表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
222/953

218話 深い海と重い岩そして長い…


海の水面を見てふと思う。

クヴェレ殿下がシン王子に話した内容ってなんだっけ?

しかし、永遠には限りがある。

これは、エンゲルストラートの流れ落ちる滝の水のこと。

そして、その先にはしっかりと道があった。

次に続く言葉。

その先は深く重く長い。


「深くねぇ…」

「どうかしたのか?」


水面を見つめながら、ぼそりと呟くと、私の言葉を拾い、ネロは聞いてきた。


「クヴェレ殿下の話を思い出してたの。その先は深く重く長い。」


私がそう告げると、ネロは海の方をちらりと見る。


「なるほどな。」

「ね。その先は深く…これはこの海のことだろうね。」


深い地下、そして深い海。


「じゃあ、重いって何のことだと思う?」

「あれじゃないか?」

「シン王子。どこに行ってたんですか?」

「君たちが水面をボーっと見つめているので、少し奥まで行ってきたんだ。」


また、一人で奥まで行っていたんだ。

この王子様はアクティブだな。


「それで、あれとは?」

「あれだ。」


シン王子が指さす方を見てみると、大きな岩がドカンと置いてあった。


「え?岩ですか…」

「あぁ。重すぎて、押してもびくともしなかった。」


洞窟内をふさぐ、大きな岩。

私とネロも岩の近くまで行き、触って確かめる。

これは動きそうにないな…


「隙間から見るに、この先には道がある。だが、この岩が動かないんだよな。」


隙間?

ほんとだ。

向こうに続いている気配はあるな。

暗くて見えないけど、岩の向こうから風が吹いている。


「これは、重いですね…」


重いのは分かったけど、これじゃあ先に進めないな。

クヴェレ殿下の話では、この岩についてどうこうするという話はなかった。

それに、何かの謎を解いて先に進むというよりは、道しるべになるようなものを話に残している気がする。

導きの虹、流れ落ちる水。

その先は深く重く長い。

深くを表すのが海で、重くを表すのが岩。


私は行き先をふさぐ岩に触れながら、岩の方ではなく、道かどうか怪しい洞窟に沿って歩いてみる。


「おい、危ないぞ。」


シン王子の焦った声が聞こえる。

それもそうだ。

だって、足を踏み外したら海に落ちてしまいそうなほどの狭い道を歩いている。


明らかに道であるのは、岩の向こう側に続く方だけど、あの岩はどかすための仕掛けではなく、ただの目印。

そしてこの洞窟の中で長いという言葉を表すとしたら、それは道のことだと思う。

深い海、重い岩、そして長い道。

重い岩を目印に長い道を進んで行けと言うことではないかな?

細すぎて人一人通るのがやっとの道だけど。

ズリズリと洞窟の壁に沿って歩いた先。

そこには少し広い空間と先に続く長い道。


あった。

私は今来た方へ向かって声を張る。


「シン王子。ネロ。この先にも道があります。」


すると明かりの刻印が見える方から声が返ってきた。


「ほんとうか。」

「はい。大きな岩を触りながら、洞窟に沿って、細い道があります。道と言っても、人一人が通れればいい位の道なのですが。」


明かりの刻印が揺らめき、岩の方を確認しているのが分かる。


「そこの細い道は通ってこれますか?」

「行ける。」


シン王子がいけるなら大丈夫だろう。

なんせネロは飛んでいますから。


「ネロ、シン王子を誘導してあげて。」

「分かっている。」


さすがネロ。

頼もしい返事が聞けて安心だ。

さて、明かりを照らす限り、ずっと道が続いているみたいだし。

ここを歩いていくのが正解なんだろうな、何となくだけど。


シン王子とネロが細い道を通って、やや広い空間に到着した。


「ここが正解の道なのか?」

「おそらくですが。」

「なんで分かった。」

「クヴェレ殿下の話は、そこに何があるのかという目印を提示するもので、それをどうにかしろという話は今までありませんでした。なので、あくまであの岩は目印であり、その先に何かあると思ったんです。」

「その先というのは、長いという言葉か?」

「はい。この洞窟内で長いと使えそうで、目印になりそうなのは道かなと。」


結果、細い道から続き、まだまだ続く長い道があったわけだ。

クヴェレ殿下、絶対にこの場所に来たことあるよね。

ここまで正確に目印を示せるなんて、来たことある人しかありえないでしょ。


まぁ、そのおかげで頭は使うけど、迷わずここまで来れているわけだから、感謝しかないけど。

今度、会える機会があったら、クヴェレ殿下にお礼を言おう。


「その先は長い…まだまだこの道を歩くということだな。」


三人揃ったところで、再び私たちは、道に沿って歩き始めた。

読んでいただき、ありがとうございます!


よろしければ、

評価、ブックマーク、感想等いただけると

嬉しいです!


よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ