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185話 時が満ちるその日まで


図書館を出ると、あたりはだいぶ暗くなっていた。

私とネロは、今回の調べた内容に、カナリス観光どころではなくなってしまったため、宿泊施設に帰ることにした。

クラト公子は、今回の婚約についての話が一族の方で出たため、私たちに声をかけて、帰っていった。

私も、今回話したことは、あくまで真実ではなく、仮説なのでまだ誰にも言わないでくださいとお願いをした。

クラト公子も、納得してくれ、頷いてくれた。

もし、真実だとしたら、ここまで謎だった月の約束が明るみに出てしまうわけだ。

意味を分かっていっているのか謎だけど、大人たちが、これは言い伝えだと言い続けたことが水の泡になってしまう。


アルカンシェルの宿泊施設につき、私とネロはリラックスモードに突入した。

シャワーを済まして、ご飯を食べて、既に寝る準備完了。

布団の上に寝転んで、ゴロゴロと寛いでいる。


そして、しばらくボーっとした後、ふと頭に浮かぶのは、やっぱり月の約束のことで。

クラト公子には言わなかったけど、もう一つ気になっていることがあった。


「ねぇ、ネロ。」

「なんだ?」

「シン王子の聞いた月の約束…やっぱり謎じゃない?」


私の言葉に、ネロは寝転びながら私の方を向いた。


「そうだな。確かに大衆的に伝わっている月の約束は、分かりにくく、言葉足らずなところはあるが、気が付けばなんてことのないものだ。夜にナトゥラに行き、月が指し示す方へ行く。」

「でも、シン王子が聞いたものは、その本来の月の約束にプラスして、月の約束を補足するように語られているよね。」


クヴェレ殿下、もしかして…


「殿下は、マニの宝を手に入れたことがあるな。そして、場所も知っている。」

「うん。そしてシン王子に、それとなく月の約束の情報を補足して語った。とか?」

「もし、シンがアルビナ嬢と約束したのが先で、殿下がその後に月の約束の補足をしたとすれば、確実にそうだろうな。殿下は、シンに嘘をつくような人ではないと公子が言っていたし。」


だとすると、なんで、クヴェレ殿下はシン王子、本当の話を教えず、あくまで情報のみを伝えているのだろうか…

自分で叶える必要があるのは分かるんだけど、それにしてもシン王子は月の約束について追い求めている時間が長い。

それに、このままでは婚約破棄になってしまう。

それでも、クヴェレ殿下は黙っているつもりなのだろうか…


「もし、殿下が真実にたどり着いているとしたら、シンに語った話は本当だ。そして、こんな場面で、余計な情報や分かりにくい情報を残すとは思えない。」

「うん。だとすると、やっぱり導きの虹は、アルトゥンにかかる消えない虹。そして、流れ落ちる水は、エンゲルストラート。夜にナトゥラに行き、エンゲルストラートの滝に飛び込むってことかな。」


あの滝に飛びこむのかぁ…


「いや、飛び降りても条件が整っていなければ、扉は開かないんじゃないか?」

「だから、条件は夜なんじゃないの?」

「シンは、滝の中に二カ月いたんだろ?その時にも底が見えなかったと言っていた。」


それは、夜に飛び込んでいないからじゃないの?


「殿下の最後の言葉。時が満ちるその日まで。夜に飛び込めばいいのであれば、こんな言い方はしないんじゃないか?」


確かにそうかも。

夜は、毎日来るわけだから、その日まで待つというよりは、その時間まで待てばいい。

その日までと言うことは、一日単位で来るもの。

時が満ちる…時が満ちる…


「ねぇ、ネロ。」

「なんだ?」

「マニさんの言葉、月の約束を果たしにきたという言葉は、時間を表しているって仮説を立てたよね。」

「そうだ…あ…」


月は時間を表している。

ということは、時間は月を現しているということ。


「時が満ちるその日まで…クヴェレ殿下が言いたかったことって。」

「月が満ちるその日までということか。」

「月が満ちる。満月…」


月の約束の扉が開かれるのは、満月の夜かもしれない。

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