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186話 王配クヴェレ殿下って何者なの?


「これさ、気が付いたはいいけど、プティテーラの次の満月っていつなんだろう。」

「逃したら、またしばらく待たなくてはいけないしな。」


地球での満月の周期は、確か一カ月に一回。

昨日、クラト公子が婚約の関係で呼ばれたのだとしたら、あまり時間がないんだろうな。


「あと、シン王子にどうやって、このことを伝えようか。」

「それは、あまり心配しなくてもいいんじゃないか?」


どういうこと?

ネロの言っていることがよく分からず、首を傾げる。


「明日の朝には、部屋に来る気がする。」


あぁ、そういう…

分かる気がするんだけど、分かりたくない。

だって、普通に考えたら、怖くない?

朝早くから、とっても偉い人が自分の部屋を訪れるという状況…

慣れって怖い…


「それにしてもさ、クヴェレ殿下って何者なんだろう?」

「そうだな。人のいい、女王の婿養子というイメージがあったが、思ったよりもやり手の狸かもしれないな。」


王配に向かって、狸って。

言いたい放題だな…


「トリウェア女王と結婚をして、雫の一族のトップになったんだよね。クヴェレ殿下の家は。」

「言っていたな。」

「もしかして、クヴェレ殿下もトリウェア女王との結婚を誰かに認めさせる必要があったということかな。」


アイネさんと結婚するために、月の約束を果たしたマニさんのように。

クヴェレ殿下とは、パーティの時に挨拶をした以外で関わりがない。


「パーティの時にクヴェレ殿下ともっとお話ししとけばよかった。」

「あの時は、あの場から逃げることで必死だったからな。」


そうそう。

あまりにもアウェイだったから。

でも、パーティの重要さを改めて実感しているよ。


「それに、あの女王が恋愛結婚をした相手だ。ただのいい人な訳がないな。」

「うわぁ…激しく同意…」


グウ…


ん?

何の音?


「色気のない音だな…」


私か。

私のお腹の音か。


「だって、いっぱい頭使ったし、ご飯全然食べてなかったし、仕方なくない?」

「それにしても、色気がない。」

「…私に色気を求めているんですか?ネロは。」

「色気皆無が、色気マイナスになったと思っていいぞ。」


はい、失礼。

色気はないかもしれないけど、皆無じゃないでしょ。

それに、マイナスって何。

普通、色気を求めてるの?と聞いたら、顔を赤らめて照れながら、そんなわけないだろうって動揺する場面じゃないの?

少女漫画では、そういうシーンは、胸キュンシーンなんだよ。

分かってないな、この猫は。


「…お前を喜ばすためにオモチャにされるのは、絶対に嫌だ。」

「いいじゃん。少しはサービス精神出していきなよ。ファンサして。」

「俺にそんなものを求めるな。ファンサもしない。」


ケチ、ケチ。


「そんな顔をしてもダメだ。」

「別にいいし。」


少しそっぽを向いてみると、再びお腹からあの音が聞こえてくる。

空気を読んで?

私のお腹…


「フフ…怒りながら、腹鳴らすって器用だな。」


ほらみろ。

馬鹿にされてますけど。

私のお腹のせいで、馬鹿にされてるけど。

責任取ってくれないかな、私のお腹よ。


「何か食べるか?」

「…食べる。」

「ここで何か注文できるものがあったか…」


ネロは、宿泊施設に備え付けのサービス一覧の本を持って来て、ぺらぺらとめくり始めた。


「食べ物のメニューあったぞ。何を食べる?」

「…何があるの?」

「そんなの自分で見ろ。」


その通りですけど。

私は、言われた通り、メニューページをグイっと覗き込んだ。


「水団子…」

「水団子がいいのか?前、シンが来た時に買ってきただろう?また食べるのか?」


雫の街ワーテルでは、あれだけ探しても見つからなかったのに。

水団子って本当にあったんだって思った記憶がある。


「シン王子とネロって、水団子、どこで買ったの?」

「シンに連れ出されたときに寄った店で買ったが?それがなんだ?」

「だって、ワーテルでは、探しても、探しても見つからなかったじゃない?なのに、結構簡単に見つかったんだなぁって。」


ネロは、私の言葉に、シン王子と買い物した時の記憶を思い出しているみたい。


「水団子は、この宿泊場所の近くで買った。そういえば、アルカンシェルでは、魔水魚は売っていなかった気がする…」


もしかして、それぞれの街の特産なんだろうか。

雫の街ワーテルの魔水魚、虹の街アルカンシェルの水団子。

ということは、火の街フーと太陽の街シャムスにウォーターフルーツとフレーブが売っているかもしれないってこと?


「明日は、太陽の街と火の街に行こう。」

「太陽の街、今日行ったんですけど…」

「調べ物をしただけだ。観光はしていない。」


そうだけどさ。


「シン王子が来たらどうするの?」

「案内させよう。」


王子を足に使っちゃダメ。

食いしん坊キャラを発動したネロをなだめつつ、頼んだ水団子を食べ、明日の計画を立てながら話に花を咲かせるのだった。

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