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美女に子種をせがまれて  作者: ぬ~ぶ
20/46

#20 NO牧場の戦闘


 ん~、言われてみれば確かにそうじゃな。


 わしは平静さを取り戻すと、


「もうええから店主よ、ちょいと商品を見せてくれんかのう?」


「へい、かしこまり」


 魚屋のように威勢よく発すると、店主は壁や棚、ショーケースなんかに陳列されとる武器・防具を順に紹介してくれた。


 まとめると、こうなる。


◆この上ない剣・盾・鎧(鋼鉄製)…………各20万М(3点セット 50万М)

◆素晴らしい剣・盾・鎧(青銅製)…………各15万М(3点セット 40万М)

◆上出来の剣・盾・鎧(鉛製)………………各10万М(3点セット 25万М)

◆悪くない剣・盾・鎧(岩石製)……………各 8万М(3点セット 20万М)

◆それなりの剣・盾・鎧(ガラス製)………各 4万М(3点セット 10万М)

◆気休めの剣・盾・鎧(ベニヤ製)…………各 2万М(3点セット  5万М)

◆頼りない剣・盾・鎧(プラスチック製)…各 1万М(3点セット2.5万М)


「剣・盾・鎧は、違う種類でも組み合わせて装備することが可能ですよ」


「ん~、どれも結構な値段じゃな」


「へへ。まぁ、バラで買うとそうですがね。3点セットなら、かなりお得かと……」


「それにグレードアップする際は、不要になった武器・防具を買い取ってくれるんだぜ」


 口添えするようにオウムが言った。


「ほぉ、そうなんか……ではまずは、頼りない剣・盾・鎧の3点セット購入を目指すとするか。店主よ、邪魔したな。金が貯まったらまた来るよ」


「へい、待っとります」


 肉屋のように威勢よく発して、店主はわしらを見送った。


「さて、いよいよレベル上げじゃな。おい、オウムよ。雑魚のモンスターとやらはどこにおる?」


「町を出りゃどこにでもいるよ。けど、爺さんはまだレベル1の初期装備だからなぁ……とりあえず『NO(エヌオー)牧場』辺りがいいんじゃないか?」


「NO牧場?」


「雑魚モンの中でも最弱と言われてるカンテーンが多く生息してる牧場だ」


「カンテーンか。確かに弱そうな響きじゃのう。よし、ではそこへ行ってみよう」


 NO牧場はコンババタウンの南西約2キロ地点にあった。

 わしの足でも30分とかからんかった。


「おぉ、なんと長閑(のどか)な光景じゃ……」


 抜けるような真っ青の空。

 緑の絨毯を敷き詰めたような野芝の平地。


 それらが地平を境に見渡す限り続いておる。


「ほら見てみぃ、あの雲。まるで綿飴をちぎって浮かべたみたいじゃ」


 横木柵を越えてしばらく歩を進めると、赤い三角屋根の母屋が見えてきた。

 その後方には厩舎(きゅうしゃ)や風車やサイロの姿も目につく。


 じゃが、肝心の牛が見当たらん。

 馬も羊もじゃ。


 それをわしが口にすると、


「カンテーンの奴らが脅かすからだよ。馬は食欲なくして痩せこけるし、牛は乳を出さなくなるし、羊は脱毛症になっちまった。それで酪農家たちはこの土地を捨てたんだ」


 遠い目で母屋を眺めながらオウムが答えた。


「なるほど、そういう訳か。じゃが、そのカンテーンとやらも見当たらんではないか。一体、どこにおる?」


 と、言ってるそばから現れよった!

 野芝の根元からヌルッとな。


 (しずく)の形をしたゼリー状の化け物じゃ。

 わしの膝小僧くらいの背丈があった。

 

♪ディロリロリィ~ン ディ~ン ディ~ン ディロ~ン ディロ~ン……


 突如、おどろおどろしい音楽が流れだした。


 そして目の前の空間に、光を帯びた文字列が浮かび上がる。

 SF映画なんかでよく目にする立体画像――ホログラムとかいうやつじゃ――に似ておった。


「おい、何じゃこりゃ!?」


 するとオウムが、


「戦闘画面が立ち上がったんだよ。左右にステイタスが表示されてるだろ? 左側があんたので、右側が敵のだ」


 左側? ……おぉ、これか。

 これが、わしの現状か。


――――――ゆうしゃ――――――

レベル: 1

HP :40

МP : 0

こうげき力:5

しゅび力 :5

力づよさ :3

すばやさ :3

ぶき :ダンボールのつるぎ

たて :ダンボールのたて

よろい:ダンボールのよろい

どうぐ:ネカマのコンタクト

    じょうしのダジャレ

    なまいきなオウム

まほう:なし

おかね  :0

けいけんち:0

――――――――――――――――


 で、右のこれが、奴のじゃな。


――――カンテーン――――

レベル: 1

HP :10

МP : 0

こうげき力:3

しゅび力 :3

力づよさ :2

すばやさ :2

ぶき :なし

たて :なし

よろい:なし

どうぐ:なし

まほう:なし

おかね  :30

けいけんち: 4

―――――――――――――


「では、下の方に表示されとる これは何じゃ?」


――――――

たたかう

じゅもん

アイテム

とんずら

――――――


「それはコマンドだ。その中から一つ選んで実行すりゃ戦闘が始まるのさ」


「ほほぉ、そういう仕組みか。まるでゲームじゃな」


 そういや昔、せがれが部屋でピコピコやっとったのう。

 え~と、確か……『デブゴンクエスト』じゃったか。

「なーにが面白いんじゃ?」と思いながら眺めとったもんじゃが……。


「爺さん、何ぼやぼやしてんだ? まさか怖気づいたんじゃねぇだろうなぁ」


「バカ言えッ。見とれよ……」


 わしは手始めに“たたかう”を選択し、実行した。


<ゆうしゃの こうげき… スバッ!>

<カンテーンに 5ポイントのダメージを あたえた!>


「ははっ、よし。ええぞ」


<カンテーンの こうげき… スバッ!>

<ゆうしゃは 2ポイントのダメージを うけた!>


「イタタッ……おのれ、畜生め」


 今度はこれじゃ。

 わしは“じゅもん”を選択し、実行した。


<ゆうしゃは まだ まほうを おぼえていない>


「あっ、しまった! そうじゃったわ」


<カンテーンの こうげき… スバッ!>

<ゆうしゃは 2ポイントのダメージを うけた!>


「イタタッ……またやられたわい」


 ならばお次はダジャレ攻撃じゃ。

 わしは“アイテム”→“じょうしのダジャレ”と選択し、実行した。


<ゆうしゃは ダジャレを とばした…>

<このブドウ 一粒どう?>

<しかし カンテーンは わらわなかった>


「な、なぜじゃ!? なぜ効かん」


<カンテーンの こうげき… スバッ!>

<ゆうしゃは 2ポイントのダメージを うけた!>


「イタタッ……くっそぉ、やりおるのう」


 やはり、ここは初心に返るべきかな。

 わしは“たたかう”を選択し、実行した。


<ゆうしゃの こうげき… スババッ!! つうかいないちげき!!>

<カンテーンに 15ポイントのダメージを あたえた!>

<カンテーンを たおした!>

<けいけんち1ポイント かくとく 30マドカを てにいれた!>


「あははっ、やったぞ! 見たか、オウム」


「あぁ、見てたよ。危なっかしい戦いぶりだったがな……まぁ、とりあえずはよくやった」


 こうして、わしはデビュー戦を勝利で飾ったんじゃ。


「よし。この調子でガンガン行くぞい」


 わしらは牧場内を散策しながらレベル上げ作業に勤しんだ。


 そして、7匹目のカンテーンを倒した時じゃ。


♪パララ ラッパッパッパァー


 ファンファーレみたいな音が鳴り響いて……


<ゆうしゃは レベルが あがった!>


「おぉ、レベル2になったぞッ」


<HPが 5ポイント あがった!>

<МPが 5ポイント あがった!>

<こうげき力が 2ポイント あがった!>

<しゅび力が 2ポイント あがった!>

<力づよさが 1ポイント あがった!>

<すばやさが 1ポイント あがった!>


 何だか全身がカッと熱くなってきた。


 まるで血潮がたぎっているかのようじゃ。


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