122話 プティテーラにやってきました!
ポーン
異世界転送装置がプティテーラに着いた音が鳴る。
この扉が開くと、すぐそこに別世界がある。
この感覚に慣れる時が来るのだろうか。
「行くぞ」
「うん」
緊張を落ち着けて、異世界転送装置から出る。
うわぁ…。
目の前に広がるのは、水の都。
建物が立ち並び、建物と建物の間には水路が引かれている。
水路には、小舟が浮かんでおり、小舟での移動を可能としている。
そして、何に一番驚いたか…。
それは、滝。
私が見える範囲だが、街をグルっと囲むように、滝が流れ落ちていた。
自然というよりも作られた滝だし、水の都も人工物だが完成されている感じ。
「どこが自然?」
「世界側面を囲んでいるであろう滝は、自然の物だろうな。」
「うそ!」
「いや、ほんと。」
この水の都を囲んでいる滝が自然の物って、どんだけ大きい滝だと思ってるの。
大きいなんてもんじゃない。
「この水の街は、あの滝ありきじゃないか?あの滝の水を街の方に流しているんだろう。」
地球の世界最大の滝ってなんだっけ…
それを圧倒するかのような規模なんだけど。
さすがとしか言いようがない。
「とは言っても、俺らは詳しい情報を持っていない。観光案内のところに行くぞ。」
「そうだね。」
月と太陽というのが何をさすのか、まだ分からないけど。
特徴をあげるなら、どうみても水の都では?と私は思ってしまった。
私とネロは、異世界転送装置のすぐ近くにある、白いコンクリート造りの建物へ向かった。
でっぱりのあまりない、シンプルな直方体の建物に、赤色のドア。
私は、その赤いドアをゆっくりと引いて、伺うように中に入る。
「おじゃましまーす…」
すると、カウンターのような場所があり、その奥に人がいた。
私の声に、その人が振り返る。
「いらっしゃいませ。ようこそ、プティテーラへ」
眩し…
私とネロを見て、輝く笑顔で挨拶をしてくれた。
グレーの髪の毛を緩く三つ編みにして、おさげにしている女の子。
はきはきとした話し方や眩しい笑顔がとても気持ちがいい。
「プティテーラのお客様ですね。観光ライセンスを見せていただいてもいいですか?」
女の子の言う通り、私とネロは観光者ライセンスを提示した。
「コスモス観光部の方でしたか。本日はプティテーラにお越しいただきましてありがとうございます。」
「こちらこそ、お招きいただきありがとうございます。」
「私は、プティテーラの観光案内人のルアル・ノアルナと言います。コスモスの方がお越しになることは伺っていました。まず、こちらを。」
ルアルさんが手渡してきたのは、冊子状のプティテーラの地図とガイドブック。
「夜には、プティテーラが異世界のゲートを開いたことによるパーティが開かれます。招待状は、先に送らせていただきましたが、よかったら、このパーティにも参加していただければ嬉しいです。パーティは、セレーネギアの方で行われます。宮殿の門で招待状とライセンスの提示をしていただければ、中に入っていただける様になっていますのでお越しいただけるのであればぜひ。」
プティテーラは、宮殿があるのか…
後で地図を見て確認しよう。
「それから、こちらを。」
次に渡されたのは、封筒と文字が書かれた紙。
封筒の方を裏表にして確認するが、何も書かれていない。
だけど、封筒を閉じているものって、封蝋という奴だよね。
よく見ると、これは月?
「これは?」
「宿泊先への紹介状と、宿泊場所を示した紙です。」
泊まる場所を探す必要ないの?
ミシュティでは、苦労したあの作業をしなくていいってこと?
結局、ミシュティでも人の助けを借りて、宿泊先を確保したんだけど…
「なにからなにまで、ありがとうございます。」
「いえいえ。何か分からないことはありますか?」
分からないこと…
うーん。
「あの、分からないことではないんですけど、夜までに観光できる場所ってありますか?」
パーティは、ある意味仕事だから、ここに遅刻するわけにいかない。
でも、観光するなら途中でやめてパーティに行くのもなんか嫌だし。
今から、パーティが始まるまでの時間で観光できる場所があるといいんだけど。
「それなら、カナリス…水の街並み探索なんかいかがですか?歩いてもよし、小舟に乗って水路を使っていただいてもよし。街並みだけでも、見どころ満点です。」
目の前にあった、水の街か…。
私はネロの方を見ると、ネロも頷いてくれた。
いいね。
宿泊場所に荷物を置いたらそうしよう。
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