162話 考えても出てこないから寝る
シン王子の話を聞きつつ、三人で頭をひねったがいい案が出てこない。
うーん。
まだ情報が足りないのかも。
「これ以上考えても時間を無駄にするだけだな」
「そうですね。やっぱり、シン王子が行き詰っている、流れ落ちる水は永遠、を解かないと何ともなりそうにないですね。」
「しかも、その次の文章も永遠の水に掛かっているみたいだしな。」
ずっと同じ態勢で考え事をしていたせいか、体が縮こまった感覚。
それを思いっきり伸ばすと、体がミシミシと音を出した。
そして、大きな欠伸。
「もう遅いし、今日はここまでにしよう。明日も朝からナトゥラを回るんだろう?」
時計を見ると、針は両方12時を指している。
お言葉に甘えてそうしようかな…
頭もボーとしてきたし、働かない頭を使っても時間の無駄だし。
「そうします。」
「二階の部屋、好きなところを使っていい。」
「ほんとですか。ありがとうございます。ネロも行こう。」
「あぁ。」
私とネロはシン王子に挨拶をして、二階へと上がる。
好きな部屋と言われたけど、寝るだけだから一番階段に近い部屋を借りよう。
部屋に入り、ベッドに倒れこむ。
ぎもぢい…
もふもふじゃんか…
これでネロがいれば完璧。
私はコロンとうつ伏せから上を向き、ネロの方を見てベッドをポンポンと叩いた。
ネロは一つため息をつくと、フラッと私の方へ寄って、ベッドの上にボフンと落ちる。
二人で天井をボーっと眺める。
ネロと今日の話でも共有しよう。
「ネロは何か分かった?」
「…いや。」
お互い頭がボーっとしているのか、会話のテンポもいつもより遅い。
「うーん。エンゲルストラートのことだと思うんだけどな…」
「俺が気になるのは、時が満ちるその日まで、という言葉だ。」
時が満ちる…
準備が整うって意味だと思うんだけど。
「しっかり準備をするってことじゃないの?」
「いや…そうしたら、万全を期すとかにならないか?時が満ちるとは、正確には機会を待つ、頃合いを待つ、じゃないか?」
「でも、文章の最後だよね。時が満ちるのは、前の事柄を終わらせてからとか…」
「逆に文章のすべてにかかっている可能性はないか?」
時が満ちるその日に、すべてが起こるということ?
そうすると、その時にならないと話が進まないよね。
「じゃあ、時が満ちるというのは、その時を待てということなの?」
「可能性はないか?」
「でも、導きの橋は消えない虹だとすると、また他にもあるって言うことなの?」
「いや、時が満ちた時にしか現れない橋が架かる…とか?」
じゃあ、既に架かっている虹はミスリード?
「じゃあその時っていつなんだろう?」
「それは知らん。」
「もし、ネロの考えが正しいとしたら、そこが重要じゃない?」
「それが分かっていたら、こんな所で寝転んでいない。」
「そっか。」
結局、行き詰まりって感じだな…
永遠の先は限りがあり、深く、重く、長い。
形容詞のオンパレード。
そして、その先は地獄なんだよね…
地獄で扉が開かないって、それ自体が地獄だよね。
そもそも、アイネさんはマニさんに言われたとはいえ、なんでそんな条件を出したのだろう。
だって、アイネさんは、誰が物を持ってこようと納得しなかっただろうし、マニさんが何を持ってこようと、アイネさんは喜んだのではないか。
ロマンチックな話だけど、気づいてしまえば、ある意味茶番だよね。
それでも、マニさんは周りを黙らせているから、成功をしているのだろうけど。
……
うん。
分かんないや。
明日は、湖と海…
暗くて見えなかった湖はどんなものだろうか…
小さい海…
あー…
頭働かない…
……
明日、頑張ろうかな…
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