表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
169/953

165話 一泊二日の自然地区


空から眺めたモアーナは、大きすぎて。

小さい海は、小さすぎるし。


「他にどこか見たいところはあるか?」


そうだな。

一通り見たいところは見られた気がする。

ネロの方を見ると、ネロもこくりと頷いた。


「いえ。大丈夫です。ただ、帰り道にアルトゥンとエンゲルストラートを通って貰ってもいいですか?」

「大丈夫だが、何かあるのか?」

「月の約束の追加部分を聞いたので、それを踏まえてもう一度見ておきたいと思いまして。」


導きの橋は虹。

永遠に流れ降りる水は、底なし滝。

考えてみたけど、やっぱりそれで、あっていると思う。

見落としがないか、もう一度見たい。

時は満ちていないかもしれないけどね。


「わかった。帰りにアルトゥンやエンゲルストラートを通ることは、大した手間ではない。」


よし。

シン王子は、気球の行き先を変え、アルトゥンの方向へ。


「じっと見て、なんだ?」

「気球…よくできてますよね。」


私は、シン王子の手元付近にある刻印をじっと見つめた。


「そういえば、気球の話をしてやると言っていたな。刻印を外すことはできないから、眺めるだけだが、好きなだけ見てくれ。」

「ナトゥラと気球。相性がいいんでしょうね。」


これだけ広大な土地を移動する手段に、気球を選ぶあたりセンスが光っているよね。

プティテーラの人たち。


「舟だとどうしても、滝の影響を受けて危なかったんだ。だから、滝の影響を受けない…なら上から見ればいいだろうとなったみたいだな。」


地面を走る車とかじゃないんだなぁ。

プティテーラって、カナリスは水上移動のできる船だし、車ってないよね。

そもそも必要がないのか…


「シン王子が気球の運転に慣れているのって、よく来ているからですか?」

「あぁ。約束をしてから、ナトゥラに毎日通っていた時もある。さすがに怒られたが。」


そりゃそうだよ。

しかも、命がけのことをしているんだもん。

それは、怒られると思う。


「初めのころは、護衛や案内人が操縦してくれていたが、自分で運転が出来た方が、都合が良くてな。」


それは、お城を抜け出して、こっそり来るには都合いいだろうけど…。


「アルビナ令嬢って、シン王子がナトゥラに来ていること知っているんですか?」

「さあな。知らないんじゃないか?」


…知らないのかぁ。

ん?


「ということは、シン王子がナトゥラに来ている時、アルビナ令嬢にはなんと伝わっているんです?」

「視察だな。」

「視察…」


ちょっと待って…

…そんな頻度に視察することある?

あるのかな。

分からないけど。

でも、もしかしてさ…

アルビナ令嬢…誤解してるとかないよね?

…ないよね?


「シン王子が、ナトゥラに来ていることを知っている人って…」

「俺の家族や、護衛。」

「…そのうち、内容まで知っている人って」

「ナンナルだな。」


アルビナ令嬢…誤解してないよね…

全然家に帰ってこない旦那さんが、仕事と言って、行き先がよく分からない出張を繰り返していたら、やっぱり疑われない?

…浮気。

分からないけどさ。

分からないけどね。


「アルトゥンに着いたぞ。」


気づかなくていい可能性に気が付いてしまい、頭がパンクしそうだ。

私は、今考えたことをできるだけ頭の隅に追いやり、気球の上からアルトゥンを眺める。

消えない虹、消えない虹、消えない虹…


ん?

なんだろう。

流れ落ちる水を見て、何か引っかかったんだけど…

うーん。

違和感は一瞬だったし、分からなくなった。


昨日あった、虹のトンネルはなくなっていたが、シン王子が教えてくれた、一段目から二段目にかけて、二段目と反対側の滝の間には、しっかりと虹がかかっている。


そもそも、虹が橋のイメージがあるだけで、消えないからと言って導きの橋というわけではないんだよね。


冷静になれば、決めつけによって、他の選択肢を捨ててしまうのは良くなかったな。

新鮮な気持ちで、この謎を考えることが出来るのだから、もっと柔軟になった方がいい。


「ありがとうございます。」

「では、次に行くか。」


アルトゥンでは、昨日得られた以上の情報は得られなかったわけで。

次に向かった、エンゲルストラートでも似たような感じで終わってしまった。


「このまま帰ってしまって、大丈夫か?」

「はい、一旦、宿泊施設に帰って考えてみます。」

「わかった。」


一泊二日のナトゥラ観光は、謎が残り終了。

心残りがないとは言えないけれど、カナリスの方もみたいし、やることはまだまだある。


「絶対に解いてやる。」


ひとまず、ナトゥラ観光は休憩だ。

読んでいただき、ありがとうございます!


よろしければ、

評価、ブックマーク、感想等いただけると

嬉しいです!


よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ