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リョク君 修行する。




「ハイ、ハイ、ハイ~! 腰を入れてね~?」


「えい、とう、やあ!」


「ん~、良い感じだけど、まだまだだよ~」


異世界に来て3ヶ月、拠点となる山小屋をドライト様が召喚した方と建築して、僕は今そこの庭先でフル姉さんを相手に棒を持って打ち合っていた。




「そうですね、センスは感じますがまだまだですね。

リョク君、そこはもっと打ち込みを鋭く!」


「はい、オフィエルさん! えい! とう! やあ!」


「おお~、ますます良くなったよ~!」


「ええ、向上心は高いですし、素直です。 私達も教えがいがありますね。」


お昼前の軽い打ち込みの訓練を一時間ほどして、オフィエルさんが食事の支度を終えると訓練も終わりテーブルに着く。


「あ、ドライト様を呼んできますね。」


「はい、頼みました。」


「私も行くよ~」


ドライト様がまた来てないので、僕は席に着かずにドライト様がいる方に向かう。


「オラオラオラ! 死にやがれクソ野郎が!」


「ホイホイホイ、ケンさんスキだらけですよ!」


ドライト様の修行場に着くと、ドライト様と1人の男性が殴り合いをしていた。

男は凄まじい勢いで槍を繰り出し突きを入れてくる、対してドライト様はその槍を真っ向からはね返す、鱗で。


そしてドライト様は男と同じ勢いで槍を繰り出すので、防御のために手数で負ける男は徐々にボロボロになっていき―――


「あたぁ!」


「ギャアァァァ!?」


ドライト様の強烈な一撃で吹き飛ばされてピクリとも動かなくなるのだった。


「さすがはドライト様です! あ、お昼ですよ。」


「ドライト様の勝ち~!」


「軽い運動もちょうど済みました、美味しいご飯が食べれそうです!」


「な、納得いかねぇ……」


こうしてドライト様と謎の男、天槍のケンさんとの訓練は終わり、お昼をとるためにオフィエルさんの所に戻るのだった。




「さぁドライト様、お味をみてください。」


「……おお、塩ダレとネギでイノシシの臭みを消しているんですね、美味しいですよ!」


「ありがとございます、それではみなさんもどうぞ。」


最初にドライト様が食べたのを確認してから、僕達もナイフやフォークを持ってイノシシのステーキに手をつける。


「本当だ、昨日よりも臭みが少なくて美味しいです!」


このイノシシは昨日のフィールドワークで捕らえたもので、味見がてら解体してすぐに少しだけ焼き肉にして食べたんだけど、臭みが有ったのがほとんど無くなっていた。


「イノシシは臭みが有りますからね、これはネギと塩ダレ、それにヨーグルトで一晩浸けたので臭みが少なくなっているのですよ!

シンプルにみえますがこれは時間ごとに揉みこんだのでしょう、味が染みてますし臭みもより薄くなってます、手間のかかった料理ですよ!」


「そうなんですね……オフィエルさん、何時も美味しいご飯をありがとうございます。」


「いえいえ、リョク君こそ何時もお礼をありがとうございます、それにしてもそちらのクズとはえらい違いですね。」


そう言ってオフィエル様が睨んだのはさっきまでドライト様と殴り合いをしていた謎の人、天槍のケンさんと言う人だった。


「オフィエルさんよ、こっちゃあこのデブにえらい目にあわされてるんだ、美味い飯ぐらいじゃ割に合わないんだよ。」


そう言ってドライト様を睨むケンさん、そんなケンさんを睨むオフィエルさんとフル姉さん。

そんな中で僕は疑問に感じた事をケンさんに聞く。


「あ、あの、話の流れからドライト様の事を言ってるとは分かるのですが、デブと言うのは?」


僕がそう質問をするとドライト様はショックを受けて、オフィエルさんとフル姉さんは驚いていて、そしてケンさんは少し驚いてからニヤニヤ笑いながら言ってくる。


「お前もそう思うだろ? ドライトはデブだって!」


そう言われて再度イノシシのステーキ肉にかじりついたままのドライト様を見る。


「……すっごく凛々しいです!」


「そんなに正直に言われたら照れちゃいますよ!」


僕がそう言うと、オフィエルさんとフル姉さんはウンウンうなづきながらパチパチと手を叩き、ケンさんは唖然として僕とドライト様を交互に見るのだった。




「なんか色々と納得いかねぇが、戦闘訓練だ。

今度は俺が相手をしてやる、そっちの嬢ちゃんと違って手加減なんかしないからな? 死なねぇように注意しろよ。」


「分かりました、死になさい!」


そう言ったケンさんにオフィエルさんがいきなり斬りかかった。


「うお!?」


「全力でいくよ~!」


「ぬぁ!? お、お前ら!」


オフィエルさんの剣を槍で弾いたケンさんだったが、続いて繰り出されたフル姉さんの斧と力比べになる。


「今ですリョク君、全力で殺るのです!」


「は、はい! アクアボール!」


「ギャアァァァ!」


フル姉さんと力比べをしていて、動けなかったケンさんに僕が放ったアクアボールがあたり吹っ飛んでいく。


「素晴らしい魔力の練りです!」


「こんなに高威力のをすぐに撃てるなんて、魔法と魔術を教えたかいがありますね。」


「良い魔法だったよ~。」


「あ、ありがとうございます、それより本当に全力で撃ってよかったのですか?」


模擬戦が始まる前から、ドライト様にオフィエルさんとフル姉さんがケンさんを押さえるから、魔力を練って全力で撃ち込めと言われていたけど、本当に大丈夫だったのだろうか?


「一応ドライト様の眷族神です、死んでないでしょう。 死ねば良いとは思いますが。」


「死んじゃえ~!」


ほ、本当に大丈夫なの!? あ、フル姉さん、追撃で魔法を撃ち込むのは止めてあげようよ。


「いい加減にしろや!」


フル姉さんを止めようとしたらケンさんが飛び起きた、そして一瞬で銀色の鎧を身にまとうと槍を振り回してこっちに走ってくる。


「ドライト様に敬意を払わない天罰です!」


「殺ってやるよ~!」


「うおぉぉぉ!」


壮絶な殴り合いを始めたオフィエルさんとフル姉さんVSケンさん。

それを横目にドライト様が僕の方に飛んできて言う。




「向こうは白熱した戦いになっていますので、リョク君は私と向こうで魔法の勉強にしましょう。」


「い、いいんですか?」


「オフィエルとフルなら大丈夫ですよ!」


うん、なんか他にも龍人の人が現れて、ケンさんに殴りかかってるけどドライト様がそう言うなら大丈夫なんだろうな。


こうして午後は予定していた集団戦から、魔法や魔術の勉強に変更になりました。




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