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ドライト様とフィールドワーク

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チュンチュン……チチチ!


「……鳥の声? ここは……そうだ、キャンプしてたんだ!」


病室では聞こえないはずの鳥のさえずりで目を覚まし、テントの中で僕は飛び起きる。




「グガアァァァ……グガアァァァ……」


イビキがすると思って音の方を見ると、ドライト様が隣であお向けに寝ていた、お腹をポリポリと掻いている……なんかシュールだ。


そんなドライトさまを起こさないように、僕は静かにテントから出ると、その美しい景色に一瞬で魅了された。


昨日見た景色とは一変して、朝焼けに照らされた森や湖が真っ赤に染まり。

日が出てくるにつれて赤から白銀色に変わっていく湖の様は魅入られるほどに綺麗だった。


「綺麗な……綺麗な銀色だ……」


「そんなに褒められると照れちゃいますよ!」


「へ? わぁ!?」


いつの間に起きたのか、ドライト様が僕の顔のすぐ横に飛んで浮かんでいた。


「お、起きてたんですね。」


「リョク君が起きた気配がしたので私も起きたのです。

それでは早速、朝御飯にしてからお勉強にしましょう!」


「は、はい!」


完全に寝ていた気がするけど、もしかしたら僕を寝ずに見守っててくれたのかもしれない。

そう思った僕はパタパタと飛んでいくドライト様の後を追うのだった。




「そうですそうです、そうやって切るんですよ。」


「この……葉脈にそってですよね?」


「ええ、あとでフィールドワークする時にポーションの原料になる薬草などをお見せしますが、ものによっては茎や根など使う部分が違ったり、選り分けることで効果が変わったりするんですよ。 これはその練習ですね。」


ドライト様の話を聞きながら、朝食用のほうれん草に有る大き目の葉脈と葉を切り分けていく。

最終的には全部ソテーにするらしいけど、薬草を切るときの練習だそうだ。


そんなことをしながら調理を進め、目玉焼きと炒めたほうれん草とベーコンのソテーと、やはりほうれん草とベーコンを煮込んだスープに、この世界の冒険者がよく口にするというパンで朝食にすることになった。


「これが冒険者が食べるパンですか……すごく固いんですがどうやって食べるんですか?」


「これは堅パン、ハードタックやアイアンプレートなんて別名もある、地球では軍隊や昔の船乗りさん達が食べたパンです。

食べ方はナイフなどで切って、スープ入れるなり浸けるなりして食べるんですよ。」


「へぇーこんなパン初めて見ました、堅パンって言うですね。」


ドライト様がパンを小さく切るのを見よう見まねで切ってみる、しかし固くてなかなか切れない。

悪戦苦闘してなんとか切ると、ドライト様がすでに食べていたので自分もスープに浸して口にするが。


ガリーーー


「か、固い!」


「あ、言い忘れてました、浸して柔らかくしてからじゃないと食べられませんので気をつけてくださいね。」


「早く言ってもらいたかったです……」


そんなこんなで朝食を取り、この世界の常識や生活に必要な事を学び、軽い運動をしていたらお昼になった。




「さて、それでは森の中に入ります。 準備は大丈夫ですか?」


「ええと、ナイフは持ちましたし厚手の服の上下に着替えました。

あとは……背負い籠も大丈夫です。」


「では向かいましょう!」


「はい!」


ドライト様は宣言するとフワリと空中に浮かび上がる、背負い籠を背負ってて羽は動かないはずなのにどうやって飛んでるんだろう?


なんにしろそんなドライト様の後ろに着いて森の中に入り込む。


そこは獣道のようで足元の土は踏み固められていたが、雑草や背の低い木の枝などが獣道を塞いでいた。


それを僕は手にしたナイフで伐り道を作っていく、そして少しするとドライト様が止まって待っているのでそこまで行くと。


「これを見てください、これが薬草の1つで……」


そう言って低木を指差してどんな効能が有るのか、どこの部分を使えばもっとも良いのかを解説し始める。

こうして僕はお昼から夕方までドライト様の指導を受けながら、フィールドワークをこなしていく。


そして2、3時間たった頃には、背負い籠は薬草になる植物でいっぱいになっていた。

そこでキャンプまで戻ると、ドライト様は僕に小さな手帳と鉛筆等の筆記用具を渡してくる。


「この手帳は魔道具になっています、身分証にもなりますし、スマホのような検索機能がついているんですよ。

この世界ではそこそこの値段がしますが、庶民も結構所持しているのでリョク君も持っていてくださいね。」


そして渡された手帳の色々な機能を聞き、採集したポーション等の材料を手帳についている小さな水晶で撮影すると、手帳にその姿かたちが手帳に登録され、その横に鉛筆でどこを使うのか、どうやってポーションにしていくのかをドライト様に聞きながら書き込んでいく。


そんな作業をしていると、集中していたのかあっという間に時間が経ち、周囲が暗くなってくる。




「ふぅ……集中してからか、いつの間にか全部終わっちゃた。」


今日のフィールドワークで採集した草花等の手帳への登録と、情報を暗くなりきる前に書き込み終える。


するとドライト様は焚き火などの準備を終えていて、夕飯の準備を始めるのだった。




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