13話 異世界での目覚めは、幸せがたくさんありました
目が覚めると、窓から光が差し込んできていて、目を細める。
腕の中にいたはずのネロがいなくなっていて、あたりを見回すと、私が寝ていた頭側に少し離れて丸まって寝ていた。
夜、目が覚めたのかな。
ベッドに座り直し、ネロに近づき見つめていると、夜の色が見えた。
「おい。じっと見るな」
「ネロ!!」
ネロの目が覚めたことが嬉しくて、ネロの話は耳に届かず、ギュッと抱きしめる。
「お、おい!」
「ネロ、どこか具合悪くない?」
「寝たから、どこも悪くない」
「よかったぁぁぁ」
安心して腕の力を緩めると、ネロが腕から逃げるように、ベッドに着地する。
「全く、大げさなんだよ。お前は」
悪態をつくネロに嬉しくて、にっこり笑うと、ネロは不気味そうに私を見た。
「なんだよ…」
「おはよ、ネロ」
そして、もう一度ギュッと抱きしめる。
「やめろぉぉ!!!!」
ネロの言葉は、再び無視である。
そして現在、ネロの機嫌はとても悪い。
居心地が良すぎる部屋を後にして、私とネロは企画宣伝課のオフィスに向かっているのだが、相変わらずネロがムスッっとしているのである。
原因は思い当たる節がありすぎるのだが。
「ネロー、ごめんて。ちょっと気持ちが上がっちゃってさぁ」
「骨折れるかと思ったわ、この怪力女」
「次から抱き着くとき気を付けるからさ」
「次なんかない」
私が、機嫌を取るように言うと、ネロが言葉ではねのける。
朝からこのような会話を繰り返している。
こんなことをいうと、やばいやつって思われるかもしれないけど、ネロの悪態を聞けるのが楽しくなりつつある。
クールなネロもいいかもしれないけど、悪態ネロはより面白い。
たった1日しか一緒に過ごしていないのに、濃すぎる時間にそう感じてしまったのかもしれない。
こんなこと言ったら、ネロは怒るだろうけど。
「あらあら、おはよう。二人とも」
やっぱり、転送システムは偉大である。
たいして時間もかからずに、企画宣伝課まで付いてしまうのだから。
オフィス中に入ると、フェリシアさんがいた。
相変わらず美しいというか眩しいというか。
「おはようございます」
「昨日はよく眠れたかしら?」
「はい、お部屋居心地よすぎて、熟睡でした」
「そう、よかったわ」
フェリシアさんの優しい微笑み。
これをみると、表情筋ごっそり抜け落ちた顔とか、人に見せられないよなぁ、たぶん。
「おはよう、チヒロ」
「あれ?ネロも一緒だったんだ?」
そして、こちらも眩しいショタツインズ。
アンジュ君とアンヘル君。
「おはよう、アンジュ君、アンヘル君」
ショタ天使をみて、顔が見せられない顔にならないように、表情筋に力を入れ微笑む。
「チヒロ、元気そうでよかった」
「今日も、一緒にがんばろ」
ぐはっ…天使はやはり天使だったか。
きっと私の顔面は崩壊しただろうな。
大丈夫かな
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