124話 どこに行っても、お腹はすきます
宿泊場所を出て、どこに行こうかと地図を広げる。
プティテーラは、大きく分けると、水の都市カナリスと自然地区のナトゥラに分かれている。
そして、カナリスにはエリアがあり、月の宮殿セレーネギア、虹の街アルカンシェル、太陽の街シャムス、火の街フー、雫の街ワーテル。
私とネロが借りた宿泊施設があるのは、虹の街アルカンシェルである。
それぞれの街には、特徴があるみたいで、虹の街はカラフルな街並みが特徴みたいだ。
まさに虹という感じだね。
「どこに行く?」
ネロの言葉に私は地図とにらめっこをする。
月の宮殿は、王族の街。
ここは、基本的に中に入ることが出来ない。
実際に、王族の人たちが暮らしているわけだし、まぁそうだろうな。
外観は見ることはできるみたいだけど、後で行くし、今はいいかな。
虹の街は、宿泊事業に力を入れているらしい。
確かに、私たちが紹介してもらったホテルもおしゃれだし、きれいだった。
異世界事業、初参入とは思えないほどのおもてなし度だった。
太陽の街は、公共の街。
大きな広場や時計塔、図書館。
プティテーラの重要拠点がここにあるらしい。
火の街は、物づくりの工業エリア。
ネロの話だと、プティテーラにも技術者がいるみたいだし、このエリアにも新技術が眠っていると思っていいんじゃないかな。
雫の街は、商業エリア。
船の上からでも買える露店や市場がある。
もちろんちゃんと陸地もあるみたいだけど、船の上で買ったものを食べることが出来るみたい。
朝から転移してきて、移動ずくめ…。
異世界のことを知るなら、まずは食文化からでしょ。
手軽に観光なら食べ歩きができるところに行きたいかも…。
だとしたら…
簡単に物が買えて、水の都らしい特徴を持っている雫の街。
「雫の街ワーテル。そこで、何か食べない?」
「いいぞ。」
私とネロは、さっそく船に乗り込み、水路で移動する。
魔力の力で移動する船は、魔力の出力を変えることで船のスピードを変えることが出来る。
ある一定の速度からは、出ないように規制されているみたいだし、自動運転可能の船の安全面はしっかりしているみたい。
私とネロは、船の運転は船に任せ、またもや地図とにらめっこ。
「ねぇ、思ったんだけどさ…」
「なんだ?」
「プティテーラって思ったよりも広いよね。ルアルさんの言っていた意味がなんとなく分かった気がする。」
水の都市だけでも、一日で回るのは絶対に無理そう。
それにプラスして、自然地区ナトゥラ。
水の都市よりも、こっちの方が地図を見る限り広い。
プティテーラって、明らかにミシュティよりも広いよね。
ミシュティの何倍あるんだろうか…
「ここより広い世界もあるけどな。チヒロが最初に行ったミシュティは、どちらかというと小さい世界だ。」
ミシュティもだいぶ広かったと思うけど、言われてみれば移動も徒歩で済んでいたし、プティテーラと比べると、ミシュティは巨大なテーマパークみたいな感じかも。
「ここより広い世界になると、世界の中でいくつもの国に分かれていたり、思想や宗教も世界内で全く違うなんてこともある。ランクEの世界が平和な理由は、世界が小さく、思想や文化が世界内で統一されていることが多いからだ。」
生まれた環境が違うと、考え方が違うことはあるだろうな。
トップが違えば、考え方も変わるだろうし。
一つの世界に、国がいくつもあったら、思想の違いで争いが起きることもあるんだろう。
「ただ、プティテーラの世界の規模は、国が一つ興ってもおかしくない規模だ。それを、一つの王族がまとめているのが凄いな。プティテーラの王族は、相当影響力があるのかもしれない。」
夜に会うかもしれないプティテーラの王族の人たち…
どんな人たちなんだろう。
いろいろ考えてたらお腹すいたし、早くご飯が食べたい。
まだ見ぬ人たちに、ドキドキとハラハラが止まらないまま、水の都市カナリス、雫の街ワーテルへ向かう。
読んでいただき、ありがとうございます!
よろしければ、
評価、ブックマーク、感想等いただけると
嬉しいです!
よろしくお願いします!