1話 そこに山があるなら、絶対に谷もある 経緯その1
「私のことを誰も知らない土地に旅に出たい」
こう思ったのには訳がある。
私、有間千紘は大学2年生、現在20歳である。
夢の大学デビューを果たすべく、一人暮らしにワクワクドキドキしながら上京して早一年。
先輩たちのトークスキルにうまく乗せられてアナウンス系のサークルに入って、大学のスタートダッシュを決めた。
大学のノウハウを教わり、先輩たちによしよしされながら育った私は、気づけばすっかり先輩たち大好きっ子になっていて、ご飯を奢って貰い、いろんなところに連れて行ってもらって、サークルが生活の中心になっていった。
そうなると自然と、人間関係もサークル中心になる。
サークルと言えばいろんな活動があるわけで、普段の練習のほかにも特別なイベントがあるわけで。
ほら、文化祭とか合宿とか。
そういった特別なイベントごとには妙な魔力があるようで…
夏合宿の時、先輩の一人A先輩とたまたま夜中に二人きりになって話をした。
先輩Aは、よくご飯に連れて行ってくれて、いろんな話を今までしてくれて、私の中ではかっこいい先輩だったのだが、その先輩に「彼女と別れたんだよね」と弱い部分を見せられ、私はイベントという魔力に飲まれ狂って
「先輩、私じゃだめですか?」
と先輩に抱きつきながら言うのである。
どこの乙女ゲームですか?
それともチョロさ満点のギャルゲですか?
そんなこんなで、合宿で彼氏をゲットした私は、一層大学生活に花を咲かすのである。
空き時間に二人で会って、誰をいない教室で膝枕してあげながらお昼寝時間を過ごし、学校帰りには、途中まで手をつないで一緒に帰ったり、初々しいバカップルを発揮しながら楽しく生活していたと思う。
まぁ、世の中そんなにうまくいくはずもなく。
お読みいただきありがとうございます!
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