12.5話 番外(ネロSide) 夜の色
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今回は、ネロSideということで、12話 生存確認は割と大切 の後の話になります。
体にかかる重みに、息苦しく思い目を覚ますと、目の前に寝ているチヒロがいた。
どういう状況だ?
状況がつかめず、あたりを見回す。
起きないことを確認して、チヒロの腕から出る。
目が冴えてきたので、状況を一つ一つ整理する。
ここは、チヒロの部屋か。
こいつ部屋まで連れてきて、俺を抱き込んで寝たのか。
今日1日、関わって分かったことだが、全く、警戒心のかけらもない。
間抜け顔しながら熟睡するチヒロを確認すると、部屋のドアに向かう。
音を立てないように、器用にドアを開ける。
ドアの向こうには、ちょうど帰宅が重なったのかフェリシアが廊下を歩いている所だった。
「あら?目が覚めたのね」
「フェリシア…お前な。」
分かっていて、俺をチヒロに預けていきやがったな。
「だって、チヒロちゃん可愛かったのよ。ネロのことが、どうしても心配で離れたくないって顔してて」
意地が悪い笑みを浮かるフェリシアに、ため息をつき、心を落ち着かせる。
こうなったフェリシアには、何を言っても無駄だと思う。
俺は、フェリシアの横を通り過ぎ、自分の与えられている部屋に向かおうとする。
「そういえば、ちょっと驚いたわね」
「なにがだ?」
「夜の色」
夜。
フェリシアの言葉に、俺は動くの止め、フェリシアのほうを向く。
「透き通る濃い青の色、夜の色。あなたの色らしくて、いいんじゃないかしら」
「今の俺に、夜は重い。俺には似合わないよ」
夜。
今の俺が、受け入れてはいけないものだ。
再び、部屋に向かって動こうとすると、フェリシアの憎たらしい声がまた俺の動きを遮った。
「そういえば、寝るとき一緒だったのに、起きたらいなくなっていたら、チヒロちゃん心配しちゃうでしょうね。夕べもすごく不安そうに、ネロのこと見つめてたのに。」
………。
「あーあ、もしかして、驚いてチヒロちゃん泣いちゃうかも。」
………。
「そしたら、明日出勤せずに、ネロのことさがしますとか言って異世界で迷子になっちゃうかもしれないし」
………。
「チヒロちゃん、もしかして…」
「分かったよ!戻ればいいんだろ。だけど、分かってるのか?俺は、男だ。」
「あららぁ、猫ちゃんに何かあるの?」
「お前なぁ、あぁ、クソ。フェリシア、お前恨むからな」
「あら?何のことかしら」
…ほんとにフェリシアには、口で勝てたためしがないな。
しかたなく、チヒロの部屋のドアを開け、音を立てずに中に入る。
ドアの隙間から、フェリシアの顔が見えたが憎たらしい顔をしていた。
再び、チヒロが眠るベッドまで行き、横になると、また間抜け顔が見える。
人の気も知らず眠りこけるチヒロに、ため息をつき窓の外を見る。
さっきは気付かなかったがカーテンが開けっ放しである。
窓の外は、夜。
そのまま外を眺め、ゆっくりと目を閉じた。
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