お湯…?
もしかして、沸騰しているのか?
湯気が立ち、あたりも白くなっている。
「地獄は、これを例えていたのでしょうか?」
「いや、炎の滝はその通りかもしれないが、沸騰する水は地獄とは関係ないだろ。」
私の所には、熱々の鍋釜みたいなのがあったような気がするけど…
プティテーラで知られていないのであれば、関係ないのかな?
「じゃあ、炎の滝は地獄を表しているものの一つであり、クヴェレ殿下が言っていた、進むは地獄の目印にはならないと…」
「ならば、まだ長い道の最中ということだな。」
「進むしかないな。」
進むと言っても、目の前には炎の滝があってどうにもならないと思うんだけど。
でも、今まで一本道だったしなぁ。
道が変わるのであれば、クヴェレ殿下が目印に何か言い残しているはずだし…
なら、まっすぐに進むだけなんだろうけど。
目の前の炎の滝をいろんな角度から観察してみる。
改めてみると、ほんとに炎が上から流れ落ちているみたいなんだよね。
ここには、光の反射などないはずなのに、どうやって…
むしろ、水自身がマグマのように発光しているようにすら見える。
「あ…」
「なんだ?」
「この炎の滝のサイド、人が通れそうな感じしませんか?」
目の前は、滝だが、滝の両サイド。
「ほんとだな。滝の裏側が通れるようになっている。」
「またもや、熱々の滝スレスレの裏側を通ることになりそうですね。」
これホントに燃えてないよね。
お湯も嫌だけど、炎はもっと嫌だけど?
「行くぞ。」
ですよね。
分かっていますけど。
シン王子は、炎の滝の横から、滝の裏側へと行く。
「シン王子、大丈夫ですか?」
「跳ね返ってくる滝の水が熱い。」
そりゃそうだよ。
めっちゃ湯気立ってるし、グツグツしてるもん。
これで熱くなかったら詐欺だ。
「どうですか?通れそうですか?」
「通れないこともない。」
なるほど。
微妙ということですね。
多少の犠牲は覚悟しろってことかな?
「あ!」
滝の裏から、シン王子の大きな声が聞こえる。
「シン王子?どうしました?怪我しました?火傷しました?大丈夫ですか?」
「落ち着けよ…」
シン王子が先に行ったのって、失敗だったんじゃない?
むしろ、王子をなぜ先に行かせてしまったのだろう…
王子に何かあったらまずいでしょ。
自分の身に何かあるのも嫌だけど、シン王子の身に何かあるのは、マズイ。
「ネロは、なんでそんなに落ち着いているの?」
「今の声は、シンの身に何かあった時に出るような、とっさの声じゃないだろ?」
…そうだっけ?
「何か発見した時の、声じゃないのか?」
発見?
「滝の裏側に何かあるっていう事?」
「可能性はあるだろ。」
シン王子は、先ほど声を上げてから何も言ってこない。
「シン王子?大丈夫ですか?」
返事なし…
え?
ホントに無事?
「シン王子、無事なら返事してください。」
大きな声でシン王子に呼びかける。
「滝の音のせいで声が届いていない可能性があるな。」
「さっきは聞こえたけど?」
「横から辛うじてだろ?」
えぇ…
ホントに?
結構大きな声じゃなかった?
「シン王子からの返答はなく心配だし、後を追おうか。」
それに、この先に何があったのか、気になるし。
「そうだな。」
私とネロは、シン王子が行ったように、炎の滝の横から、滝の後ろを通ってシン王子を追いかけることにした。
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