鑑定とステータス1
「美味しい! この炊き込みご飯、すごく美味しいです!」
「シンプルに竹の子と鶏肉に銀杏だけですが素材が良いですからね、それにキャンプしながらだと一味違います!」
そんな話をしながら夕飯を終える、今日の夕飯は炊き込みご飯とフィールドワーク中に採集したシメジのみそ汁に、昨日も食べた川魚の塩焼きでした。
「それじゃあ就寝する前に鑑定とステータスについて説明しますかね。」
「あ、やっぱり鑑定とステータスって有るんですね……」
「ええ、しかし物語の鑑定やステータスとは違いますからね、そこのところも教えてあげます。
これを例の手帳を持って鑑定と念じながら見てみてください。」
ドライト様はそう言うと、草の束を僕に向けてくる。
僕は言われるままに鑑定と念じてみると、[草]としか手帳に表示されなかった。
「はい、ちゃんと出ましたね。 じゃあこの草なんですが、月下草と言うのですが魔素の濃い場所で月の光に当てられて育つ珍しい薬草なのです、その効能は漬け込む薬液や処理の仕方で変わりまして疫病等の病気に特に効きますね。
それでは再度鑑定してみてください。」
「あ……月下草って出た。 効能とかも出てますけど、それぞれの効能を出すにはどうすればいいのかは出てません。」
「そうでしょうそうでしょう、私達神々のと違って普通の人達の鑑定は万能ではありません、知らないことは鑑定しても出てきませんから注意してくださいね。
ただし、ほい! これでどうですか?」
ドライト様が促してくるので、また手帳を手に鑑定を発動してみる。
すると今度は月下草の名前や効能だけでなく、詳しい調合方法や注意点が手帳に映し出される。
「今のはその手帳に様々な薬草の情報を送り込んだので、手帳がリョク君の持ってる月下草を解析してその結果を出したのです。
これはこの世界の各ギルドで、ランクによって手帳やその他の類似の魔道具に情報を送り込むのを試してあげたのです。」
「はぁ……じゃあ、僕が勉強しても無意味なのですか?」
「とんでもない! いいですか、その手帳はあなたと同期しているのです。
最初に渡したときに、私の方であなたの魔力や血などで登録しました。
その結果、あなたの思考や知識を読み取り鑑定をより正確にしているのです、ですからリョク君の知識が多いほどに手帳に書き出される結果はより正確になりますよ! この草を鑑定してみてください?」
ドライト様がそう言いながら渡してきたのは、初級の体力回復ポーションの材料になるごくごく一般的な薬草だったが、なぜか10束もこちらに寄越してきた。
不思議に思いながらも、僕は言われるがままにすべての束を鑑定する、すると束の中の1つが結果が違った。
『ウルラン草亜種。 ラン科の植物で春に花を咲かせるウルラン草の亜種、普通のウルラン草は体力を回復させるだけだがこの亜種には初歩的な毒を解毒する力が有る。
ポーションの材料に最適なのは葉の部分で、茎や根には強い苦味とえぐ味が有るためにポーション等の材料にすると飲みにくくなる。
また、春にのみ採集できる花には通常の物と同じように同ポーションの効能を強化する力が有る。
亜種の見分け方は花の色と葉の裏の色の違い、通常は白に紫なのが白に青になっている。』
僕はその説明を観てあれ? っとなる。
なぜならウルラン草については聞いていたし説明も手帳に書いていたが、亜種については何も聞いていなかったし存在するとすら知らなかったからだ。
「どうですか、1つ亜種として鑑定結果が出ませんでしたか?」
「で、出ました……」
「これは手帳にインストールさせた情報とリョク君の知識を元にそのウルラン草が亜種だと魔道具である手帳が判断して情報を出したのです。
しかし必ずしもその情報が出るとは限りません、なぜならリョク君の知識不足の場合は手帳も判断つかずに普通のウルラン草として判断する可能性が高いからです。
それにこの亜種には材料として普通のとは大きな違いが有ります、どこだか分かりますか?」
ドライト様の言葉に僕は手帳に視線を向けて再度読み直す、すると材料として使うときに注意しなければいけない点が有ることに気がついた。
「……亜種は茎や根に強い苦味とえぐ味が有るんですね、普通のにも有ったはずですが気にするほどではなかったはずです。」
「その通りですよ! もしリョク君の知識不足からこれが亜種だと気がつかなかったら?
それか鑑定をしなかったり、よく調べずにポーションとして茎や根を使ってしまっていたら?
苦味とえぐ味が強いポーションを飲んでしまった冒険者等がそれを作ったリョク君になんて言ってくると思いますか?」
「……文句を言ってくると思います。」
「そうでしょう、ですがこれから先、薬草を取るたびにいちいち鑑定をするのですか?
採集するときに自分の目で確認した方が早いと思いませんか?」
「つまり常に勉強して知識を高めて、何かの採集をするときはしっかりと確認をしなさいってことですね。」
「そう言うとことです!」
ドライト様はそう言うとニッコリと微笑み頭を撫でてくれる、少し嬉しい。
「さて、次はリョク君のステータスの確認ですね、どのような結果が出るか楽しみです!」
ドライト様の言葉に、僕も緊張してドキドキするのだった。
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