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191話 時には休息は必要なのです


「俺はあの令嬢から殴られるのは、嫌だけど。」

「いやいや、ネロは私と一緒に怒られようね。」

「怒られない様に、何か手を打てよ…」


ごもっともだけどさ。

シン王子の方をちらりと見て思うことと言えば、シン王子が無事に帰ってこようが、来なかろうがアルビナ令嬢はきっと怒ってシン王子はビンタされると思うんだよね。

シン王子も甘んじてそれを受けるだろうし、私たちもシン王子を巻き込んだもの…いや実際は巻き込まれたからなんだけど、怒られるべきかなと思った。


「お前、シンはともかく、俺らは怒られるだけで済むのか?」

「へ?」

「王族をそそのかした罪とかで捕まるぞ。」

「マジ…?」

「シンだけは、生かして返して、ちゃんと証言させないとダメだ。」


うぇぇ…

それって、難易度マックスじゃない?

やっぱりシン王子は置いていった方が都合がいいような…


「散々な言われようだな。」

「自覚があるならぜひ大人しくしてください。」

「先ほどまで、カッコいいこと言っていたじゃないか。」

「さっきはさっきですね。」


やだ、やだ、やだ…


「はいはい。それで、どうするんだ?」


私が文句を言っているのを軽く流して、シン王子はネロに話しかける。


「そうだな。シンが前にエンゲルストラートへ降りた時、何が必要だと思った?」

「生きていくために最低限必要な物資。」

「だからそれが何か聞いているんだよ。」


シン王子にツッコミを入れているネロ。

おぉ、やっぱりネロはいい反応するね。


「そうだな。食料と防寒具、ロープだな。」


私とネロが予想したものとほぼ一緒。

まぁ、そんなもんだよねぇ。

こういう時に、先人たちの知恵がないときついなぁ。

一応、クヴェレ殿下と言う方がいるけど、シン王子は何も知らないみたいだし。

クヴェレ殿下がシン王子に言っていないということを考えると、私とネロがそれを話していいのか分からないし。

もしかしたら、シン王子もあえて黙っているのかもしれないし。

さっきまで、意地だと言っていたしね。


「俺が下に降りた時は、そんな感じだった。」


そして、シン王子も先人ではあるわけだから…

シン王子がそういうのなら、大丈夫だろう。


「じゃあ、明日はサバイバルバックを作りつつ、火の街にでも行ってみようか。」

「そうだな。」


私の言葉にネロは頷いたが、シン王子は首を傾げた。


「火の街?なんでだ?」

「フレーブを食べに行こうかと思って。」

「それに、火の街はモノづくりの街なんだろ?技術の宝庫を見に行かないでどうする。」

「ちょっと待て。お前たち、観光でもするつもりか?」


シン王子は、立ち上がりわなわなと震えている。


「そうですけど?」

「そうだが?」


「そうじゃない。ナトゥラに行く準備はどうするんだ?」

「だから、サバイバルバックを作りつつと、言っているじゃないですか。」

「もっと、やることがあるだろ?」

「例えば?」


私が問いかけると、シン王子は熱く、そして力説し始めた。


「ナトゥラの調査とか。」

「…すでにシン王子と一緒に行きましたよね?」


「下見は。」

「結果は同じだろうな。」


「……調べ物。」

「調べた結果、今回の結果が出たのでは?」


「…お前たち、情報も時間も準備も足りないと言っていたじゃないか。」

「それは、もちろん。シン王子が行くには、すべてが足りていないと思いますけど。それらすべては、シン王子の安全を守ってくれるものですから。」

「ならば、お前たちの安全も守ることにもなるだろ?」


おや。


「いや、そもそも、二日で出来ることなんて、持ち物をしっかりと用意するくらいしかやることありませんよ?」

「なんでだ?」

「どんな場所に行くかもわからないのに、体力使ってどうするんですか。この二日間…正確には、一日半は、ゆっくり休んで体力をつける、もしくはリラックスをするタイムです。」


はっきりとそう言うと、シン王子は口を閉じる。

焦る気持ちは分かるけど、焦ってもいいことがない。


「悪かった。冷静ではなかったな。」

「その言葉を言える人は、ちゃんと冷静です。安心してください。」


いまだに不服そうな顔をしているシン王子。


「シン王子、ちゃんと休息をとってもらわないと困りますからね。」

「わ、わかった。」

「それでは、明日一緒に火の街に行きましょうか。」

「あぁ…あ?俺が?」


私とネロは、シン王子ににっこりと笑いかける。


「はい。ぜひ行きましょうか。」

「それはいいな。」


二人で盛り上がっていると、やられたという顔をしたシン王子が頭をガシガシと掻いた。


「お前ら、本当に図々しいな。」

「お褒めに預かり光栄です。」


無事、シン王子に案内してもらえることになり、明日も充実した一日が過ごせそうだと、私は思った。

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