194話 もう少しって、いつですか?
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三人でウォーターフルーツを啜り終わり、次の予定へ。
予定といっても何も決まっていないんだけど…
「どこに行くか決まっているのか?」
ウォーターフルーツ飲みたさに太陽の街に来たいと言ったので、とくに行き場所を決めていなかった。
むしろ、ウォーターフルーツを飲んだのだから、目的は達成したと言ってもいい。
うーん。
帰る?
「まさか特にないのか?」
「ウォーターフルーツが飲みたかったので、目的は完了していますね。」
「本気か?」
そんな顔で見ないでほしい。
何か一つを追い求めて、世の中には遠出をする人もいるんだよ。
「逆にシン王子は何かおススメないんですか?」
「逆ってなんだよ。」
「逆は逆ですけど?」
「間違っているのは、俺なのか…?」
私も適当なことを言っているだけなんだけど、強気とどや顔で、私が正しいと思って言うと相手には適当でも通用するみたい。
「まぁいい。おススメだろ?」
「なにかあるんですか?」
「プティテーラの伝統品でも見に行くか?」
伝統品?
プティテーラの?
なにそれ、見たい。
「その顔は、いいってことでいいな。」
「もちろんです。ネロはどう?」
「俺もそれでいい。その世界を知るなら、そういうものは知っておいて損はないしな。」
私とネロの答えに満足そうにするシン王子。
「じゃあ、決まりだな。行くか。」
シン王子の案内に、私とネロは着いていくことにした。
徒歩移動…
プティテーラに来て、徒歩移動ってあんまりしていないかも。
プティテーラの立地上、舟の方が便利なんだよね。
シン王子がこんな風に出歩いているのが、バレてはまずいということで出来るだけ人と関わらず、話しかけず、舟をも借りれず徒歩なんだけど…
前回やったようにシン王子の顔に服をかぶせようとしたら、全力で断られてしまった。
「太陽の街の中の移動なんだから、少しは歩け。」
「そうはいっても、プティテーラって歩くより舟移動の方が便利なのでは?」
「そ、そんなことはない。」
そんなことあるんだ。
だろうねって感じですけど。
だって、水路の向こう側に行くために、橋のある場所を探さないといけないし。
「太陽の街は、水路が少ない方なんだよ。だから、徒歩でも可能だ。」
可能かどうかではなく、楽かどうかなんだけど。
でも、言われてみると、シャムスは水路が少ないかもしれない。
徒歩で歩ける場所と言うか…陸地が多い。
雫の街ワーテルは、舟がないと移動できませんと言うほど、水路が広く、多かった。
対岸に渡るための橋もほとんどなかった気がする。
「太陽の街シャムスと火の街フーは、土地柄や街の役割で水路が少ないんだ。太陽の街は図書館や、博物館、役所といった重要拠点が集中している。そして、フーはモノづくりの街。工業地帯のためあまり水路が引かれていないんだ。」
火の街は分かるけど、太陽の街は水路を引いてもいいような?
「太陽の街に水路が入り組んでいたら何かあった時に、逃げられてしまうだろ?相手をつるし上げるためにも、水路はあまり引かず、開けた場所が多いんだ。」
つるし上げ…
なにとは言わない。
深くはツッコまない。
図書館の時も思ったけど、やっぱりそういう防犯対策はやり過ぎるくらいでちょうどいいのだろうか?
図書館の本、積み上げのように。
「あの、太陽の街内の移動でも、結構歩いた気がするんですが?」
「もう少しだ。」
シン王子の言葉を信じて、ついていったわけだけど…
しばらく歩いて、シン王子に声をかけてみる。
「あの…シン王子?」
「あと少しだな。」
あと少しっていつ?
シン王子のあと少しって、私のあと少しと違いすぎませんか?
私が許容できるあと少しって、五分から十五分くらいなんだけど…
絶対過ぎたよね。
「シン王子…?」
「もう着く。」
はい…
もう大丈夫です…
フワフワと飛んでいるネロに肩をポンと叩かれ、腹が立ちつつ、私はこの状況を諦めるのだった。
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