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129話 パーティにはエスコートが欲しいものです


私とネロは水馬車に乗って、パーティの開かれる月の宮殿セレーネギアにやってきたんだけど。

水馬車、快適過ぎないか?

まず、揺れない。

水の上だというのにほとんど揺れない。

速い。

さっき乗っていた舟の数倍は早い。

そして、舟を降りてみて改めて、思ったことなんだけど、腰が痛くないし疲れていない。

確かにそんなに長く乗っていたわけではないけど、これって結構すごくない?

水馬車やりおるな。


私が水馬車の方を向いていると、水馬車を操縦してくれた男性がにっこりと笑った。


「快適でしたか?」

「はい!」

「王族の方も水馬車はよくご利用になられるんですよ。」


王族、御用達でしたか。

なるほどね。


「使わしてもらってよかったんですか?」

「もちろん。パーティの招待客の方をしっかりもてなす様に言われていますので。」

「そうだったのか。どうりで。受付の対応の早さが異常だったからな。」

「ご満足いただけたのならいいんですけど。」


満足も満足だ。

そもそも、私はこんな風にもてなされたことないし。

初体験だな。


「それでは、楽しんできてくださいね。」


そう言うと、男性は馬車に乗り、去っていった。


さて、気合を入れて振り返ると、そこには大きい宮殿。

私たちがいるところは、まだ門の外だが、鉄の柵から見える大きさは馬鹿にならない。

広場も広いし…。

ミシュティのクレーム・アラ・シャンティも広かったけど、これはすごいな。

門の両端には見張りの騎士だろうか?

腰に剣を携えているから、多分そうだろう。


「剣か…」

「どうかしたの?」

「いや…見張りに声をかけなくていいのか?」


そっか。

ルアルさんの話だと、声をかけてライセンスと招待状を見せないといけないんだっけ。

私は、かばんをゴソゴソと漁り、必要なものを出す。

もちろん、カバンもドレスに合うように、小さめの物を持ってきた。

実用性とはかけ離れた、デザイン性のある小さいカバン。

可愛いけどね。

ネロと頷き合い、見張りの騎士に声をかける。


「すみません」

「どうかされましたか?」

「こちらをお願いします」


そういって、私は招待状とライセンスを見張りの騎士に見せた。

騎士の人は、それらを受け取り、招待状を確認する。


「パーティの招待客の方ですね。どうぞ、お入りください。」


騎士の人の言葉に、大きい門は静かに開いた。

これだけ大きい門だと、もっと音がすると思っていたけど。


「ギギギとか、ガガガとか。音がすると思った。」

「その門、錆びてないか?」

「そういうもんじゃないの?」

「どんな門だよ。」

「えー。」


騎士の人たちに、ネロと二人で、こそこそしゃべっているのを不思議そうに見られてしまった。

私とネロは、そそくさと、でも気持ちは優雅に、門の中に入った。

すると門は私たちが通過したと同時に、閉じ始める。


「すごい門だね。」

「そういうもんだよ。」

「そういう門か。」


門のことは、そろそろ置いておき。

宮殿までは、まだ距離がある。

門と宮殿の間には、大きい広場?みたいなものがあり、中央には大きい噴水がある。

宮殿の背後には、プティテーラをグルっと囲む滝が流れ落ちているため、噴水の上る水と、滝の落ちる水がこの場で両方見れるという、豪華なスポットみたい。

宮殿の方に向かって、広場を歩く。

すると今度は、緑の植え込みが広がる。

私の腰くらいの高さで、きれいに整えられた植え込み。

よく見るとつぼみが付いていて、ここにはいずれ花が咲くのだろうとわかる。


「水の都市には、どんな花が咲くんだろうね」

「さあな。だが、思ったよりもきれいな花が咲くんじゃないか?」


ネロって案外ロマンチックなんだから。

思わず、クスっと笑ってしまう。


「なんだ」

「なんでもない」


もう目の前は、宮殿の入り口。

こういうパーティには、やっぱりエスコートが必要でしょ。

そう思い、ネロをじっと見つめてみる。


「……」


ネロは、私の視線に何か気が付いたのか、顔を引きつらせる。

それでも、私はめげないけどね。


「わかったよ。やればいいんだろ?」

「さすがネロ。」


これは、お姫様体験ができるのでは?

相手は猫ちゃんだけど。

ネロは、嫌々やるのかと思いきや、真剣な顔をして前足を差し出してきた。


「お手をどうぞ。」

「おぉ…」

「なんだよ」

「猫ちゃんの割に、様になっていると思って。」

「やめるぞ。」

「あぁぁぁ、ごめん。やめないで。」


私が懇願すると、ネロは再び前足を出してくれる。

私は、その前足を手に取り、にっこりとほほ笑んだ。


「エスコートさせてあげるわ。」

「……浅い知識そうだな。」

「おだまり、猫ちゃん。」


私とネロは、寄り添いながら、宮殿の中に入っていった。

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