#12 デリヘルですやん
2曲目が終了し3曲目に入ると、アーシャは突如 上下のランジェリーを取っ払った。
「あぁ~~~~~ッ!?」とヤスが、
「おぉ~~~~~ッ!?」とマサが、
「んん~~~~~ッ!?」と武留が、
共に目玉をひんむいて驚倒した。
まぁ、無理もない。
そのアーシャの姿といったら、もうほとんど全裸だったのだから。
つまり胸は完全に丸出しで、股間は紐とパールだけのTフロント&バックパンティーといった あんばいだ。
「ちょっと、お二方ッ。ちゃんと役目を果たしてください!」
軽く上気した顔でアーシャが叱責する。
「……あ、こりゃ面目ねぇ」
と、マサが思い出したようにデッキブラシを握り構える。
ヤスもハッと我に返って、
「す、すいやせん……」
紙コップとスポイトをバッグから取り出した。
3曲目はムーディーなスローバラードだった。
アーシャは あだっぽく身をくねらせながら、ゆっくりと武留に歩を進めた。
舌を出し 挑発するように唇を舐め回す。
そして、バスケットボールくらいはありそうな巨大な二つの乳房を揉みしだき始めたのだ。
それを待っていたかのようにマサが、
「さぁ、いくぜ。ガリガリメガネ」
と武留の股間にデッキブラシを当て、ゴシゴシ擦り始めた。
「んん~~~~~ッ!?」
口を塞がれた武留が声にならない悲鳴を上げる。
硬いブラシが股間を行き来する度にブリーフ内のこんにゃくが荒れ狂い、彼のいたいけな息子を容赦なく小突き回すのだ。
「はは、そうか。そんなに気持ちいいってか」
目をギラギラさせながらブラッシングの手を速めるマサ。
『……こ、こりゃあ、堪らんッ』
武留は遠い目をして、声なき悲鳴を発し続けた。
「ねぇ、私を見てください」
そう言われてアーシャに視線を向けてみると、彼女が自身の乳首をレロレロ舐めているのが目に入った。
『オーマイガーッ』
武留は背徳的官能に身もだえした。
すると、マサがダメ押しとばかりに超高速のブラシさばきを披露した。
「おらおらおらぁ~、早いとこイッちまえ~ッ」
『や、やめれぇ~ッ。チンコが取れるぅ……』
悪寒戦慄といった様相で、椅子ごとガタガタ震える武留。
「おぉ、さすが兄貴。やっぱ県大会4位は伊達じゃないッスねぇ~」
何の県大会かは知らないが、ヤスがおべんちゃらを言うと、気をよくしたマサがさらに手の動きを速めた。
「うらうらうらぁ~ッ!!」
だが圧が強すぎたのか 手元が狂ったのか 肉厚のこんにゃくは勢いよくブリーフから飛び出し、ヤスの顔面に貼り付いた。
「ヴエッ! きったねぇ~ッ」
すかさず こんにゃくを払いのけるヤス。
ここでブラッシングの手を止めたマサは、
「おい、ヤス。こいつ、もう発射してんじゃねぇか?」
それを受け、ヤスが武留のブリーフ内をためつすがめつチェックする。
「……いえ、まだでやす」
チッと舌打ちするマサ。デッキブラシを放り捨てて、
「おい、ヤス。あれを出せ」
「へい」
ヤスはボストンバッグから『ケイレヴ』を取り出し、マサに渡した。
ケイレヴというのは、ハンディマッサージャーの商品名。
肩に当ててコリをほぐすものである。
しかし、それがどういう訳か“電マ”としてAVで活用されるようになった。
それからというもの、誰も本来の用途で使わなくなってしまった。
今となっては完全にオナニーグッズの位置づけだ。
ただ 売れ行きは好調なので、メーカーとしては痛しかゆしといったところだろう。
「よぉし。これで、てめぇはジエンドだ」
不敵に笑んでケイレヴを作動させると、武留の股間に押し付けるマサ。
「んんーッ!! んんーッ!! んんーッ!!」
これまで味わったことのない強烈無比な刺激が、武留のイチモツを襲った。
『こ、これがケイレヴって奴か。評判通り……いや、それ以上だぜ。な、何か、萎えるものでも想像しなきゃ、発射しちまうのは時間の問題だ。まったく恐るべしだな、ケイレヴさんよ……』
武留はギュッと目をつぶり、両親の交尾を想像することで何とか凌がんとする。
だが、またしてもアーシャが、
「ねぇ、私を見てください」
今度は大股を広げて上体を後ろへ倒し、床に両手をついてみせた。
体操選手並みの見事なブリッジである。
ところが、それを目撃した3人はもれなく鼻血を噴き出した。
アーシャの股間がとんでもないことになっていたからである。
驚くなかれ、ブリッジによって引っ張られた紐がメリメリと股間に食い込み、左右からはみ出したビラビラがパールを包み込んでいるのだ!
そんな言わば“真珠のホットドッグ”が、ストロボライトの点滅に合わせて現れては消え、消えては現れしているのだから、そりゃあ鼻血も噴くだろうって話である。
アーシャの手下のマサ&ヤスにしても、まさか彼女がここまでやるとは思っていなかったので、大そう面食らったし 大いに発情させられた訳だ。
「んむぅ~ッ!! んむぅ~ッ!! んむぅ~ッ!!」
目を背けても脳裏に浮かんでくるアーシャのビラビラ。
そして、ケイレヴの容赦なき震撃……。
『ダ、ダメだ、忍耐の限界ッ。もはやこれまでか……』
鼻血を滴らせながら絶頂を覚悟する武留。
だが、その時だった。
急にケイレヴさんが、うんともすんとも言わなくなったのである。
「……あれ? 何だ、止まっちまったぞ」
「どれ、見せてください……」
マサとヤスが怪訝な面持ちでケイレヴのスイッチをカチカチ、頭をトントン。
しかし、一向に回復の兆しは見えない。
「ちょっと、何をやってるんですかッ」
ブリッジの体勢から上体を起こしたアーシャが、渋面を作って言った。
「へい。どうやら故障したみたいで……」
ヤスが申し訳なさそうに答える。
「故障ぉ~ッ!? 何で故障するんですかッ。新品を買ったんじゃないんですかぁ?」
「へ、へい、確かに。昨日 ドンキで買ったばかりの新品でやすよ」
「じゃあ、何で故障するんですかッ。おかしいじゃないですかッ!?」
「い、いや、あっしに言われましても……」
しゅんとなるヤス。
それを見て、マサが助け船を出した。
「まぁまぁ、姫、そう興奮しないで。たぶん初期不良って奴ですよ。ババをつかまされたんでしょうな。だが心配ご無用、俺たちが責任をもってメーカーから慰謝料ふんだくってやりますから」
すると、アーシャは切歯扼腕といった感で、
「何が、心配ご無用ですかッ! こんな簡単なミッションすら遂行できないで、あぁ情けない……」
そして、厳しい目つきで義兄弟を交互に指差しながら、
「空腹で倒れていたあなたたちを拾ってくれたのは誰ですかッ!? 借金を肩代わりしてくれたのは一体誰なんですかッ!? よぉ~く思い出してくださいッ」
「め、面目ねぇ……」
今度はマサまで 青菜に塩 である。
そんな一味のやり取りを、胸のすくような思いで見守っていたのは雑賀武留。
だが彼の痛快そうな表情を、アーシャは見逃さなかった。
「ちょっと、あなたッ。なに、ざまぁ味噌汁みたいな顔してるんですかッ」
般若の如く怖い顔になって、武留に迫るアーシャ。
「んッ、んむうむ、んんー、むんむ……」
いや、そんな顔してねぇよ、俺は別に……的なことを訴える武留。
「っていうか、いつになったら発射するんですか、あなた。もしかして遅漏ですかぁ?」
「むッ、むぬむぅ、んぬー、むむ……」
いや、むしろ早漏だよ。だいたいこんな状況じゃ仕方ねぇだろ。繊細なんだ、俺は……的なことを訴える武留。
「それとも、私を弄んで楽しんでるんですかぁ? バカにしないでくださいッ。このヒョロヒョロメガネッ!」
アーシャは腹立ち紛れに、両の巨乳で武留に往復ビンタを食らわした。
メガネが吹っ飛び、鼻血が飛び散る。
それでも怒りが収まらないアーシャは、
「これでも食らいなさいッ!」
と今度は、吹き出物一つない美尻を武留の顔面に押し付けた。
それは、椿本万世の必殺技“乳圧固め”の向こうを張る “尻圧固め”誕生の瞬間であった。
「んむむ~ッ」
「ぬむぬ……」
「うぬ……」
「ん……」
「……」
チンピラ義兄弟が揃って股間にテントを張って見守る中、武留は粛然と白目をむいて失神した。
【 ちずまよ放談 】
万 世「ねぇねぇ、ちずちゃん。デリヘルって なあに?」
千寿留「何だ、万世。お前 そんなことも知らないのか。
デリヘルってのはなぁ、デリバリー・ヘルスのことだ」
万 世「デリバリー ……ヘルス?」
千寿留「うむ。デリバリーの意味は配達だろ。で、ヘルスは健康」
万 世「健康の……配達?」
千寿留「うむ。つまりアレだ……牛乳配達のことだ」
万 世「なーんだ、そっかぁ。さっすが ちずちゃん、物知り博士」
千寿留「ふふ、まぁな」
万 世「という訳で、次話もお楽しみにね♪」
千寿留「ぜってぇ読んでくれよな!」