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220話 長い道のりには、休憩が必要です


歩き続けてどれくらいたったのだろうか…

歩いても、歩いても同じ道、同じ風景。

この道、ほんとに長いんだけど…

それに目的地がどこにあるか分からないため、今どれだけ歩いたのかも分からないから、若干しんどいぞ?

シン王子も、ネロも黙って歩みを進めている。

余計な体力を消耗しないためかな?

良くない空気感な気がする。

これは、きついなぁ。

その先は長いと話にも出てきたから、そういう意味ではあっていると思うんだけど。

ここまで風景に変化がないと、本当にあっているのか不安になってこない?


「休憩をするか。」

「賛成です。」


洞窟の地面に座ってみると、体に一気に疲労が来た。


「あー…」

「おっさんみたいだな」

「うるさいよ。自然と出る声は、出した方がいいんだよ。」


ネロに文句を言いながら、足をもみもみと触ってみる。

足なんか、もうパンパンだなぁ。

休憩させてくれて、助かったかも。

シン王子は神様かもしれない…


「ほら、水いるか?」

「え、シン王子の分では?」

「先ほど、エンゲルストラートの滝で水を人数分、汲んでおいたんだ。」


おや?

神様がいるぞ?


「ありがとうございます。」


シン王子から、ボトルを受け取り口をつける。


「あーあぁ、生き返る…」


隣ではネロもゴキュゴキュとボトルを抱え、水を飲んでいた。

ネロも喉が渇いていたんだろうな。

それにしても、このボトル結構重たいけど、シン王子はずっとこのボトルを三本持ってこの道を歩いてきたってことだよね。

これは、本当に感謝しないといけないな。


「先ほどは、海の水を飲んでいたからな。その時に渡そうかと思ったが、タイミングを失ってな。」


そう言えば、シン王子のナトゥラの水は飲めるという言葉を信じて飲んだ水は、海水だったんだよね。

それで、すぐに岩の話に移っていってしまったから、話すタイミングがなかったんだろうな。

興味もそっちに移ってしまったから、喉が渇いたということも、今の今まですっかり忘れていたし。


「あの時は、水を飲んだ結果、海だと分かり、目印だということも分かりましたので、飲んでみてよかったです。」


あの水を飲んでいなかったら、湖だと勘違いしたままだったし、もしかしたらクヴェレ殿下の話にも気が付けなかったかもしれない。

まぁ、湖が深いという考え方もあると言えばあるけど。

ナトゥラにある湖は、浅いイメージの方が強いみたいだし、しばらく時間がかかったかもしれない。


足をポンポンと叩きながら、足のマッサージをする。

まだまだ歩きそうだし、行く末は分からないし。


「お腹はすいていないか?」

「私はまだ平気です。」

「俺も平気だ。」

「そうか…」


シン王子、そんなにシュンとした顔をしないでください。

罪悪感が出て来てしまうでしょ。


「シン王子は、お腹がすいたんですか?」

「いや、俺もまだ空いていない」


さっきのシュンとした顔は何だったの?

お腹が空いて、ご飯が食べたいの顔ではないのか?


「おもしろいカップの麺があってだな。それを見せるタイミングがそろそろかと…」

「いえ、まだ大丈夫ですよ。」


ソワソワするシン王子の言葉をバッサリと切る。

そして、私のボトルとネロが受け取ったボトルをカバンの中にしまい終え、座ったまま体をぐっと伸ばし、立ち上がる。

そろそろ歩くのを再開した方がよさそうだ。

このままでは、シン王子がカップ麺のプレゼンを始めてしまいそうだし。


「休憩ありがとうございました。私は、もう大丈夫です。ネロはどう?」

「俺も行ける。」


私とネロがシン王子の方を見ると、シン王子も立ち上がった。


「それでは、行くか。」

「まだまだ、先は長そうですね。」


気合を入れるために、大きく息をつく。


「だが、この先に月の約束があるだろ?」


ネロはニヤリと笑っていた。


「ふふっ。そうだね。この先に月の約束がある。」


まだまだ続く道を見据えて、私たちはまた歩き始めるのだった。

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