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引っ張り出されました。

この剣呑な会合に至った原因は今から1時間後か或いは昨日にある。


「お初お目にかかります。エルフリーデ・ローエングリンと申します」

凛とした声で名乗ると片膝を折ってすっと重心を下げる。

「ようこそ、第一王子のマクシミリアン・フォン・シュヴァンガウです」

エルフリーデの手の甲にキスをしたマクシミリアンはそのまま手を取り椅子を勧める。

「此度の婚約大変嬉しく思います。噂に魔導適性に優れた方は皆美形揃いと聞いていましたが、どうやら本当のようですね」

向かいに腰掛けたマクシミリアンが柔和な笑みを浮かべる。

「いえ、私などよりお美しい方は国中にいらっしゃるでしょう。魔導適性も父にとても及びません。このような未熟者ですが、お選びいただき光栄に思います」

これまで社交の場に出たことはなく、魔導適性に優れた者も美男美女も珍しくない環境で育ったエルフリーデに自覚はないが、実際のところは国内で五指に入る魔導適性と美貌の持ち主である。

そんなエルフリーデだが数ヶ月前まで候補に挙がりもしなかった。

王太子妃の座ともなれば有力貴族がこぞって謀略を巡らせ奪い合うものだが、ローエングリン家は拝領以来そういった権力闘争には縁がなく、公式の行事でも無ければ社交の場に顔を出す事はない。その公式の行事ですら参加するのは当主のみである。加えて当主で父のリヒャルトに娘を王太子妃に推挙する気などさらさら無いのだから、候補に挙がるはずもない。

マクシミリアンに魔導適性が無いと確定しなければ二人が顔を合わせる事もなかったに違いない。

周囲を大小様々な国に囲まれたシュヴァンガウ王国が独立を保っているのは、他国に先駆けて魔導を体系化し、唯一魔導戦力を獲得出来たためであり、国王には魔導戦力の象徴としてその力を誇示することが求められてきた。

そんな国の次期国王に魔導適性がないとあっては内外で国の衰退を囁かれかねない。

しかし魔導適性は親から子へ受け継がれるものであり、後天的に得られるものでは無い。

そこで王太子妃に魔導適性に優れた者が求められることになった。

その点で同年代随一の適性と辺境伯の父を持つエルフリーデは文句の付けようがなく、難色を示しこそすれも反対を唱えることは出来なかった。

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