表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
150/953

146話 悪魔と契約した気分です


「昨日、二人には、アルビナの様子を見に行ってもらっただろ?」

「はい。その後、アルビナ令嬢からシン王子に話をしに行くと言っていたので、そのまま帰らせていただいたのですが…」

「それはいい。二人を行かせた後に、アルビナが戻ってきたんだ。機嫌よく。」


そうだったんだ。

だとしても、シン王子あまり嬉しそうじゃないけど。

まさかね。


「そして、二人で話をした。」

「何かわかりましたか?」

「言い合いになった。」


やっぱり…

というか、なんで?

昨日も思ったんだけど、私に話すときはあんなに惚気ているくせに、なんで?

本人を前にすると、二人ともどうしてそうなってしまうの?

そこまで行くと、照れ屋では済まないと思うけど。


「シン王子。まさかと思いますが、その報告に来てくれたのですか…?」

「アドバイスをもらった身としては、同じ人間に教えを仰ぐべきだろ?」


そういうところ、律儀だなぁ。

ただ、今はそういうのは求めていないなぁ。


「ちゃんと、アルビナ令嬢と話をしたんですか?」

「あぁ。」

「私が言ったこと、アルビナ令嬢に伝えましたか?」

「伝えた。そうしたら、アルビナが怒りだしたんだ。」


…なんて言ったのよ。

素直に伝えれば、アルビナ令嬢が怒りだすことなんて、ないはずなのに。


「ちなみに、なんてお伝えしたんでしょうか。」


恐る恐る問いかけると、シン王子はその時のことを思い出したのか、顔をひきつらせた。


「お前は、笑わなくていい。安心していい。」


なぜだ。

そこじゃないって言ってるでしょ。

そうじゃないの。

笑わなくていいって言われた後に、何を安心するというのだ。

無理でしょ。


「違いますって。なんで笑わなくていいのか言わないと。」

「だから、笑ってほしくないからだろ?」


なんでだよ。

だから、その笑ってほしくない理由を言ってほしいと言っているのに。

アルビナ令嬢の笑顔を他に見られたくないから、笑ってほしくないんでしょ。

それでいいじゃん。

ここまで言い合いしたんだから、それでよくない?

そうしたら、円満解決できるんじゃないの?

どうして、ここまでこじれてしまうの。


シン王子の返答に思わず絶句である。

ネロは、ベッドをベシベシ叩いて、笑いを堪えているし。

だから、堪えられてないって。


シン王子に少女漫画とか貸してあげたいな…

ぜひ参考書にしてくださいと言って渡してあげたい。

いや、そうすると今度は斜めにとらえてしまい、別のことをしてしまうかもしれないな。


「シン王子…それでは、アルビナ令嬢には伝わっていないと思います。」

「そうか…」


だから、そんなに落ち込まないで。

困るから。


「どうすればいいと思う?」


既にお手上げ状態なのですが…

それに、シン王子が来てくれたとはいえ、私たちも仕事というものがある。

ちらりとプティテーラの地図に目線を送った。

今日はもしかして無理かもな。


「今日、何か予定があるのか?」

「え…あー…そう、ですね。」

「なんの予定だ?」


地図の方に目線を送ったのは失敗した。

ここは正直に言おう。

シン王子は、普通に問いかけているのかもしれないが、疑問の言葉はどうしてこんなにも圧があるように感じるのか…。


「ナトゥラの方に観光へ行こうかと思っていたんです。それから、プティテーラの伝説について調べてみようかと。」

「ナトゥラ…そうか。」


私の言葉に何かを考えだすシン王子。

な、なんだろう。


「プティテーラの伝説というのは、月の約束についてか?」

「そうです。」

「なるほどな。わかった。」


何が分かったんだろうか。

もしかして、今日は一旦お帰りいただけるのだろうか。


「俺がプティテーラを案内しよう。そして、二人は俺の話を聞く。どうだ?」


どうだ、じゃない。

いやいや。

シン王子に案内なんて恐れ多いし、ぜひとも断りたい。


「プティテーラについても、教えることが出来るが?」


いやいや。

流されません。


「案内人がいた方が、より楽しめるんじゃないか?ナトゥラは広いぞ。」


……


「それに、月の約束についても話せることは、ある。なんせ、俺は月を冠している一族だからな。」


くそぉ…


「わ、わかりました。…教えてもらってもいいですか?」

「契約成立だな。」


私は、悪魔と契約をした気分になりながら、悪魔と一緒にプティテーラ観光をすることになったのだった。

読んでいただき、ありがとうございます!


よろしければ、

評価、ブックマーク、感想等いただけると

嬉しいです!


よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ