表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
138/953

134話 王族との挨拶が済んだので、壁になりたい


「まぁ、頑張った方じゃないか」

「もっと褒めてくれていいよ。」


挨拶は終わった。

帰りたい。

私は、きついお辞儀の体勢から体を戻し、もう一度、壁の花になろうと人気の薄い、壁側まで向かおうとする。


「こんにちは。」


はぁ、声をかけられてしまった。

振り返るとそこにいたのは…お、王配と王子たち?

なんで?

あ、もしかして挨拶が必要だった?

そりゃそうか…

女王様との挨拶に精神をすべて持っていかれた気分だったから。

この人たちも、プティテーラの王族だもんね。

挨拶しないと…


「お初にお目にかかります。中央都市国家コスモスから来ました、チヒロです。」

「ネロです。」


再びあのキツイお辞儀をして、王族の方たちに挨拶をする。


「楽にして大丈夫ですよ。周囲の視線は、トリウェアがすべて持って行ってくれています。」

「じゃあ、お言葉に甘えて…」


私は女王様の方に視線をやると、確かに周りの視線や関心を独り占めしている。

さっきは、緊張していて、全然姿が頭に入らず、漠然とした感想しか出てこなかったが、女王様を改めて冷静に見ると、ほんとに美しいな。

銀色のウェーブがかった長い髪に金色の美しいつり目。

頭の上には、金色の冠。


そして、王配の言葉に私は、お辞儀の姿勢から元の体勢に戻る。


「せっかくだから、コスモスの方とも友好を結びたいだろう。息子たちも紹介しようと思ってね。」


何が、せっかくなのか分からないけど、挨拶させてもらえるのはありがたい。

王配に言う言葉ではないと思うけど、フォロー上手というか…

なんか、優しいし親しみやすい。

あまり王族といった雰囲気がないかも。


「はじめまして。私は、クヴェレ。クヴェレ・フォルモントです。」


さっきのこそこそした人たちいわく、この人がトリウェア女王の旦那さん…。

暗めの青い髪に、青色の目。

その目は、タレ目とは言わないけど、優しそうな目元をしている。


「そして息子たちと婚約者の子だ。」


これもこそこそさん達が言っていたな。


「シン・フォルモントだ。そして、こちらが婚約者のアルビナ・シュルーク。」

「はじめまして。シュルーク公爵家長女のアルビナ・シュルークと言います。」


シン王子が手を指すと、アルビナ令嬢はお辞儀をした。


「ナンナル・フォルモントです。」


第一王子に婚約者と言っていたから、シン王子が第一王子で、ナンナル王子が第二王子だな。

シン王子は、銀色の髪。

トリウェア女王と同じ髪の色。

少し吊り上がった目元も女王に似ているな。

色も金色だし。

一言でいえば、かっこいいです、はい。


ナンナル王子は、銀色の髪に青色の瞳。

銀の髪の毛は、マッシュっぽく、ふんわりとした髪型で、見た目は完全にかわいい系かな。

まぁ、私の独断と偏見だけど。


そして、シン王子の婚約者アルビナ令嬢。

公爵家と言っていたけど、プティテーラには貴族階級があるんだな。

それにしても、プティテーラの女性って、みんな凛々しいよね。

かっこいいというか。

アルビナ令嬢は、金色の髪を後ろに束ね、大きいお団子にしている。

吊り目の瞳は、燃えるようなオレンジ色。

令嬢としても美しいけど、女騎士と言われても納得できそう。


シン王子とアルビナ令嬢、美男美女でとてもお似合い。

こそこそさんの話だと、シン王子は優秀。

アルビナ令嬢も、公爵という肩書を背負っているだけあって、風格が違う。

この二人を見れば、プティテーラの未来が安泰だというのも頷ける。


「本来なら、私たちの方から、ご挨拶に伺わなくてはいけなかったのに、申し訳ありませんでした。ご丁寧に、ありがとうございます。」


申し訳ないことをしたし、だいぶ無礼だったな。


「いえ、そのことはもう気にしないでください。先ほどのトリウェアへの挨拶を見て、吹き飛びましたから」

「あぁ…、いや、あれはだいぶグレーかなと…」


思い出しただけで鳥肌立ちそう。

死ななくてよかった、ほんとに。


「それでは、プティテーラの宴を楽しんでくださいね。」


王族の人たちとの会話は、なんでこんなに神経を使うのだろうか…

ゲッソリである。


「着実に交友関係を広げているな…」

「挨拶したぐらいで、王族との交友関係が広がるなら、そんな楽なものないよ。」

「そうか?」


ネロは、ニヤニヤ笑っている。

あぁ、帰りたい。

帰るタイミングはいつだろう。

もう何もやらかしたくない。

私は、飲み物の入ったグラスを受け取り、そそくさと壁に寄る。

そして、また壁の花として私はチビチビと炭酸のきいたジュースを飲むのだった。

読んでいただき、ありがとうございます!


よろしければ、

評価、ブックマーク、感想等いただけると

嬉しいです!


よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ