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175話 そんなにポンコツとは言っていませんけど


「あれ?ネロがいない…」


朝起きて、まず気が付いたこと。

それは、隣にネロがいないこと。

そして、部屋中を探し回って、ネロがいないことを確認する。

なんかデジャブ?

ヤな予感がするなぁ。


昨日の夜、シン王子とアルビナ令嬢の婚約問題に正式に足を突っ込んだため、そのことでも話そうかと思ったんだけど。


「ただいま。」


ドアがガチャリと開き、ネロが入ってくる。


「おかえ…」


やっぱりか!


「どうも。お邪魔します。そして、お久しぶりだね。チヒロ。」


ゲッソリしたネロの後ろにいたのは、今話題の的である、クラト公子だった。

ここの人たちは、どうしてネロを拉致って行くのだろうか?

というか…なんで、こんな朝早くから来るのだろうか。


「お久しぶりですね、クラト公子。」

「そんな目で見ないでよ。」


ジトっとした目でクラト公子を見ていると、それに気が付いたクラト公子に止められる。


「元々こういう目ですけど?」

「悪かったって。」

「それで、何か御用があってこられたのでは?」


こんなに朝早くから来て、ネロを拉致して朝ご飯を買いに行ったのであれば、何か用事があるはず。


「…助けてほしいことがあってさ」

「アルビナ令嬢との婚約の件ですか?」

「知っているのか?」


まぁ、クラト公子が目に見えて困ることって、今ならこれしかないよね。


「はい。シン王子から聞きましたから。」

「シン…かぁ…」


え?

なんだろう。


「俺さ、ナンナルとあともう一人いるんだけど…シンの恋愛相談乗っててさ。」


おっと。

恋愛相談に乗っていたら、お家柄、シン王子から婚約者を略奪してしまった形になったと。

なにそれ、すご。


「シンってさ、頑固なんだよ。」


分かります。


「シンの恋愛相談ってさ、すごく面倒くさいんだよ。」


分かりますね。


「でも、小さいころから、シンのこともアルビナ嬢のことも知っているからさ、相談に乗った分、何とかなってほしいと思っていたんだ。なのにさ。なのに…」

「クラト公子…」

「なんていう仕打ちだと思う?なんでなんだ?俺、何かした?親友の女性を略奪したという事実が嫌すぎる。それに、今まで相談に乗ってきた、俺は何なんだ?時間を返してくれよ。」


ふつふつため込んだものを吐き出すかのように、大爆発したクラト公子。

恋愛相談乗るの、そんなに大変だったんだ…。

ナンナル王子の時も思ったけど、アルビナ令嬢とシン王子はもう少し周りに感謝するべきだと思う。

ナンナル王子は、苦労人①だとするなら、クラト公子は苦労人②なんだろうな。

ネロと二人で、クラト公子を眺めながら、私はそんなことを考えていたわけだけど。


「そういえば、クラト公子。」

「なにかな?」

「なんで私のところに来たんです?」

「え?ナンナルから相談相手には最適だと聞いたからね。それに、プティテーラの人々に、シンとアルビナ嬢の愚痴なんか吐けないじゃないか。」


ナンナル王子?

なんでだ?

ナンナル王子の相談に乗ったのって、昨日だよね。

相談というよりも、流れで…


「昨晩、ナンナルと話をしたら、面白い相談相手がいると聞いたんだよ。」


昨晩。

ナンナル王子、行動早いな。

そして、クラト公子も行動が早いな。


「私、昨日なんて大したことしていないんですけど。」

「思ったことをはっきり言ってくれるから、新鮮だと聞いたよ?」


それ、私が墓穴を掘った奴のこと言っているのかな?

ネロは、隣で吹き出さないで。


「シンに向かって、ポンコツがカッコつけるなとか、アルビナ令嬢とそろってポンコツとか、ポンコツはポンコツなりに頑張れとか、ポンコツなんだから他のこと気にしている余裕あるのかとか、言ったんでしょ?」


私は王子相手にどれだけポンコツと言ったの?

確かに、ポンコツとは言ったかもしれないけど、言ったとしても一回だけだから。

そんなに、ポンコツって言ってないから。


「ちなみにそれは誰から?」

「ナンナル。」


ナンナル王子…

今度会った時、しっかりお話ししましょうか。

確かに、アルビナ令嬢とシン王子は、お互いを目の前にすると使い物にならないポンコツだとは言ったけど、そのほかに関しては、言っていないと思う。

そんなに言っていたら、不敬罪じゃすまないでしょ。


「そんなこと言ってませんからね?」

「そうなの?」

「いや、似たようなことは言っていただろ。」


ちょっと、ネロ。


「私が口の悪い子になってしまったらどうするのさ。」

「実際そうだろ。」

「あぁ?」

「…そういうところだぞ?」


うぐ…

もう、黙ろう。


「それで?公子は、ここになにを?」

「シンとアルビナ嬢をどうにかしてほしい。俺は、一度はっきり婚約を断った。その後は、婚約話自体が滞っていて、進んでいない状況だ。」

「アルビナ嬢との婚約をどうにかしてほしいとは、言わないんですね。」

「だって、相談に乗っていれば分かることだろう?シンとアルビナ嬢の気持ちは。そこまでしなくても大丈夫さ。」


うん。

シン王子の相談に乗ってきた、苦労人だけあるな。

年期が違うや。


初対面では軽いなと思っていたけど、クラト公子って友人思いのかっこいい人だったのかもしれないな。

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