123話 水の都カナリスをいざ、観光!
先ほどもらった地図に宿泊先の場所を丸付けしてもらい、私たちは、宿泊地に向かうんだけど、結局、水の都を通って宿泊場所に行くため、水路を使って向かうことにした。
船から水路をのぞき込むと、水は透き通り、自分の顔が鮮明に映り込む。
船は、魔力の力で動いていて、運転をするハンドルのところは大きい水色の石が埋め込まれていた。
ハンドルと言っても、船自体は自動で動き、障害物も自動でよける仕組みになっているみたい。
「この石も刻印が刻まれているな。運動系の刻印と感知系の刻印…」
「刻印を刻むのって難しいんじゃなかったっけ?」
「あぁ、しかもこの石には、船を動かすためのものや移動するためのもの、周囲の障害物を感知し避けるもの、他にも複雑な刻印が刻まれている。」
「じゃあ、ミシュティ同様に達人がいるってこと?」
「いや…魔力の流れを見ると、熟練度は高いが全員がそうというわけではないな。だとすると、プティテーラには、優秀な技術者がいるということだ。この刻印もそうだが、発明課や技術課が喜びそうなものばかりだよ。」
船以外にも何かあるのだろうか?
「不思議そうな顔をするなよ。この水路もそうだ。水の量や流れをどこかで調節しているんじゃないか?外壁の滝から流れてきているのなら、こんなに穏やかなはずないだろ?」
確かに。
地図を確認したら、プティテーラの世界は滝に囲まれていた。
あの規模の滝が流れ落ちた先がこの水路だとしたら、この水路はあまりにも穏やか。
滝の水の量が増えて、増水するなんてシャレにならないもんね。
舟も漕ぐ必要がなく、とても快適。
雰囲気を楽しむなら、舟を漕げよというのも分からなくはないんだけど…。
「ここの水路、登っているな。」
ネロのこの発言を聞き、漕ごうという気持ちがすっかりなくなった。
乗り物を上り坂で漕ぐのは、普通に歩くよりも疲れるし、効率が悪いと思う。
船も自動運転があるなら、ぜひそれでと思ってしまった。
地図を確認してみると、水路で移動して観光案内所からちょうど半分くらいのところ。
今まで船で乗ってきた場所を振り返ると、平坦な場所があり、その奥には上り水路。
ということは、この水路はこの中央部分が一番低いということになる。
そして、この中央部分からこれから行く方を見ると、常に上に向かっている。
標高…?がだいぶ違うんだな。
船で平坦とのぼりを繰り返す。
ネロと二人で地図をのぞき込む。
「そろそろじゃないか?」
「あ、ここだ。」
地図に記されていた場所に着き、船を降りる。
この辺の建物はカラフルだな。
オレンジや黄色、紫や赤、緑、他にも青、藍色。
カラフルな色合いの壁や屋根。
私とネロが指定してもらった宿泊先は、白い壁に淡い赤レンガの屋根の建物。
窓の数からみると4階建てなのかな?
私とネロは、その建物の中に入る。
中は広いエントランスホール。
仰々しい物ではなく、でも高級感があるシンプルな内部。
つやつやしたグレーの床に、白を基調とした内装。
おしゃれな濃い茶色の机といすが置かれていて落ち着いた雰囲気。
受付には、黒いスーツを着た男性が立っていた。
受付の男性に声をかけて、紹介状とライセンスを見せると部屋に案内してくれた。
私たちが案内されたのは、3階の角の部屋。
カーテンを開けると、外の景色が二方向で見えて、なんだかお得な気分。
部屋の中は、クリーム色のシンプルな部屋で、机などの家具は、つやつやした石でできていた。
ライトは小さいシャンデリアで、暖かい色の光を放っている。
ベッドはダブルベッド。
これは寝心地よさそうだ。
「いい部屋だね。」
「確かにな。」
この部屋を満喫するだけでも、一日過ごせそうなんだけど。
完全庶民派思考の私にとって、こういうホテルって一種の観光スポットだよな。
ネロは、この部屋の空気に緊張もせず、くつろいでいる。
もしかして、こういう雰囲気に慣れているのかな?
私がネロを観察していると、ネロと目が合う。
「行くか?」
ネロは、首を傾げながら私に聞いてきた。
「そうだね。荷物も置いたし、せっかくだから外に行こう。」
いざ、観光!
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