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180話 太陽の街シャムス


宿泊施設を出て、舟を借り、乗り込む。

操縦席には、クラト公子が座る。

シン王子の気球の時も思ったけど、この人たちは、なんで自分たちで操縦をするんだろう。


「さて、行く場所は、太陽の街シャムスの図書館でいいのかな?」

「はい。最初にやるべきことを終わらせないと、観光も楽しめないので。」

「わかった。」


クラト公子は、そう言うと舟を運転し始める。

おぉ。

安全運転だ。

プティテーラの男性は、細かい気づかいを嫌味なくやるなぁと思う。

地球に居たら、モテそうだなぁ。

顔面もそうだけど、内面も。

月の約束でも、マニさんはアイネさんに尽くしているし。

小さい頃から話を聞いていると、そういう風に育つのだろうか?


「そういえば、図書館に何しに行くんだ?」


舟は自動モードだが、そこに気を使いつつ、クラト公子は私たちに聞いてきた。


「月の約束について調べに行こうと思っていまして。」

「月の約束?俺にも聞いてきたよね。何かあるの?」


クラト公子にシン王子のことを言ってもいいのだろうか?


「もしかして、シンに関係ある話?」

「知っているんですか?」

「シンが月の約束にこだわっていて、ナトゥラの方によく行くのは知っているよ。シンから愚痴を聞くし。」


あぁ…


「まさかと思うけど、月の約束を果たさないと、プロポーズできないとか言ってないよね。」


シン王子、現在の婚約者候補にバレていますよ。


「あー…」

「おい。」

「私に言わないでください。」


クラト公子は、ムッとした顔で大きくため息をつく。


「巻き込まれたのは、この際仕方がないとして。」


仕方ないんだ。


「相変わらず、頑固だし、突き進んでいくよな。巻き込まれた身にもなってほしい。」


仕方ないって言わなかった?


「それで、なんでチヒロ達が月の約束の調査を?」

「特に深い理由はないんですよ。月の約束の話に興味がありまして。シン王子のことがなかったとしても、調べようとは思っていましたし。」

「そうなんだ。」


宿泊施設から、しばらく舟に乗るとパステルカラー調のアルカンシェルの街並みから一転、大きな赤レンガの塔に白いお城のような建物、そして広場が目の前に現れた。


「わぁ…」

「ここが、カナリス公共の街、太陽の街シャムスだ。いったん舟を降りようか。」


クラト公子に促され、私とネロは舟を降りる。

柱と柱の間がアーチ状になっており、それがいくつも連なった建物。

アルカンシェルの建物は、カラフルだったけど、シャムスの建物は白と赤のレンガ。


「全然、雰囲気違いますね。」

「アルカンシェルと?そうだね。一族の性格でその街は全然雰囲気が違うんだよ。」


確かに。

雫の街ワーテルは、市場というようなイメージがあったけど、シャムスはもっと落ち着いている。

アルカンシェルのかわいい街並みとも全然違うな。


「火の街とも違いますか?」

「火の街は、物作りが盛んな工業エリアだ。シャムスのように、知的あふれるものではなくて、もっと熱い場所だと思うよ。」


熱い…


「一応、俺もその熱い街で育っているからね?」

「…疑っていません。」

「ほんとかな。」


クラト公子からジトっとした目で見られたため、私はスッと顔を逸らした。


「ここが図書館だ。」


クラト公子が指をさす方を見ると、白い宮殿のような建物。

屋根は丸く、バルーンの様になっていて、宮殿らしさが出ている。

宮殿ではないらしいんだけど。

宮殿だよと言われたら、絶対に騙される自信があるな。


「ここがカナリスで一番大きい図書館。どの街も、自分の土地ならではの書籍は持っているから、図書館というものは持っているんだけど、ここが一番本の揃いがいいかな。ここに来れば、だいたいのことは分かる。今じゃ、プティテーラで出された本は、必ず一冊はここに納められるほどだし。」


最大図書館。

惹かれる響きじゃないか。

私、小さいときから、本に囲まれた生活が夢だったんだよね。

立ち読みオッケーの本屋に行ったら、そこに一日、居座れる自信がある。

それだけ、本に囲まれた空間が好きなのだ。

図書館かぁ。

ワクワクするなぁ。


「じゃあ、中に入ってみようか。」


クラト公子の言葉に、私とネロは大きく頷き、後ろをついていった。

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