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141話 恋愛は第三者を巻き込むとこじれます


シン王子に庭から追い出され、談話スペースと言われる場所にやってきた。


「ねぇ、ネロ。」

「なんだ。」

「これ、私がやらないとダメなのかな…」

「頼まれたんだろ?」


頼まれた…無理やり。

やりますなんて言ってないじゃん。


「シンの奴、ふざけんじゃないわよ!」


そしてこの中に入らないといけないのも、だいぶ気が重い。

中から定期的に聞こえる罵声。

最初に聞こえた時、ほんとに入るのが嫌だなと思い、これで罵声が数十回目。

アルビナ令嬢…

どれだけストレスためているの?

それに、あの美しく微笑みあっていた絵になる女性の口調がどんどん壊れて口悪くなっている。


「ネロは、荒ぶる女性が中にいる部屋に入る勇気がありますか?」

「俺は、巻き込まれたくない。」


おい。

質問の意図をさりげなく回避するな。


「なにが、愛想振りまくな、よ!あいつだって、可愛い令嬢を見てデレデレしちゃって。」


あー…

ご立腹なんですけど。

そして案の定、シン王子の意図は全く伝わっていない。

むしろマイナス方面に取られている。

定期的に爆発しているアルビナ令嬢が落ち着くのを、ドアの外で待っているんだけど、落ち着く気配がないな。

時間が経つほど、どんどんヒートアップし、情緒も不安定になっていく。

これ失敗したな。

もっと早くこの部屋の中に突入してればよかったかも。

荒ぶるアルビナ令嬢をドア越しに感じながら、私は凝り固まった体をぐっと伸ばした。

その時、私はまたもや同じ失敗をするのだけど。

ドア前に置いてある花瓶の乗った台座に思いっきり腕をぶつけ、大きな音が鳴る。

気を抜いた瞬間これだよ。

いい加減にしろ、私。


「お前少しは懲りろ。」

「すみません。」


また、ネロに小声で怒られ、小声で謝る。

そっと、ドアの方を二人で見ると、部屋は静まり返っていた。

ここは、一時撤退をした方がいいよね。

ネロと頷き合い、ドアを見たまま、そっと後退していく。

ゆっくり…ゆっくり。


バン

すると、部屋のドアが勢いよく開き、そこには無表情の令嬢が…

美人の無表情こぇぇ。


「そこでなにをやっているの?」


なぜ、ドアから出てくるの、そんな高圧的に…


「何をやっているのか聞いているのだけれど?」


そして、デジャブ。

王子…令嬢はとても王子に似ております。

この空気感、そっくりです。


「ん?あなた、もしかして、コスモスから来たチヒロとネロといったかしら?」

「は、はい。コスモスから来ました、チヒロです。こっちはネロ…」


まさか一度の挨拶で覚えて貰えると思わなかった。

シン王子もそうだけど、こういう気づかいというか…

あれだけ挨拶をされていても、一人ずつ覚えているものだろうか。

正直凄すぎないか?

それとも王族というものは、そういうものなのだろうか。


「さっきから、ドアの外でウロウロしていたのも貴方?」


ば、ばれてたー。

ちょっと待って。

気づいていて、あの勢いで怒っていたの?

それはそれですごいな。


「いえ、あの…はい…」

「こんな所に何しに来たの?」


あー…

んー…


パーティに疲れたと言おうと思ったがやめた。

主催の近親者に向かって言えるわけない。

だからと言って、他に言い訳も思いつかない。

ど、どうしよう。


悩んでいると、アルビナ令嬢の目がどんどんと吊り上がっていく。


「もしかして、シンが何か言ったのかしら?」


こ、この人エスパーかな…

怖い、怖い。


「シンから何か?」

「いや、あの、えーっと」


ネロ、これはどう言うべきなの。

私は、顔には出さない様に必死に平常を保ちながら、頭の中では思考を巡らす。


「シンの奴…このクソが…」


そしてお口が悪い…


「どう思う?周りにデレデレしちゃって。私とシンはね、小さいころから婚約者という間柄なんだけど、私は、決められたから婚約者をやっているわけじゃないの。分かる?」

「は…」

「なのに、それをシンは分かっているのかな…どう思う?」

「そうで…」

「それなのに、周りにデレデレ、デレデレ。なんでなの?」

「……」

「それに、今日なんかもう好きにしていいって…言われた…どうしよう。」


えっと、似た者同士です。

疑問を投げかけられているのかと思いきや、私への問いかけではないく、自分への問いかけという。

シン王子と全く同じこと言っているし、それに分かっているのか?ということも一緒。

そして、デレデレしていたのはアルビナ令嬢に対してなのに、全く伝わっていない。

このすれ違いすごいなぁ…


シン王子のことを考えていたら、腕をぐいと引かれた。

な、なに?


「どうしよう!」


え?


「どうしようって聞いているんだけど…」


聞いてたの?

最後のは、問いかけだったのね。

もう、分かりにくい。


もう好きにしていいってやっぱりトドメだったじゃん。

シン王子…

ちゃんと自分でフォローしてください。


「シンに嫌われたかな。」

「それはないかと…」

「そう?そう思う?」


アルビナ令嬢は、私の答えに目をキラキラさせた。

恋する乙女は可愛いな…

ただし、自分がまきこまれていなければ…

読んでいただき、ありがとうございます!


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