111話 天使は意外と武闘派でした
アンジュ君、アンヘル君二人の協力により、食材集めは無事終了。
これで、カイン君のトマトトーストとネロのミソマヨ、ピクルス、芋よこせに答えることができるだろう。
つ、疲れた…
本当に疲れた。
一日、歩き回ったんじゃないかな
企画宣伝課の人たちのお使いは、済ましたけど、気になることが一つ。
「アンジュ君と、アンヘル君は、何かいらないの?」
そう。
お使いメモに二人の名前がなかったから、気になっていたんだよね。
「俺たちも、お使いのお手伝いだから」
「僕らは、大丈夫。」
二人は、そわそわしているけど、遠慮の言葉を私に言った。
うーん…
嬉しそうにはしていたけど…
よし、ちょっと強引にいってみようか。
「二人も、私の遅刻に迷惑したのに、私のペナルティに付き合ってくれている。そんな二人は、私にお願いをすることが可能なのです。そうしないと、私のペナルティが終わらないなぁ…どうしようかな…」
私は、顔をしかめて困ったなと表現すると、二人はキョトンとした顔で私を見た。
な、何か言ってくれ。
恥ずかしいから。
「俺たちもいいの?」
「僕たちもいいの?」
キョトンとした顔から、みるみるキラキラした顔へ変化していく。
おぉぉ…
「もちろん」
私がそういうと、二人は力いっぱい抱き着いてきた。
可愛いけど、加減をしてくれ…
「俺ね、チヒロともっとお話ししたかったんだ。」
「僕は、チヒロと遊びたかった。」
え?
なになに。
「チヒロ、コスモスに来てから、すぐに旅行に行っちゃったから、寂しかった。」
「僕たち、チヒロとお出かけしたかったの。だから、フェリシアに頼んだの。」
可愛いの、過剰摂取で死ぬかもしれない。
「じゃあ、ゆっくりできる場所へ行こう。広場とか。そこでお話しよう。」
「「うん!」」
確かに、アンジュ君とアンヘル君とゆっくり話したことなかったかも。
商業街を抜けると、さっきの人通りが嘘のよう。
街並みは、穏やかなものへと変わる。
ただ、さっきから後ろについて来ている人たちが気になる。
私が後ろに気が付いたのは、アンジュ君とアンヘル君の様子が少しおかしかったからなんだけど、二人いわく、商業街からずっとついて来ているらしい。
そして、ついて来ているということは…。
「こんにちは」
声を掛けられる可能性があるということで…。
そして、人通りがないところで声をかけてきたということは、あまり良くないことが起こるんだろうな。
「こんにちは。何か御用ですか?」
「いや、ずいぶんかわいい子供を連れてるなと思いまして。」
分かる。
アンジュ君とアンヘル君、可愛いよね。
「少しお話を伺えればと。」
なぜ?
アンジュ君とアンヘル君をナンパしにきてるのか、この男達は。
「チヒロ、話聞かなくていい。」
「行こう。」
二人は、男達を無視して、私の手を取り歩き始める。
それが不快だったのか、男の一人が私の肩を掴んだ。
「いたっ」
反射で思わず出てしまった言葉だった。
すると、私の手から二人の手が離れ、気が付いたら、私の肩を掴んだ男が地面に横になっていた。
後ろをついてきた男達は、逆上して殴りかかってくる。
「アンジュ君、アンヘル君!」
二人は、目を吊り上げ、男たちをにらんでおり、殴りかかってきた男たちを蹴りと殴りで地面に沈めていく。
小さい体からは考えられないくらいのパワーで、体が倍以上ある男達を殴っては捨て、殴っては捨てを繰り返している。
えっと…
天使って意外と武闘派なんだ…
そんなのんきなことを思っていたら、相手が私に向かって光を放つ。
ん?
私か!
思わず目をつむる。
けど、何も起きてない…。
そっと目を開くと目の前には、アンヘル君。
それを見たアンジュ君の顔からは、表情が一気に消えて手の平を上に向け、光を集める。
どんどんと金色の光が集まっていき、球体になっていく。
きれいだと思った。
アンジュ君は、思いっきり腕を振り上げる。
狙うは、先ほど私に魔法を放ってきた男。
その男の方を見ると、先ほどアンヘル君が男の魔法を跳ね返したことにより、既に戦闘不能になっていた。
あたりを見ると、他の男達も同様に伸びてしまっている。
きれいって思っていたけど、ちょっと待って。
あれ、食らったら死ぬのでは?
私は、アンジュ君の方へと走り、アンジュ君の腕をつかむ。
「アンジュ君、落ち着いて。それ以上やると死んじゃうかもしれないよ」
私の声に、アンジュ君はぴたりと止まってくれた。
アンヘル君は、私がアンジュ君の方に飛び出したことにより、目を見開いて驚いてはいるけど、男達からは意識がそれている。
「チヒロがあいつ等のせいで怪我した。」
あー…
「怪我してないよ。大丈夫。」
そういうと、振り上げていた腕を収め、私の方に振り返り、力強く抱き着いてきた。
そして、アンヘル君も緊張を解くと私の方に突進してくる。
私は、二人をよしよしとなだめながら、この状況をどうしよかと考えるのであった。
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