98話 困ったときは笑っておこうかな
やばい…
私はとても焦っていた。
朝。
私は、とても気持ちよく目が覚めて、体を伸ばす。
ゆっくりご飯を食べて、歯磨きをし、行く準備を進めていく。
さぁ、行くぞと決意した時、時計が見えた。
……
あれ?
これは、遅刻では?
余裕をもって行動していたと思っていたのは、全部勘違い…
私は慌てて部屋を飛び出し、転送装置に乗る。
えっと…行き先、行き先。
企画宣伝課のオフィスを探し出し、行き先を決定。
一瞬で着いた転送装置を降りて、オフィスに走った。
「遅れてすみませんでした。」
私は、オフィスに入るなり頭を下げる。
勢いで声出しちゃったけど、電話の対応してたらどうしよう。
…怖くて顔があげられないだけど。
「ちょっと、誰よこれ。」
「見たことない人だな。」
ん?
聞いたことない声。
私は、恐る恐る顔をあげた。
そこにいたのは、いつもの企画宣伝課のメンバーと知らない男女が一人ずつ。
えっと、どなた?
私は、知らない二人に首を傾げた。
「おはよう、チヒロ。遅刻については、あとでお説教をするとして、この二人の紹介を先にしちゃうわね。」
フェリシアさんは、にっこりと笑顔で私に話しかけてきた。
こ、こわいぃ…
「おはよう、チヒロ」
「元気?チヒロ」
アンジュ君とアンヘル君は、私の方に寄ってきて、ムギュっと抱き着いた。
今日は、いつもより勢いが全くない抱き着き…。
「寝坊か?」
そして、鼻で笑うネロ。
い、言い返せない。
「はいはい、そこまでにしないと。おはようチヒロ。早速、二人の紹介をするよ。」
おはようございます、アルバートさん。
遅刻すみませんでした。
「この二人が、企画宣伝課の残りのメンバー。女の子の方がリリスで男の子の方がカイン。」
リリスさんとカイン君。
リリスさんは、ピンクの髪の毛に編み込みのツインテール。瞳は、薄いピンク色。
黒のゴシックのワンピースを着た女の子。
地球で言う、今時の女の子という感じ。
カイン君は、赤髪ショートヘアに赤いつり目。
服装は、さわやか男子という感じで、こちらも地球で言う今時男子風?
「リリス、カイン。この子が、新しく企画宣伝課に入ったチヒロだ。」
「はじめまして。チヒロと言います。よろしくお願いします。」
……。
な、なんだろう。
カイン君はともかくリリスさんから、すごくじろじろ見られているんだけど…。
「こら、二人とも自己紹介して。チヒロはしてくれたんだから。」
フェリシアさんは、二人の背中をバシッと叩いた。
フェリシアさん…
リリスさんとカイン君、背中痛すぎて床に崩れ落ちてます。
「大丈夫ですか?」
「いっ…大丈夫。自己紹介だったな。俺は、カイン。人と吸血鬼のハーフ。ダンピールという種族。よろしく。」
ん?
「私は、リリス。サキュバスよ」
んん?
私は、勢いよく企画宣伝課の人達をみる。
すると、あちゃーという顔を各々がしていた。
どんな反応ですか、それ?
カイン君とリリスさんは、私の反応を不思議に思ったのか、同じく企画宣伝課の人達を見て、その反応に二人はやばいという顔をして、私を見た。
ヒトと吸血鬼のハーフの男の子と、サキュバスの女の子。
吸血鬼って特徴的な牙があるんじゃなかったけ?
サキュバスも、黒い蝙蝠みたいな羽のイメージ。
見た目は、全く違和感がないくらい人なんだけど
いわば、人族ではない者たち。
それは、置いておくとして、この状況どうしよう。
なんか、知ってはいけない秘密を知ってしまったこの感じを。
私は、どうすることもできないので、とりあえずカイン君とリリスさんに、にっこりと笑いかけておくのだった。
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