112話 天使たちの新たな一面
結局、横たわった男達は、たまたま近くを通りかかった人に頼んで、適切な場所に通報してもらった。
するとやってきたのは、民間部の人たち。
住民の住みやすさって、防犯面も受け持っているんだ…。
民間部も手掛けている範囲が広いんだな。
民間部の人たちは、倒れている男達と、私に抱き着いているアンジュ君アンヘル君を見て、一瞬目を見開いたが、男達を拘束し、私たちの方へ話を聞きに来た。
私は、商業街から、ここまでに至るまでを説明する。
そこで分かったことは、最近小さい子どもが行方不明になる事件が起きていたということ。
そして、今回襲ってきた男達は、その事件の関係者ではないかということだ。
男達を逮捕したことにより、今回の事件に思わぬ形で事件解決の協力をしたみたいで、民間部の人たちにお礼を言われてしまった。
それにしても、魔法を使って人攫いかぁ。
そういう人達もいるんだな。
アンジュ君とアンヘル君を狙ってきたかと思うと、腹立たしいと思う反面、しっかりと二人に返り討ちに合い、ご愁傷様という気持ちである。
まぁ、見た目が可愛い二人だし、一緒にいるのが私だから攫いやすいと思ったんだろう。
あまりの、二人の武闘派ぶりに驚きを隠せない。
そして、そんな二人はというと、いまだに私のところに引っ付き虫をしているけれど。
これじゃあ、広場でお話とか無理そうかな。
お使いの物はすべて達成しているし、一回、オフィスに帰ろう。
「アンジュ君。アンヘル君。」
「なに?」
「どうしたの、チヒロ。」
私の問いかけに二人は顔をあげる。
「一旦、企画宣伝課のオフィスに帰ろうか。」
「え…」
「お話…」
二人の顔から、お話ししないの?という不安そうな表情が読み取れるんだけど…。
「二人ともたくさん動いて疲れているだろうし、いったん帰ろう。」
「…わかった」
「…うん」
そんなに落ち込むほど、広場で話をするのを楽しみにしていてくれたのか…。
「それでね。カイン君とネロに頼まれた料理を作らなきゃいけないんだけど、二人にはそのお手伝いをしてもらってもいい?」
そういうと、二人にキラキラした目が戻ってきた。
「いいの?」
「僕達にもお手伝いできる?」
「もちろん。お願いしてもいいかな?」
「「うん!」」
「じゃあ、オフィスに帰ろう」
私が二人に帰りを促すと、アンジュ君とアンヘル君は私から離れて、手を握り、私の手を引いて帰りを急かす。
力強いよ、二人とも…
「ねえ、チヒロ」
「うん?」
「僕達、怖かった…?」
ん?
「さっきの見て、僕達のこと怖いって思った…?」
あぁ。
アンヘル君は、私の手を握る手に力が入っている。
緊張しているのかな?
アンジュ君の方を見ると、同様に不安そうな目で見て来ていた。
怖いか…
「きれいだと思ったかな」
「きれい…?」
「僕達が?」
アンジュ君とアンヘル君は首をかしげている。
「光が集まる二人を見て、きれいだと思ったよ。」
「きれい…」
「怖くない?」
「怖くない。守ってくれてありがとう。二人のおかげで無事にお使いを終えることが出来たよ。ありがとう。」
手から伝わる緊張が少しだけ、和らいだ気がする。
だって、本当にきれいだったのだ。
まぁ、二人は、すごい勢いで攻撃をしていたから、本当に止められてよかったとは思っている。
もしかして、過剰防衛になったりする?
いや、でも、相手が先に魔法を使ってきたわけだし。
もしそうなったら、ちゃんと説明しよう。
今日一日、アンジュ君とアンヘル君といて、普段見なかった二人の一面を見ることが出来た。
好きになったら、とことん寄っていくところや、口は悪くても甘えん坊なところ。
そして、意外と武闘派。
そして、寂しがりや。
他にもまだまだたくさん、一日を通して知ったことがある。
オフィスに帰って、やらなくてはいけないミッションもあるけど、二人とのお出かけは為になったし、楽しかった。
私は、二人の手をぎゅっと強く握り返した。
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