110話 トマト料理とは?
ネロのミソマヨ、ピクルス、芋よこせは、材料が分かっているからそれを探せばいいんだけど、カイン君のトマト料理っていったい何だろう。
分からないことは、とりあえず聞いてみようかな。
「二人とも、カイン君のトマト料理って何のことかわかる?」
「カインは、トマトが好き」
「よくトマトを飲んでる」
トマトを飲むって何…。
しかも、今回はトマト料理を食べたいでしょ。
分からん、分からんぞ…。
分かったら、食材を探しに行くというミッションが始まるのに、ここで躓くのは痛い。
吸血鬼だけど、血を飲むわけにいかないから、トマトジュースを飲むみたいなことは、聞いたことあるけど。
「それって、吸血鬼だからとか関係あるのかな」
「ううん。カインはトマトが好き。」
「トマトを使った料理、よく食べてるよ」
それなら、トマトを使っていれば、何でもいいってことなのかな。
じゃあ、あれしかなくない?
トーストを焼こう。
それなら私にもできるし。
パンの上に、トマトと…チーズをのせて焼く。
あ、マヨネーズをかけてもいいかも…
ミソマヨの流れで、マヨネーズは作るし、トマトにマヨネーズ…
じゃあツナ缶みたいなのはあるのかな。
探してみよう。
何を作るか決めたし、二人に声をかけて材料を見に行くことにした。
実際に並んでる食材を見ると面白い。
ニンジンと言っても、種類がいろいろあるみたいで。
私には、目利きの技術がないので、どれがいいのか分からないのが残念なところだ。
「何を買うの?」
「この辺だとニンジン、きゅうり、大根、芋、トマトかな。」
「種類は、何でもいいの?」
「生で食べるのに適していると嬉しいかも。芋は火を通す予定かな。」
「わかった。分かれて、買いに行こう。」
「チヒロも、買い物、慣れたと思うから、僕らも買ってくる。」
「ありがとう。」
ん?トマトはあっちにありそう。
「私もトマトを見てくるよ。ここで待ち合わせしようか」
そう言うと、二人は頷き、小さい体を巧みに使いながら、人込みの中へ食材を発掘しに行った。
トマトを取りに行くと、指のサイズの小さい物から、抱えられそうなくらい大きいものまで。
見た目は、トマト…。
プライスカードの表記もトマトと書かれていた。
これだね。
そういえば、トマトもピクルスにできるんだよな。
た、食べてみたい。
トーストに使うものは大きいトマトだけど、プチトマトも買っていこうかな。
それに、ミシュティの食材って、どれも甘みが凄かったけど、コスモスで売られているものはどうだろう。
いろんな種類のトマトが売られているから、味も少しづつ違うんだろうけど…。
「すみません。焼くのと生で食べるものにおススメのトマトってどれですか?」
「焼くのは、これ。生はこれだね。」
店主さんに聞くと、親切に教えてくれる。
見た目は一緒のようにも見えるけど、おススメだし買っていこう。
「買います。」
「どうも。」
トマトを買って、アンジュ君とアンヘル君を探す。
一度、さっき約束した場所に戻ろうかな。
すると二人は、既に買い物を終えて戻って来ていた。
「アンジュ君、アンヘル君!」
「チヒロ、おかえり。」
「買い物できた?」
「できたよ。トマトを買ってきた。」
私が見せると、アンジュ君とアンヘル君が私の腕を引っ張り、座らそうとする。
な、なんだ?
力に逆らわず、そのまま座ると、アンジュ君とアンヘル君の手が頭にポンと乗せられて撫でられた。
一瞬、何が起こったかわからなかったけど、頭を撫でられていると認識すると、なんだか照れくさい。
「チヒロ、偉い」
「いいこ、チヒロ」
あ、あやされているぞ?
一生懸命に撫でてくれる二人が可愛いのなんの…
「ありがとう」
私がお礼を言うと、二人は大きく頷いてくれた。
確かに、一人でお使い成功と言えるわけで。
私のコスモス、一人でお使いが無事成功したのだった。
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