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183話 月の約束の謎


「ネロ隊員。」

「なんだ?」


私は本とにらめっこをしつつ、ネロに話しかけてみた。

ネロも、本を読みながらのため、返事は、心ここにあらずと言った感じだった。


「進捗はいかほど?」


それでもめげずに話しかけてみる。

ネロは、大きく息を吐き、机に本を置いた。


「いいと思うか?」


だよねぇ…

良かったら、いち早くお互いがお互いを罵りながら先に新情報を見つけたことを自慢するだろう。

平和なことがある意味、何もない証拠…

月の約束の物語について記載されている本すべてに新情報はないみたいだ。

クラト公子にも、クラト公子が聞いた月の約束と違う部分がある本を探してくださいと言ってある。

クラト公子も私たちの話を聞き苦笑いを浮かべているところを見ると、新情報はないんだろうな。


「どれもアルビナ令嬢から聞いた話と一緒だ。」

「そうなんだよねぇ。」


月の約束…マニさんが見つけた宝のありかの情報が少しでも増えればいいなと思ってきた図書館だったけど、月の約束についての新情報はなさそうかな。


「そもそも俺は、月の約束に新しい情報があるなんて聞いていないんだけど?」


クラト公子は、前提から首を傾げている。

私はネロと顔を合わせて、頷き合う。

ここまで付き合ってもらったんだ。

クラト公子に事の経緯を話そう。


「私とネロは、最初、月の約束の話をアルビナ令嬢から聞いたんです。そして、シン王子にナトゥラを案内してもらっている時に、シン王子がナトゥラに行く理由と共に、シン王子から月の約束の話を聞きました。その時、アルビナ令嬢とシン王子が語った月の約束に少し違いがあったんです。」

「聞いたときは、口伝による言葉の足し引きかと思ったが、公子の語る月の約束は、アルビナ令嬢が語ったものとほぼ一緒。本を読めばわかる。月の約束、もっというと一般的に伝わっている月の約束の話は、本に記載されている通り。しっかり書籍にも残っているところを見ると、アルビナ令嬢や、公子が言った月の約束の話が、世には出回っているのだろうな。」


そう。

だとすると、シン王子に月の約束を語ったクヴェレ殿下は、どこから聞いた話なのか不明なんだよね。


「クヴェレ殿下って、嘘を言うタイプですか?」

「え?急に何?」

「シン王子に、こう嘘を吹き込んでしまったとか…」

「ないな。」


クラト公子があまりにもハッキリと言うので、その線はなさそう。

それと、もう一つ疑問点があるんだよなぁ…


「もう一つ気になっていることがあるんですけど…」

「奇遇だな、俺もある。」


え?

ネロもあるの?

ネロは、本をぺらぺらとめくりながら、食い気味で私の話に乗っかってきた。


「気になることって?」

「ネロ、先にいいよ。」


私の言葉に、ネロは本をめくっていた手を止めて、私とクラト公子を見た。


「そもそもこの話は、なんで月の約束なんだ?」


そう。

私もそこが気になった。


「なんでって、太陽アイネと月のマニだからだろ?」

「だったら、それでいいじゃないか。」

「物語のタイトルなんて響きやおしゃれさに起因するものだろ?」


そんな元も子もない話を…


「それで、チヒロが気になっていたことは何だ?」

「……同じことを思っていました。」


外部から見ることが出来るからこそ、気になるのかな…


「どうして?」

「物語の中心は、マニさんと言うよりアイネさんですよね。だから、どちらかと言うと月の約束と言うより、太陽との約束だと思うんです。」

「マニの要素なくないか?」

「そもそもマニさんの要素って何でしょうか。」

「は?」


クラト公子は、眉をひそめる。


「どういうことだ?」

「アイネさんは太陽の一族ですが、マニさんの立場って、平民ですよね?」


クラト公子は、私の言葉に目を見開く。

そうなのだ。

疑問に思っていた。

プティテーラのことを知れば知るほど、疑問は深まった。

マニさんは、月の一族ではないのに、月のマニと言われるまでになったことを。

月の約束の謎を。

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