116話 お使い担当に任命されました
チーズを楽しんだ後は、最後にネロのお使い。
ミソマヨ、ピクルス、芋よこせ。
何の呪文かと思うけど、しっかりこなしてきましたよ。
「新しいものが増えてる…」
そう。
前回と同じでは面白くないから、野菜スティックの種類も増やしたし、ピクルスもトマトやパプリカといった色合いが増すものを新たに作ってみた。
料理の色合いって、別に気にする必要はないけど、色合いに気を使っているとおいしそうに見えるから不思議だよね。
前回のピクルスは、大根、ニンジン、きゅうり。
そこにトマトの赤やパプリカの黄色を足したのだ。
それはそれは、おいしそうに見えるんじゃないか?
フライドポテトも、塩一択からケチャップ、マスタード、コンソメ、オーロラソースと足してみた。
調味料万歳。
他の企画宣伝課のみんなも、なんだ?と机の上のお皿を眺めている。
「食べていいよ、ネロ。」
私は勝ち誇ったような気分でネロに言った。
ネロは、私の方をちらりと見て、お皿の王に視線を戻すと、ピクルスの新メンバーのパプリカに手を伸ばした。
やっぱり新しい物って気になるよね。
「うまい…」
「よかった!」
ネロは私に一言告げると、今度はフライドポテトに手を伸ばす。
そこからは、お皿の上の料理を黙々と食べ進める。
私は、ネロのその様子を見て、一安心。
「これはなにかしら。」
「私がミシュティで作ったものを少し改良したものですかね。」
「おぉ、これが噂のミシュティの箸休め料理かい?」
どの噂だろうと思いつつ、私はアルバートさんに頷いた。
「野菜スティック、ピクルス、フライドポテトです」
「私達も食べてみていいかしら」
「もちろんです。みんなで食べられるように、多めに作ってきてるので。」
そういうと、各々がお皿の上に手を伸ばす。
フェリシアさんは、野菜スティックの大根。
リリスさんは、ピクルス。
カイン君とアルバートさんはフライドポテト。
フェリシアさんは、大根にミソマヨをつけて口に入れる。
ポリっとした音が鳴る。
いい音なったなぁ。
「これは、大根かしら。変わったソースね。」
「ミソマヨって言うですよ。」
「これがミソマヨというのね。ネロが食べたいと言っていたから、どんな味がするのかと思ったけど、おいしいわ。」
味噌の方が食べなじみないのかな?
商業街の方でも、味噌や醤油は異世界の掘り出し物だと言っていたな。
それなのに、あまり売れていなかったのは、どんなものか知らなかったからなんだろう。
もったいない。
食べてみればおいしいのに。
私が次に目を向けたのは、リリスさん。
リリスさんは、ポリポリと音を立てながら、ひたすらピクルスを口に運んでいた。
食べっぷりが、凄い…。
「リリスさん…、味は大丈夫ですか?」
私が問いかけると、リリスさんは手を止めて、私の方を見る。
な、なんだろう。
「おいしい。この甘酸っぱさが、私は好きね。それに、健康に良さそうだし。また作ってよ。」
ツンとした中にデレを見つけると、なんか嬉しい。
それにしても、サキュバスって健康に気を使うものなんだろうか?
サキュバスの食事って、こういうもの?
まだまだ、知らないことがあるもんだな…
そして、最後はフライドポテト組の二人。
付け合わせソースを増やしたから、最強でしょ。
といっても、コスモスにもフライドポテトはあるから、ソースの種類で勝負するしかないんだけど。
「どうですか?」
「おいしいよ。よくミシュティで、作って来たね。」
「いえ、折角、食べられるものがあるのにもったいないと思っただけです。」
皆で楽しく、食事会になってしまったけど、これで無事、私のお使いミッションはクリアなのでは?
そう思い、フェリシアさんの方を見る。
フェリシアさんは、それに気が付き、微笑んだ。
「チヒロ、お使いおつかれ様。どうだった?」
「新しい体験がたくさんできました。楽しかったです。」
「そう。それでは、チヒロ。企画宣伝課のお使い担当、しばらくよろしくね。」
「はい!」
お使い。
それは、新たな出会いと体験のミッションなのであった。
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