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219話 いつの間にか運命共同体?


「先ほどまで通って来た洞窟の歩きにくい道と違って、急に歩きやすくなりましたよね。」


目印である大きな岩から、細い道を通って、その先の道。

その道は、洞窟のようにごつごつとした道ではなくなっていた。


「先ほどよりな。すごい歩きやすいわけではないだろ?」


この王子は、こんな自然に何を求めているのだろうか?


「なんだその顔は?」

「いえ、別に。」


危ない、危ない。


「この先に進むと、地獄があるんだったな。」


あぁ、クヴェレ殿下の話か。

その先は深く重く長い。

進むは地獄。扉は開かん。時が満ちるその日まで。


「今までの傾向だと、そこにあるものを表しているだけなので、そんなに危険なことになるとは思わないんですけど…」


まだ、地獄体験なんかしたくないよ。


「じゃあ、地獄というのも、何か目印を表しているという事か。」

「おそらくですけど。なので、地獄と言えば、を考えて見合ったものがあれば、それは月の約束の目印ということになるんじゃないですか?」

「地獄と言えば、か…」


ネロのつぶやき後に、静寂。

ネロも、シン王子も考えているんだろうな。

地獄と言えばを。

地球の地獄の概念と異世界の地獄の概念って一緒なのかな?


「チヒロの所では、地獄と言えばなんなんだ?」

「私の所ですか?私のところは、いろいろ言い伝えがありましたね。そもそも地獄というのは、私たちが住んでいる場所ではないところ…むしろ想像上にあった可能性もありますし…。地獄といっても、共通認識ではなく、ふわっとしていた気がします。」

「なんだそれ?」

「同じ神をあがめる人たちとかは、共通認識があったかもしれないですけど。」

「じゃあ、地獄というものは架空なのか?」


架空…?

架空とは少し違うような…


「あるとされていたけど、地獄という存在を見たことがないから、聞いた話だけで想像しなくてはいけない。それぞれ、想像することが違うから、イメージが共有されにくいのかもしれないですね。」

「分かるような、分からないようなだな。」

「でも、共通認識もあります。もちろん全員じゃないですけど。例えば、閻魔大王様がいて、嘘を付いたら舌を抜かれるとか。針地獄、熱湯地獄、極寒地獄などなど、地獄には種類があるとか。地獄には鬼がいて、鬼が地獄に落ちた人たちを監視しているとか?」


他にも考えれば思いつきそうだけど、ここまでにしよう。

シン王子とネロがパニックになってしまう。


「閻魔大王って誰だ?」

「地獄には種類がある…面白いな。」

「別に地獄じゃなくても、鬼いるだろ。そこらへんに。」


そして、私もパニックになりそうだから、今はもうやめよう。

地球では、鬼はそこらへんに歩いていないの。

多分。

私が見えないだけかな…


「私の話は、取り合えずいいんです。クヴェレ殿下の口伝なんだから、プティテーラの地獄のイメージでいいのでは?」

「俺の地獄のイメージは…燃え盛る炎と、深い穴だな。」

「燃え盛る炎と、深い穴…」

「あぁ、そこに落ちたものは、炎に焼かれ、二度と戻ってこられない。そんな、熱く深い穴だ。」

「他にイメージは…」

「いや、ない。炎と深い穴。これが、プティテーラで地獄と言われているものの詳細だ。」


ないのか。

じゃあ、クヴェレ殿下が言っている地獄というのは、そういう事なのかな。


…ちょっと、待って。

それがイメージするものだとしたら、この先って結構危ないかもしれない?

そのまま炎の穴がある訳ではないよね。

そうと願いたい。

導きの橋が虹だったように、地獄という言葉も何かに例えていると思いたい。


顔を引きつらせて、シン王子を見る。

するとシン王子は、私とネロを見て、とてもいい笑顔を浮かべた。


「ここまでくれば、運命共同体だろ?悪いが、俺のために、一緒に地獄へ行ってもらうぞ。」


…嫌すぎる。

そんないい笑顔で言ってきても、ダメだから。

却下です。


「運命共同体なんて言葉は、アルビナ令嬢に言えばいいのでは?」

「アルビナとは、すでにそうなんだよ。いまさら何を言ってるんだ?」


この王子は、ほんとに何を言っているんだ?


「勘弁してください。」

「勘弁しろ…」


私とネロの切実な言葉が、長い長い空間に消えていくのだった。

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