188話 ズゴゴ…満月はいつですか?
「それで何か分かったか?」
ズコーズコー
私は、シン王子の差し入れであるウォーターフルーツにハマってしまい、最後の一滴まで飲み干す勢いで、ストローを啜った。
ズコーズゴゴ
うまぁ…
これ、いいな。
買って帰りたい。
お土産とかにいいと思うんだけど、ダメかな?
ズズズズ
氷溶けちゃうかな…
溶けてもいいのか。
溶かすんだし。
「聞いているか?」
「はい!もちろん。」
…なんだろう?
「聞いてなかったな。」
「え?聞いてはいたんですけど、ウォーターフルーツがあまりにも美味しすぎて、意識が若干そっちに行ってしまっていたというか…」
「聞いてなかったんだな。」
……
そうとも言うかな。
「そうとしか言わない。」
「そんなことない。」
ネロのツッコミに思わず否定した。
ネロと言い合いをしていると、シン王子の方から不穏な空気が流れだす。
「……話を進めてもいいか?」
「すみません。」
「すまん。」
シン王子は、不穏な空気を解くと、息を一つ吐いて、私とネロを見た。
「何か分かったことがあれば教えてほしい。」
「その前に一つ教えてほしいことがあるんですが…」
「なんだ?」
シン王子は、また話の腰を折られたと思ったのか、目をスッと細めて私とネロを見てくる。
「そんな目をしないでもらえると…必要なことなので。」
「必要なこと?今回のことと関係があるのか?」
「あるかもしれないので、教えてほしいのです。」
シン王子も月の約束を解き明かしたいのだろうけど、ここまで来たら私だって月の約束の謎を解き明かしたい。
シン王子の焦る気持ちも分からなくはないけど、ここは私も譲れません。
「はぁ…。なんだ、聞きたいことって。」
「はい。プティテーラの次の満月っていつでしょうか?」
「満月?」
「はい。満月です。」
次の満月を逃してはいけない。
けど、あまりにも何十日後とかだと、気分が滅入っちゃう。
いいタイミングで来てくれるといいんだけど…
「次の満月…」
「ちなみに、完全な真ん丸でお願いします。」
「多少かけているのはダメだと?」
「はい。丸です。」
見た目満月でも、実際欠けている時とかあるからなぁ。
それだと、実験にならない。
多分、時が満ちるのは、月が満ちる時だから。
「二日後だ。」
「へ?」
「だから、二日後だ。」
おおぉぉえぇぇぇ?
タイミング、タイミング良すぎないか?
神タイミングじゃないか。
「それ、間違っていませんか?」
「間違っていない。」
明後日。
タイミングは、とてもいいけど、準備時間、足りるのかな。
「ネロ。」
「時間がないな。」
「どうしよう。ある程度生き残れるサバイバルセットは必要だと思うんだけど。」
「そうだな…何があってもいいように準備するには、今からした方がいいかもしれない。」
何が必要かな…
食料、懐中電灯、ロープ…
あ、そうだ。
シン王子にも頼まないといけないことがあるんだった。
「おい…一体どういうことだ。」
「シン王子にやって貰いたいことがあります。」
「…なんだ。」
「明後日、夜、ナトゥラを飛ぶ許可をいただけませんか?」
飛行許可は、シン王子から貰えるだろうし。
満月の夜の日に飛ぶ空の旅。
すごく綺麗なんだろうなぁ。
なんだかワクワクしちゃう。
それに、これで月の約束にも近づけるかと思うと…
ニヤケが止まらないんですけど。
「おい…」
「はい?」
「だから、一体どういうことか教えてくれと言っているだろ。」
シン王子がムスッとしているのを見て、私は首を傾げた。
「あれ?今話さなかったっけ?」
私は、ネロの方を向くと、ネロは呆れながら首を振った。
「満月の日が重要だって言ったよね?」
「いつ満月か聞かれ、夜間の飛行許可を求められただけだ。」
シン王子は、強めの言葉で否定する。
あまりにも満月のタイミングが良すぎて、興奮しすぎて、話した気になっていた…
これじゃあ、私がシン王子をパシリにするみたいじゃないか。
「ちょっと興奮しすぎました…。改めてちゃんと説明させていただきますね。」
そして、冷静さを取り戻した私は、ネロと昨日立てた仮説をシン王子に話すことにした。
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