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130話 パーティで何かやらかす前に帰りたい


宮殿の方に歩いていくと、銀色のつやつやした道が現れる。

右手には宮殿の壁、左手には銀色の柱。

左手の柱は、等間隔で並んでおり、柱と柱の間はアーチ状になっている。

アーチからは、外が見えており、きれいな庭園がそこにはあった。

ひたすら続く銀の道。

突き当たると、そこには騎士が立っていた。


「こちらへどうぞ。」


そこからは、騎士の人が案内をしてくれるみたい。

それにしても、パーティといっても、小規模の物なのだろうか。

さっきから誰にも会わないな。


「皆様、既にお着きになっております。」


え…?

そっか。

そういうことね。

既についていたのか。


「こちらになります。」


目の前には、大きな扉。

こういうのは、見覚えがある。

大きな扉の向こうは、いつも予想だにしないものがあると。

ミシュティで嫌になるほど学んだものだ。

私は、よし、と気合を入れなおす。


「コスモスからお越しのチヒロ様、ネロ様がお着きになられました。」


騎士の人の声に、ギョッとする。

こんな紹介されるんだ。

ネロは、いたって平常運転。

こういうものなのね…


扉が徐々に開いていく。

ゆっくりと開く扉から、宮殿内部が見えて私は顔をひきつらせた。

中は、広過ぎ、人は多すぎ、本気のパーティ過ぎ。

ネロも、宮殿内部…いや、大広間を見て、周りには、ばれない様に小さくため息をついている。

残念でした。

私には、ばれております。

しかし、私もこの状況は、あまり心によろしくないです。


だって、私とネロが扉から入った瞬間に、一斉に人の顔がこちらに向いたことを見てしまったのだから。

こわ…え、こっわ。

しかも、何かを探るような目で…

やめてくれ。

何もしないし、なんもないよ。

害もないと思う。

ネロの方にそっと寄ると、ネロは仕方なさそうにしていたが、繋いだ手…いや、指を力強く握ってくれた。


「ねぇ、これ始まってるの?」

「いや、まだ始まっていない。あそこ分かるか。」


ネロは、繋いでない方の前足で一点を指す。

そこは、大広間から階段で登り、すこし高い位置にある踊り場のようなところ。


「おそらく、あそこからプティテーラの王族が入ってきて、あの場で挨拶が行われる。それまでは、各世界の談笑タイムだろう。」

「私たちは、どうすればいいかな?」

「パーティが始まるまでは、おとなしく壁の花にでもなっていればいいんじゃないか?」


壁の花…

おいこら、ケンカするか?

ムスッとした顔で、ネロを見る。


「じゃあ、フロアの中心の方で、会話に混ざってくるか?」


ネロは、ニヤリと笑い、私を煽ってきた。


「勘弁してください。」

「そうだろな。お前には無理。」


断言されると、腹が立つけど、実際さっきの様子を見る限り、難しいだろうな。


「パーティって、もっと楽しい物じゃないの…」

「どんなパーティを想像してるんだ?外交が関わるパーティなんて、こんなものだろ。」

「えぇぇ。今日は、ずっとこんな感じなの。」

「帰っていいタイミング、もしくは抜けていいタイミングを見つけて帰るのがベストだろうな。絶対にチヒロは何かやらかすから。」


さっきから、私の心配をしてくれているの?

それとも、馬鹿にしているの?

どっちかな。

いまだに、手をぎゅっと握ってくれているから、許しているけども。


「とにかく、プティテーラの王族への挨拶は必須だ。それを済ませることが、今回の仕事。あとは、時間外労働になるから、やらなくていいだろ。」


時間外労働ではないと思う。

でも、あまりにも心に良くない仕事があるせいで、何か他を頑張ろうという気持ちにならないのが凄い。

だって、この空間、いるだけで疲れますから。


プティテーラが外交を開いたのよ?

もっと、おめでとうの空気があってもいいじゃん。

いや、おめでとうの空気はあるんだけど、なんだろう。

なんか、気が重い感じ。


なんだろうな。

こういうのが、初めてだから、緊張でそう思っているだけかな?

私は首を傾げる。

すると、一瞬空気がざわつき、静まり返る。

招待客の目線は、上に向けられていた。

私も、その目線を追う。

すると、踊り場のような場所に、何人か人が現れた。


うわ…。

そこは、光に照らされたような、世界が違うような。

私は、今までのもやもやが吹き飛ぶくらい、その人たちの美しさに見惚れてしまった。

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