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【第一部完結】(サークルクラッシャーの)私が旅に出ようとしたら、 いつのまにか異世界の旅行会社に就職してました  作者: キサキエム
第一章 新しい環境というのは、気づかない間に疲れていくものである
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12話 生存確認は割と大切


「おい。お前。あの機械出せ。」

「え?機械ってスマホのこと?」


ネロに強くいわれ、ポケットから取り出すと腕を結構な力で引かれる。

その小さい体のどこにそんな力を隠し持っているんですか、ネロさん…。


「ティエラのこと思い浮かべて、これに触れろ」


そういいながら、ネロは私の手とスマホに触れた。

ネロから、何か温かいものが流れてくるような気がする。

驚いてネロのほうを見ると、真剣に私の手とスマホを見つめていた。


「ティエラ自体、どこにあるか分からないが、お前の思念と異世界の狭間に漂う残留、それからいくつかの国を経由していけば、連絡くらいは通るはずだ。場所が分からないから、あくまで一時的だけどな。」


ネロのその言葉にキョトンと首をかしげると、フェリシアさんが耳打ちしてくれる。


「その機械開いてみて」


スマホを開いてみると、さっきと違って微々たるものだが、アンテナが立っている。

急いで、トークアプリを開くとちゃんと起動していて、思わずウルっと来た。


「一時的だって言ったよな?泣いてる暇あるならさっさとしろ。」


もちろんトークアプリに送る場所は、家族トーク。

なんて打とうか…。

というか、何て打てば問題にならないか考えるべきでは?

帰れないならしょうがないかとか思っていたが、地球の方で考えると、この状況、結構大問題なのではなかろうか?

…よし。


千紘

“千紘はちゃんと生きてます。

偶然、異世界行きのチケットを手に入れたので、ちょっくら異世界へ旅行してくるわ。

連絡なくても心配しないでね。

生きてるから。

地球に帰るときは、お土産ちゃんと持って帰るから楽しみにしてて。

あとこのことは、内密によろ。

企業秘密です。

ちなみに、千紘は頭がおかしくなったわけではありません。”


そう文章を打ち込み送信、しれっと異世界の写真を何枚かと撮って添付する。

元気でいるという証拠と、まぁ、異世界らしきもの空飛ぶ猫ネロ、そして一緒にいる人たちを送れば、心配はするかもだけど、最悪の事態は免れると思った。

例えば、警察とかに行方不明届けとか出されるとか。

彼氏と別れたばかりで、人間関係うまくいかなかった人が、急に連絡つかなくなったらまぁ、そうなるわ。

生きているアピールと楽しくやりますアピールでもしとけば、ギリギリセーフでしょ。

あとは、マイペースな我が血筋を信じるしかない。

どうか、大事にしないで下さいと。


打ち終わりネロのほうを見るとだるそうに見えた。


「ネロ、大丈夫?終わったよ。ありがとう」


そう告げると、ネロの力がふっと抜けて、空飛ぶ猫が地面に向かって落ちる。


「ネロ!?」


地面に落ちる前にアンヘル君がネロをキャッチしてくれた。

それを見て、心臓がバクバクしている。


「ネロ大丈夫ですか?」

「連絡をつなぐために、ネロの魔力を使ったのよ。それで、ちょっと疲れちゃったみたいね。少し休めば大丈夫。」


フェリシアさんの言葉に安心すると、急に体の力が抜け座り込んでしまった。


「あらあら。ネロのこと、心配してくれてありがとね」

「いえ、何も知らずに助けられて、それに対して、お礼も言えないなんて、寝覚め悪いですから」


クスクスと、からかうように笑うフェリシアさんに苦笑しながら、ネロのほうを見る。

アンヘル君は、それに気づき、ネロを私に手渡してきた。

戸惑ったが、小さい猫を起こさないように、そっと抱っこした。

目はしっかり閉じられていて、見えない夜の色。

体を見ると、上下にちゃんと動いており、しっかりと呼吸をしているのが分かる。

ほんとに良かった。


「時間取らせてしまい、すみませんでした。しかも仕事の話の途中で、腰を折ってしまい。」

「やっぱり疲れていると思うし、明日にしましょ。今日はもう休んで。お部屋に案内するわ。」

「部屋?」

「サポートは充実しているって言ったでしょ?」


企画宣伝課の部屋を出て、再び円の中へ促される。

さっきはよく分からなかったけど、これは転送システムの一種ってことなんだろうな。

光ると円の中に文様が浮かび上がる。

魔法陣みたい。

転送が終わると、マンションの廊下のような場所に出た。

私のイメージは、完全にタワマン。

エントランスホールとかにコンシェルジュとか居て、24時間サポート完備のやつ。

廊下を見渡すと、均一に扉が設置してある。

その一番左側の扉で立ち止まる。


「ここがチヒロちゃんの部屋ね。全部チヒロちゃんのものだから、中に入って適当にいじってみて。分からなかったら、部屋の内線とか利用して聞いて。1001これ私の部屋の番号。あと会社用の通信機の番号でもあるから」

「ありがとうございます。」


何から何までやってくれるフェリシアさんにお礼を言い、頭を下げる。


「いーえ。じゃあ、ネロも部屋に届けてこようかしら」

「えっ、あ、そうですよね!容体、急変したら大変ですものね。」

「寝てるだけだから、預かってくれるならそれでも大丈夫なんだけど…」

「ほんとですか!」


驚いた顔のフェリシアさんに、食い気味で詰め寄ると、引き気味に答えられた。

私の勢いにフェリシアさんは、苦笑いである。


だって、やっぱり、一人寂しいし、アニマルセラピーってあるし、落ち着くだろうし、それに目を覚ますか心配だし…

ネロが、ちゃんと目を開くのか、自分で見たかったのである。


「ええ。じゃあ、お願いするわ」


フェリシアさんは手を振り、自分の部屋には帰らず転送システムのほうに歩いて行った。

また職場に行ったのかな。

フェリシアさんが見えなくなるまで見送り、いざ自分の部屋の扉を開ける。


おおぉぉぉぉぉ!

ひっろっ!家具も完備。

電化製品も完備。一人暮らしするには全く困らない装備が整っていた。

部屋は2DK。

お風呂とトイレはちゃんと別で、お風呂もちゃんと足を延ばしては入れるくらいの広さがある。

なおかつ独立洗面台が付いている。

キッチンは一人暮らしするのに使う?というくらいの大きさのシステムキッチンである。

部屋二部屋も、一部屋目がリビングっぽい雰囲気でテレビや机、ソファが置かれていた。

もう一部屋が寝室でダブルサイズのベットに、おしゃれな間接照明が置かれていた。

ちなみに2DKなのだが、物置が一部屋くらいに広い。


…一人暮らしになれた私には持て余す広さじゃないか??

お部屋探索を済ませ、ベットにネロを寝かせる。

その横に、寝転んでネロを抱きしめると、ポカポカして温かい。

世界をまたぐという大きい出来事により、疲れていた私は、ネロの温かさを感じながら眠ってしまったのである。


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