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195話 お土産決定?


「着いたぞ。」


シン王子に街中を連れまわしてもらって、やっとたどり着いた目的地。

足に疲れを感じるような気もするけど、知らないふりをして、目線を向ける。


「お店?」


先ほど見たお店と大して変わらない外観。

むしろ、太陽の街の雰囲気にしっかり馴染んでいる気がする。

な、何の店なの?


「中に入るぞ。」

「え?入るんですか?」

「あぁ、ここは俺も顔見知りだからな。」


へぇ。

ということは、シン王子がお城を抜け出しているのもよく知っている人なのか…


「それ大丈夫ですか?」

「何がだ。」

「いえ、なにも。」


触らぬが神。

にっこり笑って、シン王子の追及をかわし、再びお店の方に視線を向けた。


「入らないんですか?」

「入る。」


シン王子がドアを開けてくれて、中に入っていく。


「へ?」


ドアを引くと室内は、見たこともない異様な光景。


「仮面の店だ。」


仮面の店?

そうなのだ。

店のいたるところに、白塗フルフェイスにフワフワの羽を付けた派手な仮面や、鼻のところが異様に尖った仮面。

とにかく、顔の部分にゴテゴテとした装飾が飾られている。

ゴテゴテはしているんだけど、上品な仮面と言うか、気品ある仮面と言うか。


「プティテーラでは、昔仮面をつけて生活する文化があってな。社交界だと、仮面のロマンスがあったほどだ。」

「今はないんですか?」

「仮面をつけている奴を見たか?」


見てないな。

私は、首を振って返答をする。


「仮面は、身分や素性を隠すために使われてきた。年に一度のお祭りや、社交界の仮面舞踏会で身分の違いが関係なく楽しめるように仮面をつけるんだよ。今じゃ、身分の差の恋愛は、大して問題になっていないが、今でもお祭りになると仮面をつけて楽しむ文化が残っている。」

「仮面をつけてのお祭りですか…いいなぁ。」

「今年は終わってしまったから、次のチャンスは来年だな。」


来年かぁ…

プティテーラの仮面祭。


「仮面舞踏会は、いつでもできるぞ?開いてやろうか?」

「パーティはもういいです。しかも、シン王子は、それどころじゃないと思いますけど?」


アルビナ令嬢どうするのさ。


「あぁ…アルビナはいつも隣にいたから、今は隣にいないということを忘れてしまうな。空気のようにさ。」


それ誉め言葉だろうか?

アルビナ令嬢には、何となく絶対言わない方がいいと思うけど…

シン王子は褒めているんだろう。

まぁ、空気は絶対にないと困るものだし、あるのが当たり前だもんね。

誉め言葉として聞いておこう。


「仮面ってしっかりできていて、お値段が結構行きそうだと思ったんですけどお手軽なものもあるんですね。」


仮面を一つ一つ見ていくと、値段がピンからキリまで。

出来がそこまで違うように見えないから、なぜこうなってしまっているのか全く分からない。


「仮面は、貴族も平民も身分を忘れることが出来るものだ。平民も仮面を買うんだよ。高価すぎると、買ってもらえないだろ?だから、見た目はそんなに違わないのに、値段が全然違うんだ。」


へぇ。


「祭りや、仮面舞踏会では、絶対のルールで、家に帰るまで仮面を取らないというものがあったらしい。自分のしがらみを忘れ、楽しめる日。それが、仮面祭だった。仮面舞踏会は、仮面祭を真似た貴族の遊びだ。」

「取ってしまったらどうなるんですか?」

「仮面を取ってしまったら、現実に戻る。先ほども言ったが、当時は身分の差があった。仮面をつけた者たちから、嘲笑が待っていたらしい。」


仮面が取れた人だけ、魔法がとけてしまったからか…

あの仮面をつけた人から、嘲笑われるのって、怖すぎるんだけど。


「嘲笑って、今の人たちからはあまりイメージが湧かないですよね。」


私が出会ったのは、王族の人たちと、公爵令嬢、侯爵家の息子と、貴族のトップクラスの人たち。だけど、平民を嘲笑する人たちには見えないんだよな。


「もしいるとしたら、頭の固い奴か、古い奴らだ。ただ、今はあまりいないだろうが。」

「なんでですか?」

「平民のマニが王族のアイネと結婚したからだ。月の約束の前は、そういうこともあったと聞く。」

「それじゃあ、本当に昔の話…」

「あぁ、そういう文化があったのは、本当に昔だろうな。図書館の本にも記載がある。嘲笑とは書かれていないが、それに似たような表現がな。本を読んでいくと面白いのが、表現方法がある日を境に変わった。俺は、月の約束の出来事がきっかけで変わったのではないかと思っているんだ。」


国の話をするシン王子に、器のデカさを感じる。


「人は宝だ。そして力だ。母がよく言っている言葉なのだが、その通りだと思う。」


この人は王様になる器なんだろうな。


「さて、この話はここまでにして。仮面、買うか?」


どうしようかな。

仮面祭があれば、絶対買うんだけど。


「仮面の店があるんだ。仮面祭の日以外でも需要があるって言うことだぞ。」


シン王子の言葉とプティテーラの歴史を聞いて、私は仮面購入を決めた。

読んでいただき、ありがとうございます!


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